当サイトは、アフィリエイト広告を利用しています。

今回スポットライトを当てる映画は2019年5月24日に日本で公開された『神と共に 第一章:罪と罰』。

韓国タイトルは「신과 함깨-죄와 벌」
英語タイトルは「Along with the Gods:The Last 49 Days」と各国で上映されており、日本では6月28日に第二章:因と縁の公開も決まっている人気作品。

仏教の言い伝えのもとで、人は死後に亡者の行き先「冥界(死後の世界)」にて生前の罪を裁かれ罰を受けます。

49日間で7つの地獄(殺人・怠惰・嘘・不義・裏切り・暴力・天倫)にて審判を受け、すべて無罪として通過した者だけが、現世へ生まれ変わる資格を得ることができます。

中でも「貴人(亡者の最高階級)」判定を受けた亡者は通過率が高いとされています。

冥界の使者は1000年間で49人の亡者を現世へ生まれ変わらせることを目的に、亡者を護衛しながら審判にて弁護を担います。

シリーズ第一章となる今作『罪と罰』 編では、4D上映ではないことが惜しいほどの壮大さで地獄の異様な世界観を打ち出しながら冥界の基本ルールを大いに披露し、第二章への伏線を撒いていきます。

東洋的な部分を根幹に現代的な要素を取り入れたデザインで仕上げたという冥界の地獄絵図はCG技術を用いることで、ふと気の抜けるほどの雄大な自然はごく当たり前のように脅威と化し、死んだ人間の軟弱さが際立つような底なしの怖さを映し出します。

また、CG技術の背景のもとでの感情演技は難易度が高いとされており、使者カンニム役のハ・ジョンウや主人公ジャホン役のチャ・テヒョン始め実力派俳優の力量を細部からも感じ取ることができます。

2018年の年間観客動員数をもとにランク付けされる韓国の俳優ランキングTOP10では、本作出演者がこぞって名を連ねており、その人気ぶりが伺えます。

日本では2019年5月末にようやく公開し、レビューやメディア報道をきっかけに徐々に認知度を高めています。

タップ(クリック)で目次が開きます

『神と共に 第一章:罪と罰』あらすじ

2017年、バルバドスで英雄の日と定められている4月28日のこと。

火災現場で幼い命を救うも殉職した消防士キム・ジャホンは、3人の使者カンニム、ヘウォンメク、ドクチュンに迎えられた後、消防士姿のまま否応無しに冥界を渡り歩く旅に引きずりこまれます。

19年ぶりの正義の亡者は「貴人」として使者たちから歓迎され、7つの審判を無事に通過する48人目になってくれると期待されます。

死後もなお死にたげな面持ちのジャホンには、ろう者の母と判事を志す除隊間近の弟のスホンという守るべき二人の家族がいました。

「母にひと目だけでも会いたい。」と想いのこしたまま渋々冥界のルールに巻き込まれます。

当初は順調かと思われた旅路でしたが、ジャホンの壮絶な生い立ちが明らかになるにつれて、冥界と下界を巻き込む壮絶な事態へと発展していくことに…。

ジャホンを取り巻く家族の愛や人間の欲望が生んだ悲劇に心を震わせながら、カンニムを中心にあらゆる真実に立ち向かいます。

『神と共に 第一章:罪と罰』見どころ3点を解説

神と共にの第一章:罪と罰では

  • 異空間の世界を表現した映像美
  • 韓国のリアルを描写している
  • 登場人物ジャホンの生き方

上記の3点が特に見どころだと思います。
順に解説していきましょう。

異空間の世界を表現した映像

仏教の教えのもとで冥界に存在する様々な言い伝えを現代的な解釈のもとでデザインし映像化されており、異空間の世界をスクリーン越しに体験することができます。

例えば、閻魔が亡者を裁く際に生前の行いを嘘偽りなく映し出す「浄瑠璃の鏡」、現世と冥界との間にあるとされる「三途川」などがあります。

また、罪を裁く7つの法廷・地獄絵図・大王の姿から自然の属性と現代美術の融合を感じることができます。

韓国のリアルが描かれている

葬儀場、代行運転、ロッテワールドタワー、M2 THE CLUB、屋台、江原道の部隊宿舎、おこげ等から韓国のリアルな生活を垣間見ることができます。

なかでも多く描かれているのは、スホンが所属する陸軍部隊の様子です。

建物の一室で要注意兵士ドンヨンと共にギターを弾くシーンがあります。

軍隊では所有物の持ち込みに一部制限がありますが、ギターは問題ないとのこと。

軍人達の訓練風景、夜間警備、特別休暇の様子などもリアルに描かれています。

登場人物ジャホンの生き方

ジャホンの生前の行いに、どんな理由や目的があったのかが次々と明らかにされていく中で、そのすべてから解放されたも同然の死後もなお彼は救助の心を忘れてはいませんでした。

