累計355万部突破の東野圭吾のベストセラー小説。
マスカレードシリーズの第1作『マスカレードホテル』。
2008年から2010年、集英社の「小説すばる」に掲載された後、2011年単行本が出版され、引き続き2014年集英社文庫版が刊行されました。

映画化する考えは全くなかったという本作。
木村拓哉主演での映画化の話が持ち上がり、執筆の際、漠然と主人公に彼をイメージしていたという偶然に縁を感じ、2019年実写映画化する運びになったと言います。

多くの名を馳せた俳優陣が出演することでも話題をさらい、中でも木村拓哉と長澤まさみの初共演には注目したいところ。
読み合わせ時から同じテンポを感じていた2人が、両極端の立場から反発し合いながらも信頼に結びついていくストーリーの流れは、大きな見どころのひとつです。

同じく木村拓哉主演「HERO」シリーズの監督、鈴木雅之と脚本家、「ライアーゲーム」の岡田道尚の手によりドラマチックな作品に仕上がりました。

マスカレードホテル作品情報

公開 2019年1月18日
監督 鈴木雅之
原作者 東野圭吾
脚本 ミチタカ・オカダ
主なキャスト 木村拓哉、長澤まさみ、松たか子、渡部篤郎
ジャンル ミステリー
上映時間 133分
興行収入 46.4億円

マスカレードホテル予告動画

マスカレードホテルあらすじ

マスカレードホテルのキムタク

(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

都内で立て続けに起きた3件の殺人事件。
現場に不可解な暗号が残され、連続殺人事件としての捜査が始まります。
暗号の分析の結果、それぞれの暗号は次の犯行場所をあらわしていることがわかり、次の現場であろうホテル・コルテシア東京に侵入捜査することとなりました。
それぞれが配置につく中、フロントクラークに成り済ますことになった警視庁捜査1課のエリート刑事、新田浩介(木村拓哉)は優秀なフロントクラークの山岸尚美(長澤まさみ)の指導の下、犯人逮捕に向け動き出します。
いかにも刑事の風格を漂わせた鋭い目つきの新田は、最初から山岸のダメ出しの連続です。

スーツの着こなし、姿勢、目つき、髪形まで変えさせられ、ホテルマンとしての精神から教え込まれる勢いです。
わがままな客には強きで接しようとする我慢も限界の新田と、怒り出すお客様の間に割って入る山岸も同様に初日からうんざり気味。
事ある毎に2人は衝突を繰り返しますが、仕事に対する情熱と信念を知り、徐々に互いを認め合う関係に変化していくのです。

マスカレードホテル ネタバレラスト

マスカレードホテルのキムタクと長澤まさみ

(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

ある日、盲目の老婦人がホテルにやってきます。
山岸は彼女のわがままを聞き入れ丁寧な接客を提供します。
その老婦人の様子に異変を感じた新田は注意するよう促しますが、彼女は目の不自由な夫に代わりこのホテルのもてなしを試したかったのだと言い残し、満足したかのように帰っていきました。
愛人との密会を先回りし夫に離婚届を渡しに来る女性、有名人の手の込んだアバンチュールなど、ホテルに訪れるお客様はそれぞれが仮面を被っていて、その奥の本当の姿を暴く行為は決してしてはいけないと言う山岸の仕事ぶりに新田は次第に信頼し、山岸も同様に新田の刑事ならではの鋭い見方に関心を示していきます。

捜査にも進展を見せ、連続殺人事件だと思われた3つの事件は、実は3つの異なる殺人事件であることが新たにわかりました。
全ての人に危険があることを知った山岸はお客様の安全の為、ホテルの営業停止を提案しようと考えます。
しかし、新田はその決断は待ってほしいと頼み込み、犯人逮捕によって市民を守ることが自分の仕事なのだと山岸を説得します。
揺れ動く感情に、あと1日だけという約束で、犯人逮捕に協力することになりました。

翌日、挙式をあげる花嫁に贈り物が届きます。
新田は細工された贈り物を見逃しません。
花嫁のストーカーが犯人であると狙いが定まり、警察の連係プレーにより花嫁の元へ現れた女装の男を確保します。
事件は解決したかに見えましたが、新田は別の異変に気が付きます。
と、同時刻に、山岸の前に盲目を装っていたあの老婦人が現れます。

女装男に気をとられ、新田が目を離した隙に、山岸は老婦人に付き添い部屋を案内しました。
部屋で2人きりになると、彼女は本性を現し、山岸の手足を拘束バンドで締め上げたのです。

