劇場公開中の作品

2015年にパリ行きの特急列車内で実際に起きた銃乱射事件。

武装した犯人は乗客によって取り押さえられ、554名の乗客の命が救われました。

俳優・監督として数々の名作を世に送り出してきたクリント・イーストウッドが事件の当事者達を本人役として起用し、あの日起こった出来事を鮮明に描き出しています。

『15時17分、パリ行き』あらすじ

映画は犯人と対峙した3人の若者の少年時代から始まります。

アメリカのサクラメントという町で生まれ育った3人の少年達。

中学で問題を起こし、校長室に呼び出されたスペンサーとアレクはそこでアンソニーに出会います。

意気投合した彼らはイタズラや戦争ごっこに興じ、多くの時間を共に過ごすようになります。

アレクがオレゴン州へ引越してしまいますが、それでも3人の友情は途切れることはありませんでした。

その後スペンサーはアメリカ空軍に入隊し、衛生兵として訓練を受け、アレクはオレゴン州州兵としてアフガニスタンに駐在、アンソニーはカリフォルニア州立大学へ進学します。

別々の道を歩み始めた3人は休暇を合わせて久しぶりに会うことになり、ヨーロッパ旅行を計画します。

 

ヨーロッパの名所を周り、友人と過ごす休暇を楽しむ3人はパリへ向かうことを決め、高速鉄道タリスに乗車します。

列車が出発してしばらくすると、乗客のマークがトイレ内の異変に気が付きます。

そして現れたのは銃を持った異様な雰囲気の男。

彼の姿を見たマークは男を取り押さえようとしますが、首を撃たれてしまいます。

武装した男に気づいた乗客達は、慌てて別の車両へと逃げます。

必死の形相で逃げてくる乗客達を見て、ただならぬ雰囲気が他の車両にも伝わります。

スペンサー達は身をかがめ、座席の隙間から車両後方を振り返りえると、そこには銃を構える男の姿がありました。

「スペンサー、ゴー!」というアレクのかけ声を受け、スペンサーが男の元へ走り出します。

銃を向けられてもナイフで何度も切られても、怯むことなく犯人と戦うスペンサー。

そこへアレクも加わり、男を気絶させることに成功します。

 

アンソニーとイギリス人男性クリスも加わり、犯人を縛り上げた後は撃たれた乗客の応急処置をしたり、混乱している乗客をなだめたりと、他の人の為に自分達が出来ることを次々とこなしていきます。

そして駅に着くと犯人は待機していた警察に連行され、銃で撃たれたマークと、犯人と格闘して大怪我を負ったスペンサーは病院へ搬送されていきます。

映画『15時17分、パリ行き』結末

逮捕されたのは1年前から危険人物としてマークされていたイスラーム過激派の男でした。

彼は大量の武器を車内に持ち込んでおり、スペンサー達が立ち向かわなければ、無差別テロ行為により何百人もの乗客の命が失われていた可能性もありました

危険を顧みずに犯人に向かっていったスペンサーはあと少しで親指を失うほどの大怪我を負っていましたが、治療を受けて無事に退院します。

彼らの勇気ある行動により多くの命が救われたとして、スペンサー、アレク、アンソニー、クリスがフランス政府からレジオン・ドヌール勲章という最高勲章を授与されます。

映画『15時17分、パリ行き』見どころ

事件の当事者たちを本人役で起用している

登場人物はほとんど本人達が演じています。

撮影も事件が実際に起こった場所で撮影されています。

シンプルな撮影方法を行うイーストウッド監督ですが、演じる本人達に特に演技指導をするのではなく、映画経験のない出演者達を緊張させない為に、いつも通りの雰囲気を作ることを心がけていたそうです。

映画終盤の事件のシーン、乗客一人ひとりの表情や行動、車内の張り詰めた緊張感は、映画を見ているこちらまであの現場へ引きずり込まれてしまいます。

何気ない日常が、突然変わってしまったあの瞬間。

当事者達が”演技”ではなく、あの日の”再現”をしたからこそ、まるで自分も車内にいるかのような、緊迫した状況を感じることができるのではないでしょうか。

乗客の命を救ったのはヒーローではなく、普通の若者達

この作品では、事件のシーンよりも長い時間をかけ、主人公の3人について描いています。

久々の再会を喜び、ヨーロッパ旅行を楽しむ3人の姿など、事件直前まで物語はゆっくりと進んでいきます。

そして映画終盤に起こる銃乱射事で、今までのゆったりとした雰囲気がガラッと変わります。

あの緊迫した状況下でとっさに判断を下し、スペンサーにゴーサインを出したアレク。

丸腰で犯人と戦い、撃たれたマークの処置にあたったスペンサー。

軍に所属しているわけではなく、また銃の扱いに慣れているわけでもない中で、懸命にスペンサーとアレクをサポートしたアンソニー。

何ができて、どんな行動に出るかを知る旧知の仲だったからこそ、あの状況下で素早い判断を下し、行動することができたのではないでしょうか。

 

彼らがどんな人物で、どんな生き方をしてきたのか、観客である私達は映画が始まった時からそれを目にしてきています。

彼らは久々の再会を喜ぶ幼なじみであり、ヨーロッパ旅行を楽しむ普通の若者でした。

とっさに自分達が何をすべきかを判断して行動に移し、結果として犯人確保と554名の乗客の命を救ったのです。

前半部分で彼らの半生が丁寧に描かれていたからこそ、”普通”の若者が非常に勇敢な行動を取ったという部分が強調されています。

『15時17分、パリ行き』

イーストウッド監督が当事者達を本人役で起用し、撮影を敢行した今作。

3人の若者達の半生に焦点を当て、ただ真実を映し出すべく事件シーンを撮っています

それにより事件当時の緊迫した雰囲気が非常に出ていますし、英雄は普通の若者達だということを感じ取ることができます。

何気ない日常がいつ崩れてしまうか、それは誰にも分かりません。

もし自分があの場にいたらどうするだろうかと考えさせられる映画でした。

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