母親を恋しく想う気持ち、一家を守る長男として生きてきたジャホンは観客の私たちにとってもっとも身近な存在で居続けます。

普通の幸せが1番難しいということを彼の一生を以って考えさせられるかのようです。

『神と共に 第一章:罪と罰』感想

神と共に 第一章:罪と罰を観てオススメできる人、できない人を私なりに感想としました。

オススメできる人

CG技術で壮大に演出した美しい地獄絵図はまるでゲームの中の世界のようです。

また、韓国のクライム映画やアクション映画特有の視覚的な過激さを苦手とする方でも、その生々しさは最小限に留められているので仮想空間を純粋に楽しめるようなスペクタルアクション映画に仕上がっています。

ファンタジー好き、アクション好き、ドラマ好きの全ての人の心に響くことでしょう。

オススメできない人

仏教の教えに基づくウェブコミックを原作とする作品のため、現実離れした冥界の世界観でジャホンのように置き去りにされてしまうかもしれません。

そんな方に注目していただきたいのは、下界で繰り広げられる人間ドラマです。

ジャホンを取り巻く人物たちに焦点をあてながら、仲間、家族、人の温かさを感じていただけるはずです。

続く第二章の今作『因と縁』編は、新たな亡者にジャホンの弟のスホン(キム・ドンウクさん)を迎えながらも前作で多くは語られることのなかった3使者たちの生前の記憶を歩く新たな冒険へと発展していきます。
冥界と下界、そして新たな舞台として加わるのは千年前の高麗時代の記憶。

今作から登場する成主神(ソンジュ神)が使者たちの前に立ちはだかり物語を本当の中核へと導く鍵を握ります。
成主神役を演じたのは『新感染-ファイナル・エクスプレス(2017)』を機に日本でも人気沸騰中のマ・ドンソクさん。

強靭な身体と人情味溢れるキャラクターとして唯一無二の存在感を放ちますが、外見と中身のコントラストがゆえに人を惹きつけてしまう等身大の姿で予告編のワンシーンから熱い視線を集めます。
また、前作でオ・ダルスさんが演じた判官の役者交代により今作から出演のチョ・ハンチョルさんには自ずと厳しい視線が向けられます。
韓国の人気ドラマに多数出演するいい声ならぬええ声の持ち主で、映画『LUCK-KEY/ラッキー(2016)』にて主演のユ・ヘジンさんとの掛け合いが非常に印象的だったハードボイスが新たなる法廷で独自の存在感を打ち出します。

『 神と共に第二章 因と縁 』あらすじ

怨霊と化し下界と冥界を荒らしたスホンは、誰もが予想もしなかった貴人判定を下され冥界の3使者と共に初軍門ではなく閻魔大王のいる天倫地獄へ向かいます。

本来ならば即消滅させるべき怨霊ですが、カンニムの申し出により過酷な条件付きでスホンは裁判の機会を得ます。
冥界の法に背く厄介者の成主神を消滅させることを目的に彼の居座る下界へと向かったヘウォンメクとドクチュンは、そこで驚くべき秘密を明かされます。
1000年で48人の転生を積み重ねてきた使者たちにとって勝ち取るべきスホンの裁判がまるでフェイクかのように、冥界と下界そして使者たちが生きた高麗時代を巻き込む壮絶な物語が始まります。

スホンの死の真相、使者カンニムが抱え続けている1000年間の苦しみ、そしてヘウォンメクとドクチュンの失われた記憶の秘密とは…
次々と明らかになる真実の巧妙な絡み合いの中で全ての謎が解き明かされた時、本当の裁きが我々の心をも震わせます。

見どころ:記憶を連れてきたあの人

「20年前、自分はどこで何をしていたのか…。」
記憶を司る脳の機能がさほど当てにならないことは、今こうして鮮明に取り出せない記憶のことを思うと容易に実感できます。

取り出せずにむず痒さを感じる記憶があるとするならば、意識の中から随分と遠ざかり取り出そうとすら思わない記憶も存在しています。
でも、どうしたことかそれが急に懐かしくじんわりとした温かさとともにフラッシュバックする体験をしたことがありますか?

