2015年公開『アントマン』は、マーベル・スタジオ制作のアベンジャーズシリーズに連なるスーパーヒーロー映画。
マーベル・コミック『アントマン』の実写映画化作品です。
途中降板したエドガー・ライト監督に代わり、「イエスマン”YES“は人生のパスワード」のペイトン・リード監督がメガホンをとりました。
「俺たちニュースキャスター」をきっかけにコメディ映画の出演が増えたというポール・ラッド主演、アメリカのテレビドラマ「LOST」でブレイクしたエヴァンジェリン・リリーを、
マイケル・ダグラス演じるハンク・ピム博士の娘役とし、主人公のパートナー役としても起用しています。

アベンジャーズヒーローの中で最も小さく、体長1,5㎝に縮小したアントマンは、対立する科学者から技術を奪い返し、自らの人生をやり直していけるのか。
最新の映像技術に加え、ハートフルな一面とコメディ要素がふんだんに混ざり合った『アントマン』の世界を堪能できることでしょう。

『アントマン』作品情報

原題 Ant-Man
公開 2015年9月19日(日本)
監督 ペイトン・リード
脚本 エドガー・ライト、ジョー・コーニッシュ、アダム・マッケイ、ポール・ラッド
主なキャスト ポール・ラッド、エヴァンジェリン・リリー、コリー・ストール、マイケル・ダグラス
ジャンル SF、マーベル・コミック、
上映時間 117分
主な受賞歴 2016キッズ・チョイス・アワード

『アントマン』予告動画

『アントマン』予告編

『アントマン』あらすじ

刑務所から出所したスコット・ラング(ポール・ラッド)。離婚した妻に養育費も払えないスコットは、まっとうな職に就こうと決心します。
しかし全てがうまくいかず、窃盗仲間のルイス(マイケル・ペーニャ)に持ち掛けられた盗みに加担することになります。
豪邸に忍び込んだスコットは慣れた手つきでセキュリティを破り、金庫を開けることも容易です。
しかし、金目のものは一切なく、妙なスーツだけを盗んで帰りました。

自宅に戻り興味本位で盗んだスーツを着用すると体に異変が。
わずか1,5㎝のアリサイズに縮んでしまったのです。
状況を飲み込めず巨大な物から逃げ回った彼の前に人生をやり直すチャンスが巡ってきます。

実はスコットが忍び込んだ家は、かつてアントマンとして任務を果たしていた物理学者のハンク・ピム(マイケル・ダグラス)宅だったのです。
ハンクは着用すると体が縮むスーツを開発するも、その危険性を知りスーツの使用停止を訴えます。
新たにイエロージャケットを開発し、軍事使用を企むハンクの元助手、ダレン・クロス(コリー・ストール)を止めようと、身軽で機転の利くスコットに目を付け、わざとスーツを盗ませるという罠を仕込んでいたのです。
まんまと罠にはまったスコットは、断る余地もなく、アントマンになるための特訓を開始します。

『アントマン』ネタバレラスト

アントマンになることを嫌がる娘

(C)Marvel 2015

ハンクの娘、ホープ・ヴァン・ダイン(エヴァンジェリン・リリー)はスコットがアントマンになることに反対です。
ホープは母が死んだ時姿をくらませた父を許せず、二人の間には深い溝があります。
父と対立するダレン・クロスの信頼を得ているホープですが、スーツの脅威を心配する気持ちは父と変わらず、共にダレンの企みを阻止しようと考えています。

自分がアントマンになることを真っ向から反対されたホープは、渋々スコットの特訓に付き合います。
肉体的なトレーニングから瞬時に体の大きさを変化させる特訓。
アリとのコミュニケーション
もその一環です。

過酷な訓練を経て、いよいよイエロージャケットを盗み出す計画を実行する時がやってきました。
しかし、ハンクの立てた計画もダレンにはお見通し。
イエロージャケットを着たダレンはアントマンになったスコットの娘を人質にとります。
アントマンは必死で駆け付け、娘の部屋を舞台とし、壮絶なバトルが始まったのです。
激しい戦いの末、危機を乗り切るため、スコットはもう元の大きさに戻れないことを覚悟するほかありません。
体を亜原子レベルに縮小させ、イエロージャケットの中に潜り込み破壊します。
娘を助け出したスコットは意識が遠のく中、訓練時にハンクの許可なしに細工したベルトに手をかけました。
奇跡的に元の大きさに戻ったスコットは娘のヒーローとなり、今日もまたアントマンとして活躍するのです。

