“実話にもとづいた映画”ではなく”実話”!普通の大学生達による 12 億円相当の画集強 盗事件!「アメリカン・アニマルズ」

作品情報

感動の実話をもとにした、ハートウォーミングなノンフィクション映画に挑戦状を。

「アメリカン・アニマルズ」は、犯罪をテーマにした映画なのですが、実話を忠実に映画化した作品です。

監督は、「The Imposter」というドキュメンタリー映画で、英国アカデミー賞において再優勝デビュー賞を受賞した経歴を持つバート・レイトン。

そんな監督が、

「大学生達による超貴重なビンテージ本(時価 1200 万ドル以上!)の強奪」という、2004年に実際に起こった事件をテーマに本作を撮りました。

その結果、くだらない日常に飽き飽きした若者たちが、犯罪行為にのめり込んでいく様子を斬新に描いた名作が出来上がったのです。

アメリカン・アニマルあらすじ

その本が手に入れば、莫大な金で俺たちの人生は最高になる。

そう確信した芸術家志望のスペンサーと、スポーツ推薦で大学に入学したウォーレン。

彼らは退屈な大学生活を送る中、自分達が”周りの人間と何一つ変わらない、普通の大人になりかけている”というくすぶりを抱えていました。

そんなある日、2人は大学図書館に時価1200万ドル(およそ12億円相当)を超える画集「アメリカの鳥類」が保管されていることを知ります。

退屈な日々から抜け出すために、大学内に保管されている高価な作品たちを強盗しようという、よからぬ計画を立てる彼らの運命とは...?

アメリカン・アニマルネタバレラスト

大学図書館の模型を作って精力的に計画を練るスペンサーとウォーレンでしたが、このままでは到底不可能であるという現状に気づき、友人のエリックとチャズに声をかけます。

FBI を目指す秀才のエリックと、逃走車のドライバーであるチャズが加わり、4人組となった一行は、ウォーレンの自宅地下室でミーティングを行います。

キューブリックの「現金に身体を張れ」をはじめ、「スナッチ」「オーシャンズ 11」などの 犯罪映画を参考にした4人は、「レザボア・ドッグス」に習い、それぞれを名前で呼ばずに色で呼び合うことを決めます。

そうして彼らは、スペンサーによる特殊メイク(芸術家志望のため腕は確かです)で老人に扮し、図書館に乗り込むことに決めました。

その決行の日、うまく老人の姿へと変装を遂げた4人は、数々の高価な作品が保管されている図書館へと足を踏み入れます。

...しかし現実は厳しく、意気揚々と計画した強盗は失敗に終わります。

4人組には、”あえなく全員逮捕され、7年余り収監される”という結末が待っていたのでした。

アメリカン・アニマルの見どころ

観る者を事実で説き伏せる圧倒的なリアル!

「アメリカン・アニマルズ」は、巷に浸透しているノンフィクション映画への強烈なアンチテーゼを突き付けています。

いわば、本作はリアリティーを作り上げることではなく、あくまでリアルを追求した作品なのです。

たとえば、作中には、頻繁に本人たちの回想インタビューのシーンが織り込まれていますが、計画の進行具合と連動して、細部の記憶の違いなどがユーモアたっぷりに描き出されます。

こうして、実話を元にした(≒映画的脚色もある)ノンフィクション映画ではなく、あくまで事実をドキュメンタリー的に伝えようとしているところが、私の目にはとても新鮮に映 りました。

普通の大学生たちが、特異な青春時代を過ごすことになる悲劇!

主人公である 4人組は、犯罪計画に興じるという、少々異常な共通点を持ってはいますが、人を傷つけることへの抵抗がしっかりある、(基本的には)まともな大学生たちです。

何かが変わってほしい、何かを変えてやろう。

そんな期待感や無謀な勇気は、若気の至りと言われてしまうこともあるでしょう。

そして本作は、結果として貴重な青春時代を塀の向こうで過ごすことになる若者たちの”罪と償い”をもサブテーマにした、犯罪抑止効果が非常に高い悲劇的映画であると感じました。

また、特に私が印象に残っているのは、ウォーレンが各メンバーに計画上の呼び名を与えるシーンです。

  • スペンサー →Mr.グリーン(理由:ドラッグをよく吸っているから)
  • エリック →Mr.ブラック(理由:ところがあるため)
  • チャズ →Mr.ピンク (理由:ウォーレンの悪ふざけ)

と、3人に呼び名を与えるウォーレンは、”自分が母親にとって太陽の光のような存在であるから”と、Mr.イエローを名乗ります。

このシーンには、”自分たちで大それた犯罪をやってやろう!”という高揚感から舞い上がってしまいつつも、母親のことも忘れていないというアンバランスさが共存しています

これはいわば、”青春の危なっかしさ”そのものであり、少し甘酸っぱい気持ちにさせられる名シーンなのです。

私たちも、大それたことをやってみたくなったり、危なっかしいことをこっそり計画したり、という経験がきっとあることだと思います。

しかし、こんなノンフィクション映画を鑑賞したあとには、なかなかそんな気も起こらなくなってしまうこと、うけあいです。

オススメできる人

あらすじや予告だけを見て、ワクワクするクライムアクション映画だと期待すると裏切られます

しかし、映画の上映が進むにつれて、徐々にひも解かれていく作品の真意や、本質などに気づき、これまでに感じたことのないどんでん返しが自分の中に起きます。

“映画に振り回されたい!”という方には非常にオススメです!

オススメできない人

本作は、一般的な犯罪映画のようなアクション性は皆無です。

大学生が立てる犯罪計画のずさんさ覚悟のなさが描かれており、この出来事を後悔している描写が非常に痛々しく、リアルで苦しくなります。

しかもそれが本作の非常に大切なテーマでもあるため、ライトな映画を求めて気軽に観るということはオススメできません

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