NYのアッパーイーストサイドにあるザ カーライルホテルは1930年に創業されたいわばNYの象徴ともいえるホテルである。
ジョン・F・ケネディやマリリン・モンロー、そしてロイヤルファミリーなど数々のセレブと言われる人々を魅了してきた鍵はどこにあるのか。
これは人々の記憶と証言からカーライルホテルの人々の歴史を辿るドキュメンタリー映画である。

『カーライル ニューヨークが恋したホテル』あらすじ

カーライルホテルは冒頭でご紹介した様に、セレブと呼ばれる人たちが好んで利用してきたホテルだ。
ハリウッドのVIP達に愛される魅力の1つとしてホテルマン全員の「口の堅さ」が挙げられる

宿泊したセレブのエピソードについてホテルマンにインタビューを行っていくのだが、ほぼ目新しい話は聞くことができない。
もう少し具体的な話を望んだり、やや踏み込んだ質問に対しては全て「No」だ。

たとえ自分たちのホテルの為の映画であったとしても例外はない。
カーライルホテルの精神が徹底されていることがわかる。
ホテルマンが答えないのであれば、と少し違う視点から、今までに宿泊してきているセレブ側にカーライルホテルの魅力を聞くインタビューが繰り広げられる

カーライル ニューヨークが恋したホテルのインタビューに答えてくれるのはジョージ・クルーニーやハリソン・フォードやロジャー・フェデラーなど名立たる大物たちである。

彼らは何度もあえてカーライルに宿泊し、ある時は数か月単位で連泊するという。
もはや第二の家のようでもある。
彼らはカーライルホテルの魅力を聞かれると口々にホテルマンの名前を挙げ、彼らがいかに素晴らしい人々かを語り始める。

実に密度の濃い付き合いをしているのが窺い知れる。
そこでスクリーンにはカーライルホテルの簡単な見取り図が映し出され、エリアごとにホテルマンをクローズアップしていくことで物語を進行していく。
彼らにまつわるセレブたちとのストーリーを聞くことで彼らがいかに愛され、カーライルホテルがいかに素晴らしいホスピタリティを持っているかを提示していくのである。

カーライルホテルは老舗ホテルだ。
宿泊客も愛嬌たっぷりに「古いホテル」と揶揄する

古いホテルであれば如何様にも現代の流れに沿って変わっていく事ができるがカーライルホテルはあえてそれをしてこなかった。
だが、だからこそ、人々はカーライルホテルを訪れることで昔を思い出し、旧友に会うかのように懐かしむことができるのである。
古き良き時代の姿をカーライルホテルに宿し続けているものこそ、そこで働く人々なのである。

『カーライル ニューヨークが恋したホテル』みどころ

カーライル ニューヨークが恋したホテルでクローズアップされるホテルマンは受付やレストランのウエイターなど、人々の目に留まりやすいホテルマンだけではなく、ルームキーパーや枕カバーに刺繍を施す人、エレベーターボーイなどありとあらゆるホテルマンが分け隔てなくクローズアップされている

それはカーライルホテルが全ての仕事に誇りを持ち、ファミリーであるということの象徴ではないだろうか。
実際、カーライルホテルで働く従業員たちの大部分がそんなカーライルホテルを愛し、そこで働けることを誇りに思っているのがインタビューを見ていてひしひしと伝わってくる。

またそれは勤続年数にも表れており、彼らのほとんどは勤続年数が30年や40年といった人たちだ。
もちろんまだ10年未満の人もいるがその人たちは口々に「私なんてまだまだ新米だ」「定年するまでここで働きたい」と語っている。

転職も自由な現代でここまで言い切れる人もなかなか珍しいことである。
そんなホテルマンと常連客達は非常に仲が良く、親しくしている人がほとんどであるが、それはホテルの作りやステイタスに限らず、いつまでも変わらない人たちの元へ会いに来るという感覚が宿泊客にあるからではないだろうか。
そこにはホテルを通した人と人との繋がりがあり、古き良き時代の人との交わり方が残っているのである。

現代にしては珍しく莫大な広告費なども賭けていないがそれでも宿泊客が途絶えず、また常連客を増やし続けているのはホテルマンそのものが重要な役割を担っていることがわかる。
自身の仕事に誇りを持ち、ホテルマンとして徹底し尽している姿は現代で失われがちな他者との関りの中で気づく温かい交流、そして誇りをもつことの重要さを私たちに教えてくれるのである。

『カーライル ニューヨークが恋したホテル』まとめ

カーライル ニューヨークが恋したホテルはドキュメンタリー映画である。
守秘義務を徹底していることからセレブ本人たちのカーライルホテルへの想い以外にセレブの真新しい逸話などを知れる映画ではない。

いわゆるゴシップ映画ではないのだ。
創業以来、人々を繋ぎとめてきたのはそこで働く「人」そのものである。

ホテルマンの気配り、人を楽しませたいという気持ち、その精神が今も人々を魅了してやまないのである。
このごくシンプルなことが今の時代にいかに重宝され、求められているのか、そしてそれを貫くことの素晴らしさをこの映画を通して知ることができるのである。
そしてこの映画を観た人は一度はカーライルホテルに泊まることを夢見るであろう。