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「カメラを止めるな!」で社会現象を巻き起こした上田慎一郎監督の劇場長編第2弾。
上田監督が脚本、編集はもちろん宣伝プロデューサーを兼任。

プロアマ問わず1,500人のオーディションから選ばれた15人のキャストが出演し、主演の大澤数人さんはこの10年で3本しか役者の仕事をしておらず、若女将役の津上理奈さんは演技未経験で会社員のため有給をとって撮影に参加したというキャスティングは吉と出るのか?

前作同様に「大どんでん返し」の脚本となっているのか?
カメ止めで「ゾンビ」「舞台裏もの」をやった監督が「スパイ」「超能力」のジャンルをやりたかった。
と言って制作した「スペシャルアクターズ」を紹介します。

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スペシャルアクターズ作品情報

公開 2019年10月18日
監督 上田慎一郎(カメラを止めるな!)
脚本 上田慎一郎
主なキャスト 大澤数人、河野宏紀、富士たくや、北浦愛
ジャンル コメディ
上映時間 109分

スペシャルアクターズ予告動画

スペシャルアクターズ予告編

『スペシャルアクターズ』あらすじ

スペシャルアクターズの兄弟
(C) 松竹ブロードキャスティング

精神的病を抱える兄と弟の5年ぶりの再開

役者として全く芽が出ない大野和人(大澤数人)は男性から問い詰められ緊張が極限まで達すると気絶”失神”してしまう精神的な病を抱え、それが原因で今月いっぱいで警備員アルバイトのクビを宣告される。
家賃も支払えないくらいに追い詰められた和人。
アルバイト先でカップルに酔っ払いの若者が目の前で絡んでいる場面に遭遇するが、また失神するのを恐れ見てみないふりをする。
酔っ払いの若者は返り討ちに合い、倒れたところに駆け寄る和人。
なんと若者は5年前の母の葬式を最後に会っていなかった弟、大野宏紀(河野宏樹)だった。

IT社長で金持ち”を目指していたはずの弟は役者をやっており、俳優事務所「スペシャル・アクターズ」に誘われる。

特殊演劇事務所「スペシャル・アクターズ」

事務所は映画やドラマといった仕事以外に、日常で演じることを要求される仕事も請け負う、何でも屋的な側面を持っていた。
実は弟がやっていたカップルと酔っ払いの絡みも、彼女にカッコいいところを見せたい男性の依頼だったのだ。

スペシャルアクターズの実態を知り、自分には無理だと立ち去ろうとする和人だが、家賃も払えない状況のため弟の多少強引な勧誘もあり、渋々所属することに。

失神するのを同じ演劇仲間に隠しながら、なんとか仕事をこなす日々。

そんな中、カルト集団から旅館を守ってほしいという依頼が飛び込んでくる。

カルト教団「ムスビル」へ潜入捜査

スペシャルアクターズのムスビル
(C) 松竹ブロードキャスティング

依頼者の津川祐未(小川未祐)から詳細を聞くと、

  • 両親が無くなり姉が旅館を引き継ぐことになったこと。
  • 姉が洗脳され旅館を乗っ取られそうなこと。
  • 姉が関わっているのはカルト教団「ムスビル」であること

を聞かされる。
祐未が両親の遺産300万全てをかけた依頼に対し、スペシャルアクターズの役者たちは、旅館乗っ取りをもくろむ集団への対策のために計画を練り、演技の練習を重ねていく。

和人はこのミッションの中心メンバーとなるが潜入捜査の肝心なところで、教祖の父(三月達也)から問い詰められついには”失神”してしまう。
失神から目覚めた和人はムスビル幹部達による悪事を目撃してしまい、その証拠となる”裏教典”の存在を知る。

『スペシャルアクターズ』ネタバレラスト

※ここからはネタバレが含まれておりますのでご注意ください。
特に作品の性質上、まだ映画を観ていない人は飛ばして見どころを読んで頂くことをおすすめします。

裏教典と教団の実態判明

教団幹部のパソコンに入っている”裏教典”のデータを盗むため、スペシャルアクターズの役者たち総出で潜入捜査へ。
結果的に和人は失神してしまうが、弟や八枝子(清瀬やえこ)達役者仲間の助けもありデータを奪うことに成功する。

  • 話せないはずの教祖ムスビル(淡梨)は実は話せること
  • ムスビルは大の怖がりであること
  • ムスビルの父を中心とした単なる金儲けを目的とした集団であること
  • 裏教典は儲けのノウハウを暴露した内容であること

こういった真相が分かり、カルト教団だと確信したスペシャルアクターズはどうやって姉の里奈(津上理奈)含めた信者たちに伝えるか脚本を練る。

潜入捜査がバレる

教団の実態も分かり、いよいよ作戦実行日となる。
作戦は「ムスビルの幹部たちに旅館には死んだ両親の霊が出てくるいわくつきの場所」だと怖がらせ出ていってもらうという内容。

あと一歩というところまで教団幹部たちを信じ込ませたその時、信者の麻奈(南久松真奈)が和人たちがグルである証拠の写真を出し全てがバレてしまう。

怒り狂った麻奈は包丁を持っており、原因となった張本人である和人を刺殺。
人殺しの現場に遭遇した幹部たちは自分たちは関係ないと逃げ出す。

結果的には殺人事件の場所は教団にふさわしくないと撤退に成功...

