漫画家、石田スイのデビュー作、「東京喰種トーキョーグール」シリーズは、週刊ヤングジャンプに掲載され、累計4400万部を超える人気漫画です。
2017年、実写映画化され、直後より米国、ドイツなど約23か国での公開が予定されました。
2019年公開の『東京喰種トーキョーグール【S】』は、第1作に引き続く続編です。

石田スイの希望により主人公を演じる窪田正孝が、前作に引き続き金木研の本能と理性の狭間の葛藤を躍動的に演じます。
鈴木伸之、白石隼也などに加え、喫茶店「あんていく」で働くヒロイン霧島董香役には、清水富美加に変わり山本舞香が挑みます。
同じく新メンバーに松田翔太が参戦。
美食家、月山習の狂気な世界観を作り出します。

東京喰種トーキョーグール【S】あらすじ


人間界に紛れ込み、人を食べて生きる喰種が繁栄していく東京。

大学生のカネキこと金木研(窪田正孝)は、憧れのリゼこと神代利世(蒼井優)に誘われ人気のない場所へ差し掛かります。
ところが喰種である彼女は、カネキを捕食しようと襲いかかるのです。
すんでのところでリゼに鉄骨が落下し、カネキは命を取り留めることができましたが、重傷を負った体にリゼの臓器を移植されたカネキは、半分が人間で半分が喰種の、半喰種になってしまったのです。

人肉を食べたいという欲求と人を食したくないという理性との間で葛藤を続けるカネキは、居場所を求め喰種の拠り所である喫茶店”あんていく”で働き出します。

東京喰種sのあんていく

(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会

ある日、喰種で美食家の月山習(松田翔太)が店に現れます。
紳士的な月山はカネキの放つ不思議な香りに誘われ、カネキを捕食する目的で近づいてくるのです。

実は以前、喰種のイトリ(知英)のバーに連れてこられたカネキは、リゼの死の真相を知る為、交換条件として喰種レストランの調査をすることになっていました。
同じく”あんていく”で働く喰種のトーカこと霧島董香(山本舞香)から関わらない方がいいと忠告されるも、月山に気に入られてしまったカネキは、幾度となく命の危機を感じる事になるのです。

東京喰種トーキョーグール【S】結末

入り口で身だしなみを強要されたカネキは、支度が済むと、仮面で正体を隠す美食家の喰種が集うレストランに入ります。
入り口とはうって変わって賑わうレストランですが、その中心の台の上には、美食家たちに振舞う為に無残に切り刻まれていく人間の姿があったのです。

逃げる間もなくカネキは台へと乗せられ、月山から今晩の食材だと紹介されます。
丁度その時、喰種対策捜査官CCG、亜門鋼太郎(鈴木伸之)の一派が乗り込み、多くの喰種が殺されていく騒ぎに紛れ、カネキはその場から逃げ切ることができました。
しかし、月山は諦めたわけではありません

ある日、カネキは路地で殴られている大学の先輩、ニシキこと西尾錦(白石隼也)を見かけます。
人肉を食べていないことで体力が無く、無抵抗のニシキを助けますが、彼が人間の恋人、西野貴未(木竜麻生)と一緒に暮らしていることを知るのです。
ニシキに食材を与えなければと、“あんていく”の冷蔵庫の中身を探ると、貴未が月山に連れて行かれたことを知らせるメッセージを見つけます。
カネキをおびき出すための罠であることを承知の上、カネキと傷だらけのニシキは月山に会いに行くのです。

正装して待ち構える月山は、カネキの食材として貴未を用意し、彼女を食べるカネキを食べたいと要求を言います。
ニシキとカネキは月山に立ち向かいますが、まるで歯が立ちません。
途中、参戦したトーカも月山の力には勝てず瀕死の状態に陥ってしまうのです。
カネキは自分の体の一部をトーカに食べさせ、その力で月山を倒す作戦に出ました。

作戦は成功し、何事もなかったかのような平和な日常が戻りつつあります。
ニシキも”あんていく”で働くことになり、人間と交わる事を嫌うトーカにも変化がみられるようになってきました。
そしてイトリのバーでは、面白半分で仕掛けたカネキと月山を巡っての賭けの勝敗について、盛り上がりを見せるのでした。



