故ヒース・レジャーの演じた悪役ジョーカーと、ダークな物語が高く評価された前作『ダークナイト』。
今作はそこから8年後、バットマンが姿を消したゴッサムシティから物語が始まります。

メインキャストのクリスチャン・ベールをはじめ豪華俳優陣が顔を揃える『ダークナイト ライジング』ですが、今作では、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、アン・ハサウェイ、マリオン・コティヤールがダークナイトの世界に加わります。

そして悪役として登場するのはトム・ハーディ。
前作のジョーカーに負けない存在感を持つ最強の敵ベインを、トム・ハーディが怪演しています

監督は前作に引き続き、クリストファー・ノーラン監督が務めます。
CGには極力頼らず、リアルを追求して作られた迫力のシーンの数々は圧巻です。

ノーラン監督が手がけたバットマンの三つの物語、『ダークナイト・トリロジー』の最終章となる今作。
街を救う為に戦い続けたバットマンの物語がどのような形で終わりを迎えるのか注目です。

『ダークナイト ライジング』あらすじ

デント法により犯罪率が低下したゴッサムシティ。
何年も人前に姿を現さず生活していたバットマンことブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は、セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)に指紋と母の形見のネックレスを盗まれます。

この事件を発端に外の世界に出るようになったブルースは、警察本部長ゴードン(ゲイリー・オールドマン)が撃たれたこと、そして地下での不穏な動きをジョン(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)から報告されます。
今こそバットマンが必要だというゴードンの言葉を聞いたブルースは、バットマンの復帰を決意します。

執事アルフレッド(マイケル・ケイン)の調査によると、今回の敵ベイン(トム・ハーディ)は奈落と呼ばれる牢獄から脱獄し、ブルースと同じ師に従事しながらも破門された過去を持つことが分かります。
アルフレッドはブルースの身を案じこのまま引退するよう進言しますが、ブルースの決意を変えることができず、アルフレッドは主人の元を去ります。

セリーナに盗まれた指紋が使われ、破産させられたブルースは社長の地位も資産も失います。
ミランダ(マリオン・コティヤール)が後任になりますが、ウェイン産業の取締役会に現れたベインにより、エネルギー産業の為に作られた核融合炉を核爆弾へと作り変えられてしまいます。

街を救う為、再び姿を表したバットマンでしたが、セリーナにはめられ、ベインと直接対決をすることになります。
ベイン相手に全く歯が立たず、敗北を喫したバットマンベインは奈落へと幽閉されてしまいます。

重傷を負ったブルースが奈落の底で目にしたのはベインによって恐怖と絶望に突き落とされたゴッサム市民の姿でした。
怒りを原動力に傷を癒し、体を鍛えるブルースは奈落からの脱出を試みますが地上にたどり着くことができません。

絶望と怒りの中で彼が聞かされたのは、自由を強く求め、命綱をつけずに脱獄に成功した子供の話でした。
死の恐怖があるからこそ、強さを手にすることができる
自分に足りないものに気がついたブルースは、再び立ち上がる為、命綱をつけずに奈落脱出に挑みます。

『ダークナイトライジング』見どころ4点

ダークナイトライジングの見どころを4点紹介します。

強敵ベイン

鍛え上げられた肉体と独特なマスクが存在感を放つ、今作の悪役ベインは非常に魅力的なキャラクターです。
奈落と呼ばれる牢獄から脱獄し、ブルースの師でもあったラーズの元で修行をするも破門された過去を持つベイン。

下水道での対決時には圧倒的な強さを見せつけ、バットマンを叩きのめします。
バットマンが太刀打ちできずにやられてしまうこのシーンには、正義が悪に負けるという衝撃を与えられます。

また肉体的な強さだけではなく、力のある言葉を使うことができるベイン
スタジアムとブラックゲート刑務所前での演説で一貫しているのは、市民に問いかける姿勢と、街を腐敗した権力者から市民の手に取り戻せという言葉です。
ベインは心の中の闇を上手く突き、人々を混沌の渦へと導いていくのです。

ベイン役のトム・ハーディの演技も素晴らしく、目以外はマスクで覆われているという外見にも関わらず、目だけでベインの威圧感や力強さを見事に表しています。
アクションシーンの存在感も迫力を感じられますが、スタジアムでの演説シーンでは特に注目してほしいところです。
目だけで全てを語るトム・ハーディの演技は必見です。

絶望の象徴”奈落”がもたらした物

奈落と呼ばれる牢獄が絶望の象徴として登場します。
そこは、地中深くに作られた牢獄からは空が見え、囚人たちに脱獄できるかもしれないという希望を与えます。

しかし地上は果てしなく遠く、希望は簡単に打ち砕かれます。
ベインのセリフに「希望があるからこそ、真の絶望がある。」というものがあります。
その言葉の通り、頭上に外の世界という希望が見えるからこそ、奈落から決して出られないという絶望が深く心に刻まれるのです。