『アントマン』見どころ3点

1点目:世界を救う仲間はアリ

『アントマン』という題名から想像はつくものですが、仲間として共に戦うのはアリです。
今までこんなにアリが可愛く、格好よく、そして頼もしく思えたことはあったでしょうか。
一番の相棒になったクロオオアリのアントニーが攻撃に遭った時は、切ない気持ちにさえなってしまいます。
種類別にアリの特性を生かしているところもこだわりを感じられる部分ですが、移動手段でさえ、ハチやカブトムシではなく、羽アリを使っているところにも豊かな発想が感じられます。

2点目:ヒーローらしくないヒーロー

歴代のヒーローの定義からずいぶんかけ離れたヒーローです。

  • 人はいいけれど頼りない。
  • 正義感はあるけれど誘惑に弱い。
  • 誰かを助けたいという使命感の前に、早く娘に会いたい...
  • そして誰よりも小さい。

と、そんな力の抜けた主人公だからこそ、親しみがあって憎めないのかもしれません。

刑務所時代からの友人、ルイスもお調子者でゆるさを感じるキャラクターです。
腕は確かなのが不思議なくらいで、カート、デイヴを交えた窃盗グループが危なっかしくて思わず笑ってしまいます。
犯罪で繋がっている仲間であるのに信頼関係があり、どこかホッとするハートフルなひとコマを感じられます。

3点目:小さくて大きな戦い

映画アントマン

(C)Marvel 2015

何より、小さくなった時の世界がこの作品の魅力
みるみるうちに大きく、なんて言っている余裕はなく瞬時に変わるスピーディーさが気持良いのです。
特に子供部屋で繰り広げられるイエロージャケットとの戦いは必見。
攻撃をかわしながら激しく戦い合うシーンに息を飲む次の瞬間、娘の視線に置き換えられ、あまりのスケールの小ささに思わず吹き出してしまいます。

誤って光線を浴び巨大化したおもちゃの機関車トーマスや、人間のサイズ以上に巨大化してしまったアリも登場。
そのカットに合わせた音楽はコミカルさを際立たせ、『アントマン』の世界観を大いに楽しませてくれるものに仕上がっています。

『アントマン』感想

映画アントマン

(C)Marvel 2015

実写版ヒーローの映画と聞くと、なんだか仰々しい武器を持ち、難しい名前の乗り物に乗って世界だの宇宙だのと大きなスケールで戦うイメージがあります。

今作の冒頭でも博士のピム粒子の説明があり、実在するのかしないのかわからない話に戸惑いストーリーに入り込みにくい印象でしたが、気が付くと作品のコミカルなペースに飲まれ、ミリ単位の世界に入り込んでいる自分に気が付きました。
断る余地のないアントマンへの誘いも、仕方なく始めたわりにはすぐに乗り気になる単純な主人公にも好感が持てます。

コミカルな仕上がりですが、だからといって戦闘シーンはシリーズの中でも引けをとりません。
ハラハラさせられるシーンとの強弱が面白く、何度でも見たくなる作品です

『アントマン』評価

アントマン映画

(C)Marvel 2015

“ハンクによる初代アントマンに引き続く2代目のアントマン”という設定はあるものの、MCUシリーズ、アベンチャーズの全てを鑑賞していない人でも、何の違和感もなく楽しめる作品です。

グッズや広告ばかりが表立って見え、今となっては何処から鑑賞していいのやら手が出せずにいる人も多い事でしょう。
しかし、この『アントマン』はMCUシリーズの中でも別物。
複雑な人間関係、ヒーローものに特有の宇宙に蔓延るややこしい侵略者もいません。
単純なストーリー設定と、文句なしで笑える小さい世界での戦いなのです。
大人も子供も何の解説も無しに、目まぐるしくかわる大小の世界に思わず笑ってしまうでしょう。

そうは言っても、MCUシリーズの新たな展開を期待して鑑賞する人も多いはず。
そういった意味では拍子抜けしてしまうかもしれませんが、期待は裏切りません。
スピーディーな戦闘は見劣りせず、次にも繋がるであろう新スーツの登場も見逃したくないところ。

『アントマン』は難しい事に眉をしかめて鑑賞せず、思いのままに家族と、恋人と、友人と笑ってほしい作品です。