2015年に公開された犯罪映画になります。
舞台は中南米のメキシコです。
麻薬関係の抗争が激しいメキシコで、FBIの女性捜査官ケイトが自身の価値観や正義感がまるで通用しない現場で、翻弄されながら悩み苦しむ様を描いた物語です。

ドウニ・ヴィルヌーヴの監督作品です。
近年ですとブレードランナー2049やメッセージなど手がけた監督になります。
犯罪系の映画としてはプリズナーズ以来の一作となります。

主役であるFBIの女性捜査官を演じるのは、エミリー・ブラント。
昨今に出演した作品ではメリーポピンズ リターンズやクワイエット・プレイスなどがあります。

物語の鍵を握る正体不明のコロンビア人を演じるのはベニチオ・デル・トロ。

2018年に「ボーダーライン・ソルジャーズ・デイ」が公開されています。
こちらは本作のスピンオフ作品になっています。

ちなみにこの映画の原題は「Sicario」です。
「Sicario」とは、スペイン語で殺し屋の意味になっています。
誰が殺し屋なのかは、最後まで映画を見れば分かります

『ボーダーライン』あらすじ

物語はアリゾナ州チャンドラでの出来事から始まる。
警察チームが完全武装で、ある建物を取り囲む。
建物は誘拐容疑の容疑者の住居。
タイミングを合わせ、一斉に突入する。

FBI捜査官のケイトは突入後、間一髪で容疑者からの銃撃をかわし、容疑者を射殺。
ケイトとそのチームは、銃弾で穴の空いた壁の中に何かがあることに気がつく。
壁を剥がすと、そこから無数の死体を発見する。
その死体は全て誘拐の被害者だった。

ケイトは上司の推薦により、誘拐の主犯とされる麻薬カルテルの大物ディアスの捜査に参加することになる。
その捜査を率いるのは、国防総省のマット・グレイヴァーという人物だった。

捜査チームに合流後、ケイトはマットのパートナーで所属不明のコロンビア人に出会う。
コロンビア人の名前はアレハンドロ。

捜査チームはアメリカ陸軍の特殊部隊デルタフォースと共に、メキシコ市内に移動する。
部隊は地元警察から、カルテルの幹部でディアスの弟でもあるギレルモを引き取る。

アメリカへ帰還する途中の高速道路で、カルテルの構成員に取り囲まれる。
事前に察知していた部隊は車外に飛び出し、構成員達に銃口を向けて制止する。
互いに膠着状態の中、反撃されると判断した特殊部隊員達が、構成員らを射殺する。

車内で待機していたケイトだが、地元警官の1人が自身に銃口を向けている事に気がつく。
咄嗟に銃撃をかわして、警官を射殺する。

帰還後、ケイトは今回の作戦の違法性についてマットに激しく抗議する。
アレハンドロはギレルモからディアスの居住地を聞き出す。

『ボーダーライン』あらすじ ネタバレあり

マットとアレハンドロは麻薬密輸用の地下トンネルを発見し、これを抑える作戦を立てる
作戦中、アレハンドロは部隊から離れ、メキシコ側の出口から外へ出る。
彼はディアスにつながる汚職警官を拘束し、その仲間を射殺する。

後を追ってきたケイトは、アレハンドロに銃を向けて静止を命じる。
間髪を入れずに、彼女はアレハンドロにに防弾ベストを撃たれる。
そして「二度と俺に銃を向けるな」と彼に警告される。

ケイトはトンネルを引き返し、この作戦の真の目的を聞かされる。
作戦の目的は、アレハンドロをメキシコ側に送り込むためのものだった。

マットはアレハンドロの正体について明かす。
アレハンドロは、メキシコ麻薬カルテルに家族を殺されたメキシコ政府の元検事であった。
復讐のために、コロンビア麻薬カルテルの傭兵として参加しているという。
アメリカ政府の目的は彼を利用し、コロンビア麻薬カルテル一党支配を確立すること

アレハンドロは、逃亡中のディアスを拘束し、汚職警官を射殺する。
彼はディアスを使い、アラルコンの元まで辿りつく。
道中にいる護衛は全員射殺し、ディアスも殺害する。