実は麻奈含め全てがスペシャルアクターズの演技で和人も刺されてはいなかったのだ!

姉の救出へ

スペシャルアクターズの旅館
(C) 松竹ブロードキャスティング

残るは姉の救出となり、クライマックスへ。
作戦は「教祖を驚かせて声を出させることでインチキだと気づかせる」という内容。

教祖や幹部らと信者が集まる集会現場へ刺されて死んだはずの和人がヒーローの格好をし登場。

蘇りヒーローになった和人は超能力を使い信者たちに一切触れることなく、なぎ倒していく。
その現場に圧倒される幹部たち。

幹部を守ろうとした信者たちを倒し、残るは怯える信者のみ。
ついに和人は教祖の父を超能力で倒そうとしたその時!

教祖は「パパ〜!」と叫んでしまうのであった。

嘘がバレたところで倒された信者たちは全てスペシャルアクターズだとネタバラシを行い、裏教典のデータ見せる。
洗脳が解けていく本当の信者だった人たち。
無事に姉の洗脳も解かれて依頼成功となるのでした。

※本当のラストは是非、作品を観て楽しんでください。

『スペシャルアクターズ』見どころ3点

スペシャルアクターズは役者たちはもちろん、脚本などたくさんの見どころがありますが厳選して3点紹介します。

1点目:レスキューマン

スペシャルアクターズのレスキューマン
(C) 松竹ブロードキャスティング

兄の和人が全ての言葉や仕草を覚えるくらいに見ていたビデオテープ「レスキューマン」。
レスキューマンの内容は「超能力者が悪を倒しヒロインを救う」というどこにでもある典型的なヒーローものですが、完コピできるほど見ていたレスキューマンが伏線になっている点は見どころの1つです。

2点目:IT社長を目指していた弟、宏紀

IT社長を目指すと公言していた弟が5年後、兄と同じ役者を目指していました。
弟には兄がどう見えていたのでしょうか?
なぜ役者を目指すことになったのか?

両親をなくした姉妹が再び洗脳が解けて絆が深まる。という姉妹の物語に目が向けられがちですが、実は同時並行で大野兄弟の物語も始まっています。
大野兄弟にも注目してください。

3点目:兄、和人の”失神”

兄の失神は様々なシーンで登場してしまいますが、結果的にはプラスに転じています。
メンタルクリニックに通い、病気を克服したいと願っている和人は見事克服できたのでしょうか?

スペシャルアクターズを通じて、病気と向き合っていく和人にも注目です。

『スペシャルアクターズ』感想

スペシャルアクターズの感想
(C) 松竹ブロードキャスティング
一言でいうと面白かったです。
是非、感想やあらすじを見て興味が湧いたなら観てほしい作品です。

知名度の高い役者を揃えなくても脚本ができていれば面白いんだ。
映画の可能性を改めて感じさせてくれる作品でした。

カメラを止めるな!で上田監督本人ですら、想像していなかったヒットとなり今作には相当のプレッシャーが会ったと思います。
そのプレッシャーが”失神”してしまう和人に投影されていたのではないかと感じました。

カメラを止めるな!で大どんでん返しを期待している観客に対して、2作目も大どんでん返しでいくのか。
それとも違った作風となるのか?

「シックスセンス」で大ブレイクしたナイト・シャマラン監督はその後、盗作疑惑やヒット作にも苦しみ、最低監督賞を受賞する事になりますが、よくも悪くも批評家が出るくらいに期待されていることを上田監督は今作で体験し、3作目がますます楽しみになりました。(上から目線ですみません)
結果的には見事な大どんでん返しで、上田監督が本物であることを証明したようにも感じます。

あえて本当の大どんでん返しはネタバレラストでも書いていません。

こう書いてしまうとハードルが上がり、面白くないかも知れませんが、是非上田監督に騙されるために足を運んでほしいと感じる作品でした。

『スペシャルアクターズ』評価

スペシャルアクターズのキャスト
(C) 松竹ブロードキャスティング

上田監督に期待するカメ止め!風の展開を待っているお客様に対して、「期待通りの大どんでん返しの作品で最高に楽しめた!という脚本であり、映画って純粋に観ている人を楽しませるよね」という内容でした。

上田監督のTwitterからも分かるように「チームワーク」を大事にしていることが伝わります。
さらにサッカーが全員FWでは出来ないように「役者の個性を活かした配役」はカメ止めから引き継いでおり、”チーム上田”をとても大事にした事で作り上げる世界観という味があります。

ただ、観ている人の中には役者の演技にどうしても物足りなさを感じてしまう人がいるのも事実でしょう。
特に主人公の和人を演じる大澤数人さんに感情移入できるかできないか。
という点は観た人の評価に大きく影響しそうです。

カメ止めではあえて素人風に撮ったカメラワークでしたが、今回は素人風が求められていないカメラワークに対して気になる人も出てくるのでは?という印象でした。

個人的に言えるのは、上田監督がこれからいくつも作品を出され、振り返った時に「カメ止めの2作目」ではなく、「スペシャルアクターズ」という完全に前作とは別の作品だと言う点です。
「スペアク」という言葉が広まると嬉しい。広めたくなる内容でした。

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