実は彼女は、以前フロントで山岸に追い返された長倉麻貴(松たか子)だったのです。
彼を追って現れた彼女は、追い返されたせいで身ごもった子供を流産したと逆恨みをしていました。
そして、相手の男と山岸に、ただならぬ殺意を持ち続け復讐の時を待っていたのです。
必死で探し回る新田は、寸でのところで山岸を助け出すことに成功し、犯人である彼女を確保し事件は終わりを見せたのです。

数日後、新田はホテル・コルテシアに赴きエントランスからホテル内を見まわします。
仮面をつけた人たちが行き交うホテル内を幻を見るようかのように眺め、山岸と祝杯を挙げるのです。

マスカレードホテル見どころ3点

1点目:刑事とホテルマンの意外なバディ

木村拓哉演じる新田刑事と、長澤まさみ演じるホテルマンの山岸との掛け合いがテンポよく、立場と意見の違いから衝突し合いながらも互いを認めていく関係を楽しむことができます。
刑事とホテルマンの、一見異色な組み合わせの中に共通するプロとしてのこだわりが感じられるのです。
もちろん、長澤まさみのスーツ姿にも触れたいところ。

わずか12歳でシンデレラガールとしてデビューを飾った後、変わらず飛躍し続けるだけあり、洗練された容姿に目を奪われることでしょう。

2点目:怪しさ満載のキャスト陣

マスカレードホテル豪華俳優陣

(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

警察側の人間に小日向文世や渡部篤郎、ホテル側に石橋凌。
そして、個性豊かな客人役に菜々緒、生瀬勝久など、誰を犯人役にしてもおかしくない顔ぶれが揃います。

ほとんどがカモフラージュ的な要素での出演となることはいたしかたありませんが、キャストだけで犯人を割り出すことは難しく、全ての人が事件関係者ではないのかと混乱します。
豪華なキャストの短時間の出演が贅沢で、それがまた、より豪華な印象を与えます。

3点目:ホテル内だけで繰り広げられる広大なミステリーの世界

歴史を感じる重厚感のあるホテル・コルテシア東京。
日本橋のロイヤルパークホテルがモデルになっている、というこの歴史あるホテルで繰り広げられるミステリー。
鑑賞後までしっかりと耳に残る音楽が仮面舞踏会を漂わせ、回転扉をくぐった瞬間から別世界へ迷い込む感覚にかられます。
また、一つ一つの壁とドアの向こうに様々な物語を想像することができ、足を運ぶ人の数だけの人生を思うことができるのです。
ホテルのおもてなしとその精神を知り、非日常的なひと時を味わいたくなることでしょう。

マスカレードホテル感想

マスカレードホテルのあっちゃん

(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

爽快で軽快なミステリーを描く作品。
マスカレードシリーズ第1作として出現したこの作品を、第2作、そして3作と続けて観たくなります。
自由奔放でやりたい放題の正義の味方イメージが固定している木村拓哉だけあり、そういった意味では期待を裏切らず、安心してみることができます。

何より、この空間だけで繰り広げられた事件に面白さを感じ、犯人がわかりそうでわからないじれったさを楽しむことができました。
次へ次へとはやる気持ちが最後まで続き、飽きを感じさません。
ただ、この時間内に全てを詰め込むには少々もったいなさがあります。一人一人の、通り一遍な出来事だけでなく、もう少し踏み込んだ一歩がほしいという印象も受けました。

そして、招かれざる悲しき殺人犯に同情してしまいます。
怒りの矛先を他人に向けることで生き延びてきた犯人の心情が松たか子の演技から伝わり、切ない瞬間を感じます。しかしそのどれもが、舞踏会で繰り広げられた空想の世界のようにも思える作品なのです。

マスカレードホテル評価

マスカレードホテルの菜々緒

(C)2019 映画「マスカレード・ホテル」製作委員会 (C)東野圭吾/集英社

流石に人気ミステリー作家原作の映画とあり、ストーリー、見どころ、そしてキャストとそれぞれの演技も完成度の高いものです。
複雑で、ドロドロした描写もなく、家族や友人と誰が犯人なのかと会話しながら楽しめる作品です。
ホテル内でのシーンがほとんどであるにもかかわらず、その限られた中での躍動に最期まで目が離せず、鑑賞後はすっきりとした気分になることでしょう。

ミステリーは1度見てしまうと筋書きがわかってしまい、なかなか2度目の鑑賞に手が伸びない人も多いのではないでしょうか。
個々の登場人物の目線になり、何度でも楽しめる事がこの作品の持ち味です。
また、明石家さんまの友情出演も気になるところ。
どのシーンなのかネタバレを読む前に明石家さんま探し目的で鑑賞することも面白いかもしれません。