彼は家族と食事をしている麻薬王アラルコンと対面する。
アラルコンはアレハンドロを見るなり、その正体に気づく。
そして子供たちは助けて欲しいと請う。

アレハンドロは、アラルコンに家族を殺害を命じたのは誰かと問う。
アラルコン本人であることが明かされ、アレハンドロは家族とアラルコンを射殺する。

後日、ケイトのアパートにアレハンドロが現れる。
今回の捜査は全て合法なものだったという書簡にサインするように命じる。
ケイトは拒否するが、脅しをかけられてサインをしてしまう。
アレハンドロは彼女に、この国での仕事は無理だと告げ、その場を去る。
その場を去るアレハンドロに、ケイトは銃口を向けるが、引き金を引けずに諦める。

『ボーダーライン』見どころ2点

ボーダーラインの見どころを2点紹介します。

主演 エミリー・プラントの演技

近年ではホラー映画の「クワイエット・プレイス」で娘を守る強い母親を演じています。
本作では一転して、バリバリのFBIの女性捜査官を演じています。
強い女性ではありますが、弱い部分も感じさせる役柄になっています。
スーパーヒロインではなく、等身大の女性像になっています。

本作では合法・非合法が曖昧な世界で翻弄され続けます。
現場経験の長い彼女でも、まるで小娘のように扱われ続けます。
それでも彼女は必死に立ち向かおうとするが、無力で何もできない様をしっかりと演じています。

アレハンドロが彼女のアパートに現れる最後のシーンは、象徴的なシーンです。

正体不明のコロンビア人を演じるデル・トロ

本作ではまさに復讐の鬼を演じています。
絶対に復讐するという静かな迫力が、画面から伝わってきました。
特に自身の家族の殺した麻薬王と対面するシーンは見どころです。

画面上は静かに語りかけるだけのシーンになりますが、彼から感じる冷静な殺意に魅入ってしまいます。

映画のクライマックスシーンになるとは思いますが、それにふさわしい演技になります。

余談になりますが、2018年公開の「ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ」にも同役で出演しています。
彼に焦点を当てた物語なので、このキャラが気に入ったら、是非観ることをおすすめ
します。

『ボーダーライン』感想

激しい銃撃戦やアクションシーン等はあまりなく、人物描写を描く映画になります。
大まかな感想としては、いい意味で期待を裏切られました。

簡単なあらすじだけを読んで、アクション映画なのかと予想していました。
あらすじには「FBI」「メキシコ」「麻薬」という激しい展開を予想させるキーワードが載っていました。
なので銃撃戦やアクションシーン、いわゆるドンパチする映画なのかと期待していました。

しかし銃撃戦やアクションシーンは少しある程度で、基本的には倫理観や法が通用しない世界で、翻弄される主人公を中心に映画が進みました。

ですが、物語を演出する重厚な音楽や復讐の鬼となったデル・トロの演技はとても観たかいがありました。

個人的にはトンネル突入時の音楽は、緊張感が一番高まったので、とても印象に残っています。

激しい銃撃戦を期待すると、期待とは外れます。
本作ではそのようなシーンは添え物程度です。
音楽や人物描写を期待して鑑賞すると良いと思います。

『ボーダーライン』総括

法の正義ではなく、暴力が全てを支配する世界において、良く言えば葛藤する、悪く言えば右往左往する主人公を描いた本作になります。

主人公の反応が自然であり、あの状況に飛び込めば、誰しもあのようなリアクションをすることでしょう。

本作をおすすめできる人は、ヒューマンドラマが好きな方です。
常識や正義の境界がはっきりとしない世界で、良識がある人物がどのような感情を抱くのかといった様子はキチンと描かれています。

またダークな人物描写が好きな方に、おすすめです。
復讐という法律では許されない行為を行う人物の様子も描かれています。

おすすめできない人は、何も考えずに映画を観たい方です。
本作は重厚な物語であるが故に、しっかりと鑑賞しないと、内容が頭に入ってきません
派手なアクションやコメディを観て、気分を変えたいなという方にはおすすめできない一作になっています。