東京喰種トーキョーグール【S】見どころ3点

1点目:恐ろしくも面白い、松田翔太の変態ぶり

東京喰種sの松田翔太

(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会

紳士的で品がある美食家喰種の月山。
微笑んだ表情が優しい松田翔太が演じますが、カネキだけを追う異常者ぶりはこの作品一番の見どころといってもいいでしょう。
静かで穏やかな雰囲気が一変、今そこにあった色気が瞬時に狂気に変わるのです。彼の変貌ぶりに釘付けになってしまいます。

カネキの血が沁み込んだハンカチの匂いを嗅ぐシーンでは、振り切りすぎる演技が笑いまでも呼び、恐怖と笑いが同時にやってくる貴重な瞬間を体験させてくれるのです。
これは月山というキャラクターなのか、松田翔太そのものなのか、想像力が働き、彼の世界に入り込んでしまう自分に気が付くかもしれません。

2点目:見ごたえあり!窪田正孝のアクションシーン

トーカ演じる山本舞香は、空手経験者とあり流石に見ごたえのあるアクションを難なくこなしています。
更にトーカに戦い方を教わるカネキ演じる窪田正孝のアクションもまた見ごたえのあるもので、赤く光らせた目と、表情、そして身のこなしは観る人に時間の経過さえも忘れさせます。

少々内気で争うことを好まないカネキが、友人が傷つく姿を見て闘志を燃やしていく姿は、追い込まれた人間の本質を見せつけられ、緊迫感を感じることでしょう。

3点目:美しく残虐なR15 指定の描写

マギー演じる人気モデルのマーガレット。
美しく珍しい目を食したいが為にマスクの男に襲われ、両目をくり抜かれます。
不要となった体は高層マンションの窓から煌びやかな夜景へ向かって激しく放り出され、地面に叩き付けられるのです。
その光景は鑑賞後も目に焼き付く程の衝撃があり、冒頭直後からR指定の意味を理解することでしょう。
他にも、フェイクとはわかっているものの、無残に体を切り落とされるシーンや、カネキの手があり得ない向きへ折り曲げられるシーンがあり、大人でも目を覆いたくなります。

東京喰種トーキョーグール【S】感想

東京喰種s窪田正孝

(C)石田スイ/集英社 (C)2019「東京喰種【S】」製作委員会

人気漫画シリーズ、東京喰種実写版。
それだけで話題は尽きませんが、見ごたえのあるキャスト陣にも興味が湧きます。
窪田正孝の演技、アクションを期待して東京喰種の扉を開く人も多い事でしょう。
もちろん、激しいアクションシーンは申し分なく、個々の喰種の特徴が大胆で華やか。
そして迫力のあるシーンに圧巻です。

しかし、今作は何と言っても月山の世界観が濃く表現された作品だと感じる人も多いのではないでしょうか。
上品な育ちを想像させる色気たっぷりの松田翔太。
彼の振り切った演技が忘れられない作品
になります。


また、キャラクターやそれぞれの個性表現が強く、何度見ても新発見があります。
だからこそ、自分には関係のない話だと思いながらでものめり込んでしまうのです。

人間の心と喰種の本能、孤独と葛藤と苦悩の日々に向き合うカネキから、何かを感じることができるのではないでしょうか。

東京喰種トーキョーグール【S】総括

目を伏せたくなるシーンとドロドロと流れる血と血肉の塊。人間を食すだけでなく、ひと味もふた味も恐怖を呼び起こすように聞こえる効果音、グロテスクなものが苦手な人には少々気分の悪くなりそうな描写が多いかもしれません。

しかし、その中身は見れば見る程に、知れば知る程に奥深く、人種の壁を越えた作品なのです。
人間、喰種、CCG、その他の人との関りは人間社会のように複雑。
そして感情と理性と本能が激しく飛び交う様が描かれているのです。
そこに漫画ならではの”かぐね”と呼ばれる喰種の能力が絡み、それぞれのキャラクターをより際立たせ退屈しません。

何の為に、誰の為に戦うのか。
誰を信頼し、何処に向かうのか...

現実味が無いようでも自分の置かれている立場や心境とリンクし、共感できる部分を見つけられるのです。

前作を観覧していない人にとって、流れがわからず首をひねる部分は若干出てくるものの、作品の奥深さと世界観に魅了され、次作を期待する気持ちは抑えきれなくなることでしょう。