あの日、私はレジの前に立つかすかに見覚えのある女性に「どちらかでお会いしたことがありませんか?」と一言声をかけました。
彼女が不意に連れてきたのは幼稚園の頃の私の記憶、自分では取り出そうとすら思わなかったかつての自分と再び出会うことになりました。

スホンの死の真相を目の当たりにした日、カンニムの目の奥に浮かび上がった生前の辛い記憶がそうであるように、記憶を消されたヘウォンメクとドクチュンの運命が成主神との出会いをきっかけに大きく動き出すように、ここでは第三者の存在が生前の彼らの姿を鮮明にさせてくれます。

裁判には真実を明らかにするための証人が必要であるように、3人の使者たちも失われた記憶の謎に迫りながら法廷に立つ被告人なのです

見どころ:裏裁判、裏メッセージ

「最高裁判所の判事を夢見るスホンが8度に渡って受験したという韓国の司法試験とは?」
そんな疑問と共に調べて見たところ、2017年12月28日に司法試験の廃止が決定したことを知りました。

これは2017年12月20日第一章の封切り後間も無くのことです。
そして2018年8月1日、灼熱の韓国で第二章が公開しました。
廃止以前、裁判官への道は2通り存在していました。

まずは司法試験の合格を前提としたもの、もう1つは今現在唯一のルートであるロースクールの入学を前提としたものです。
決して裕福ではない家庭環境ながら兄のジャホンによる仕送りに支えられて門戸を開く余地が残されていたスホンは、今は無き1つ目の方法で道を開こうとしたことでしょう。
怠惰さが垣間見れながらも、8回目でようやく司法試験をパスしたという彼が生前に判事姿を見せることはありませんでした。

しかし、そのままで終わらないのが映画の伏線回収劇です。
スホン自らが被告人として使者カンニムと共に過ごす冥界ツアーの中で、彼の放つ言動全てから「さすが判事を夢見ていただけのことはある。」
と口元がゆるむほどの毅然とした態度と雄弁さが花開きます。

時にカンニムを手のひらで転がすかのような役者まがいの行動にゾッとさせられます。
目に見える裁判の裏で本当の裁きを受けているのは誰なのか、判事スホンは冥界地獄でその才能を大いに発揮します

現在、ロースクールへの入学試験合格者は上位1%程度という非常に狭き門であることに加え、日本円にして300万円〜600万円程の学費を必要とすることからその道は暫定的に富裕層に限られてしまうのが実情です。

低所得者であるスホンが司法試験に臨み、あと少しで豊かな暮らしを得られそうだった矢先の事故死。
天寿を全うできなかった「貴人」として、昨今の若者の就業問題に対して何らかのインパクトを遺してくれた人物なのではないかと思います。

『 神と共に第二章 因と縁 』まとめ

前編をご覧になった方ならば、一章完結でも十分かと思えるほどの感情の高ぶりが記憶に新しいのではないでしょうか。
私自身、わかりやすく人情を感じられた第一章がより面白かったというのが率直な感想でした。

では第二章は見なくても良いかというと綺麗な思い出は綺麗なままで残しておきたい」という方ほど見逃して欲しくない理由があります。
第一章で多くの涙を誘った主人公ジャホンの家族には、まだ語り尽くせずにいた愛の物語が遺っています。

主人公スホンがあの時母の前で誓った言葉をどうか思い出してください。

第一章をスキップし第二章から軽快な足取りで冥界ツアーに飛び込もうとしている方がいらっしゃいましたら、最終コーナーであるこの場で足止めを食らわせてください。

 

第二章の冒頭には第一章のダイジェストがございますが、前編で描いたのは『神と共に』のデフォルトである冥界の基本的ルールと地獄絵図の壮大さです。

ただでさえ「長い。間延び感が否めない。2作まとめてもいい。」とのレビューも見受けられますから、数分間で全てを伝えられようものなら製作者側もそうしたかったと思います。

しかし、スクリーン一面を余すことなく多い尽くす地獄絵図の美しさに逐一意識を取られてしまうのは、まだ死を経験したことのない私たちにとってごく自然な反応ではないでしょうか

職場環境に慣れるまで早くて1ヶ月〜長くて半年ほどかかるといわれますが、やはりここでも人は見慣れない環境に慣れるまでそれなりの時間を要します。
美しく壮大な背景はそのままに、今作のメインテーマである登場人物たちの「因と縁」の物語に集中することは、第一章無くして容易ではありません。

スポンサードリンク