今回スポットライトを当てる映画は2019年1月11日に公開された映画『クリード 炎の宿敵』。

前作以上にストーリーに重厚感の増した、クリード伝説の最終章。

『ロッキー』シリーズのスピンオフ映画だった『クリード チャンプを継ぐ男』の続編となる作品。

今回は、1985年にアポロ・クリードが戦ったイワン・ドラゴの息子との対戦が描かれる。監督は前作のライアン・クーグラーが製作総指揮に移り、スティーブン・ケイプル・Jrが引き継いでいる。

主要キャストは変わらず

  • 主人公のアドニス・クリード役にマイケル・B・ジョーダン
  • 恋人のビアンカ役にテッサ・トンプソン
  • ロッキー役はもちろんシルヴェスタ・スタローン

そして今作の目玉であるイワン・ドラゴ役も『ロッキー4 炎の友情』と同じくドルフ・ラングレン。

その息子で対戦相手となるヴィクター・ドラゴをフロリアン・ムンテアヌが務める。

『クリード炎の宿敵』あらすじ

リッキー・コンランとの壮絶な戦いを繰り広げ、負けたとはいえ大きなインパクトを残したアドニス・クリード。

その後、ロッキーをトレーナー兼セコンドとして破竹の勢いで勝利を積み重ね、王者・ダニー・ウィーラーも破り父アポロと同じくヘビー級チャンピオンまで上り詰める。

そして、恋人のビアンカにプロポーズもしてまさに公私ともに絶好調であった。

その絶好調のアドニスとロッキーの前に現れたのが、最強の挑戦者ヴィクター・ドラゴ。

ドラゴ」の名は、クリード家そしてロッキーにとっては因縁どころではない。

1985年、アポロ・クリードをマットの上で葬ったのがイワン・「ドラゴ」だからだ。

ヴィクター・ドラゴは名前の通り、イワンの息子。

イワンはアポロ戦の後、ロッキーに敗れすべてを失っていた。

そして唯一、残された息子に己のボクシング技術を教えこみ、戦闘マシーンに育て上げたのだった。

そして今、満を辞してアドニスの王座に挑戦してきた。

その執念に危険なものを感じ取ったロッキーは、これからの人生を考えて、アドニスに対戦をしないよう忠告する。

しかし、アドニスはその忠告を聞かずロッキーとは袂を分かちヴィクター・ドラゴと戦う決意をする

アドニスはロッキーと別れた後、ビアンカとともに生活の拠点もフィラデルフィアからL.A.に移した。

そんな中、ビアンカの妊娠がわかり、アドニスは父親として防衛戦に臨むことになった。

迎えた防衛戦、セコンドにはロッキーではなくアポロのセコンドだったデュークの息子が務めることになった。

試合が始まると、明らかに体格で劣るアドニスは大苦戦。

なかなか自分の間合いに持ち込めず、ヴィクターのパンチを浴び続ける。

ラウンドが進んでも形成は変わらず、ヴィクターの強烈な右ボディを受けて肋骨も折れてしまう。

テレビで見ているロッキーの不安も大きくなっていく中で迎えた第3R、完全に防戦一方となったアドニス。

骨折している肋骨へのパンチを受けて、ひざまずいてダウンをしたところにまともにヴィクターのパンチをもらい完全に意識を失ってしまう。

試合を止めろというロッキーの願いも虚しく、不安が的中してしまったのだった。

試合はヴィクターの反則負けでアドニスは王座防衛。

しかし、どちらが強いかは一目瞭然だった。

アドニスは病院のベッドの上で、負けた悔しさと父親としての姿が見せられなかった情けなさで、人目もはばからず涙を流すのであった。

防衛線の後、失格負けを喫したヴィクターは再びリングに上がり、連勝街道を走り続けていた。

しかし、そのヴィクターとイワンにも拭えない家族のわだかまりがあった。

それが母親の存在である。

イワンがロッキーに敗れた後、妻はイワンとヴィクターを捨てて別の男の元へと去ったのであった。祝賀会で母親と再会したヴィクターは感情を爆発させる。

ヴィクターにも「ドラゴ」の名を再び輝かせる使命があったのだ。

一方、傷も癒えてリハビリを開始したアドニスは、リングに気持ちが向かずジムから足も遠ざかっていた。

そんな息子を励ましてほしいと、メアリー・アンから手紙をもらったロッキーはL.A.に向かう。

久しぶりに対面した二人。

アドニスは、今までは自分を証明するために戦ってきたが、今は「アポロ」の名前を背負うプレッシャーが辛いと語る。

そして、リング上で聞こえてきた父親の声が聞こえてこなくなったと告白する。

お互い語り合うことでようやく和解した二人に、ビアンカがもうすぐ出産するという電話が入る。

ビアンカは、女の子を産んだ。

名前はアマーラ。

妊娠した時からビアンカは、自分の抱える進行性の難聴が遺伝性でないかを気にかけていた。

アマーラに聴力のテストを受けさせると、やはりアマーラも聴力に何らかの問題を抱えているようであった。

絶望するアドニスとビアンカ。

しかしロッキーは言う「あの子は自分を憐れんでない」と・・・

アマーラもビアンカも生まれ持った境遇に、負けずに戦っていることに気づいたアドニス。

ついに自らも「アポロ」の名前を解き放ち、「アドニス」として戦うことを決意した。

そしてそれを証明する場所は、ヴィクターとの再戦のリングである。

ヴィクターとの再戦の地はロシア。

完全なアウェーで強敵ヴィクターを倒すために、これまでのジムから、砂漠のど真ん中にあるボクサーの虎の穴での猛特訓が始まる。

地獄のような環境で、文字通り「アドニス」として生まれ変わるために。

『クリード炎の宿敵』ネタバレありラスト

ついに迎えた試合当日。アドニスはチャンピオンでありながらアンダードッグとして試合に臨む。

セコンドにはロッキー、観客席にはビアンカが控える。

対するヴィクターはセコンドはイワン、客席には母親が再婚相手と座っている。

試合が始まると、前回とは違いアドニスも的確にパンチをヴィクターに当てていく。

ヴィクターからもパンチを受けるが、耐えることができている。

ロッキーのアドバイスも効果的で、地力に勝るヴィクターが徐々に主導権を握り始めるものの、最小限の差でラウンドは進んでいく。

迎えた第9R、焦るイワンからの指示を受けたヴィクターが、反則すれすれのホールディングからボディを見舞い、再びアドニスの肋骨が折れてしまう。

コーナーに戻ってきたアドニス。

しかしロッキーはもうアドニスを止めようとはしない。

肋骨の骨折をエサにヴィクターを誘い込み、カウンターを打つように指示をする。

第10R、執拗にボディを攻めるヴィクター、アドニスもカウンターを時折見せるがついに3度目のダウンを喫してしまう。

もうダメかと誰もが思ったが、それでもアドニスは立ち上がる。

不屈のチャンピオンとなったアドニスがここから猛攻を仕掛け始める。

そしてついに王者の右がヴィクターを捉え、ヴィクターがダウン。

何とかヴィクターは立ち上がるものの、完全に形勢は逆転。

アドニスが再びラッシュを加え2度目のダウン

ここも何とかKOは免れるが、なおも攻め続けるアドニスの前にもうヴィクターは立ってるだけで精一杯という状態。

ここでセコンドのイヴァンがたまらずタオルを投げ入れて試合終了。

今度こそアドニスが文句なしの王座防衛を果たした。

試合後、アポロの眠る墓を訪ねたアドニス。

ヴィクター・ドラゴを倒したことをアポロに伝えるのだった。

しかし、それは因縁や敵討ちではない、それぞれがそれぞれの生き様を示す戦いだった。

ヴィクターは再びイヴァンとトレーニングを始め、そしてロッキーもまた自らの生き様を伝えるために息子に会いにいくのであった。

『クリード炎の宿敵』感想

前作『クリード チャンプを継ぐ男』の続編となる今作。

前作がアポロの息子をロッキーが育てるという内容でしたが、今作ではアポロが試合中に死んだ時の対戦相手、イワン・ドラゴの息子が対戦相手という因縁溢れる設定です。

前作と変わらず新聞やYoutube、HBO SPORTSといった実在するメディアを駆使することで、登場人物たちが非常に実在感のあるものとなっています。

ボクシングの試合もさすがの出来で、迫力のある映像となっています。

特に最後の試合で、アドニスがダウンを奪ったところで流れるロッキーのテーマと、モハメド・アリのように叫ぶアドニスのシーンは鳥肌ものです。

ストーリーは分かりやすく、ともすればワンパターンにも見えますが、前作以上に今回は対戦相手のドラゴ親子の人物像が掘り下げられています。

アドニスに戦う理由があるように、ドラゴ親子にも戦う理由があるのです。

そして最後には、親世代の因縁を超えて自分たちが生き様を見せるために戦うというところに行くのがとても前向きなメッセージです。

そしてもう一人の主人公であるロッキーもまた、自分のライバルの息子たちの生き様を見ることで、自らの人生と向き合い、息子との再会を決意するのです。

迫力のある映像と前向きなメッセージで見終わった後は、とても清々しい気持ちになる映画でした。