奈落には一つの伝説があります。
絶望の地で生まれ育ち、命綱無しで脱獄に成功した子供の話を聞いたブルースは、その子供がベインではと推測します。
子供の時から絶望の中で育ってきたからこそ、あの強さがある。
奈落は、そこから生まれ出たベインという怪物の恐ろしさを際立たせる存在でもあります。

そして奈落は、ブルースを変える為の試練の場としても描かれています。
奈落に幽閉され、自分の手の届かぬところで街が破滅に向かって進んでいく様子を目にしたブルース。
ベインを止める為にはここを脱出しなければいけませんが、今のままでは外に出ることができません。
自分に足りないものは何か気づくことができるかが、奈落脱出の為の課題として描かれています

二人の警官の姿

他の警官とは違う雰囲気をまとうゴードンとジョン。
最後まで諦めず、街を救う為に戦い続る二人もまた、ヒーローとして描かれています。

ゴードンは正体は知らなくても、バットマンを信頼して共に街を守ってきました。
彼は次第に悪を取り締まりたくても、組織と法に抑制されて自由に動くことができない現状にジレンマを抱えるようになります。
彼が選んだのは、市民を欺き、真のヒーローであるバットマンを悪にすること。

こうするしかなかったと苦しげに呟く彼の姿から、その選択がどれほど辛いものだったかが伝わってきます。
追い込まれたゴードンでしたが、彼は逃げることなく敵に立ち向かっていきます。

その洞察力で刑事へ昇進し、ゴードンと共に戦うことになったジョン。
バットマンの正体がブルースであることを見抜き、警察が腑抜けた後も街を守るため、緊張感を持って仕事をしています。

どんな窮地でも諦めず、自分の持つ力を最大限に発揮して、ゴッサムシティの危機に立ち向かっていきます
ゴードンが市民を欺いていたことを知った時は幻滅した様子を見せますが、ベインとの戦いでゴードンが苦悩していた意味を知ります。物語終盤で彼が見せる決断は、新たな物語の始まりを予感させます。

主人と執事

ブルースと執事アルフレッドの関係も非常に重要なポイントです。
長くウェイン家に仕えていたアルフレッド。
ブルースのお世話はもちろん、時には敵の情報収集にあたるなど、様々な面でブルースを支えてきたアルフレッドの姿からは、ブルースに対する深い愛情を感じます。

アルフレッドがブルースに望むことは、穏やかに幸せな人生を送ってほしいということです。
生まれた時からブルースの側で彼を見守ってきたから、辛いことが多すぎた彼の幸せを強く望んでいるのです。
やっと外の世界に目を向けるようになったと思った矢先、強大な敵が現れ、ブルースがバットマンとして復帰を考えていることに気づきます。
もう十分戦った、これ以上破滅の道を進む必要はないと訴えるアルフレッドの姿から、家族のような存在であるブルースを失いたくないという思いが伝わってきます。

主人の元を去るという自分の判断を悔やむシーンや、ラストのカフェで見せる表情など名優マイケル・ケインの心を打つ演技には涙を誘われます。

『ダークナイト ライジング』感想

重厚なストーリーを展開させ、魅力的な悪役も多く輩出したノーラン監督のダークナイトトリロジー
『ダークナイト ライジング』はその最終章として、心を打つ素晴らしい内容になっています。

バットマンの再起の物語と、ベインの暗い過去の物語が混ざり合い深みを増すストーリ。
そしてベインを怪演したトム・ハーディだけでなく、クラシックでキュートな魅力のキャットウーマンを演じたアン・ハサウェイや絶望から立ち上がろうとするブルースを演じたクリスチャン・ベールなど、映画の世界に引き込まれてしまう豪華な俳優陣の迫真の演技。
またCGには極力頼らないノーラン監督のこだわりが生み出した迫力のシーンの数々。

圧倒的な力を見せつけられ、ベインに敗れたバットマンはゴッサムシティの危機を救う為に再び立ち上がることができるのか。
ラストに向けて緊張が高まっていく『ダークナイト ライジング』は、最終章に相応しい見応えのある作品に仕上がっています。

『ダークナイト ライジング』総括

様々なキャラクターの想いを受け止め、最強の敵ベインからゴッサムシティを救うべく、戻ってきたバットマン。
色々なものを失いながらそれでも戦いうことを辞めない彼の姿は、まるで死に場所を求めているかのようにも見えます。
絶望と恐怖から街を救うべく立ち上がったブルースが、自分自身を破滅の道から救うことができるのか。
絶望の淵にたたずむブルースをクリスチャン・ベイルが熱演しています。

今作の悪役ベインが単なる悪ではなく、確固たる信念を持つ者としてバットマンの前に立ちはだかる姿も印象深いです。
物語が進むにつれて徐々に明らかになるベインの過去、そしてマスクをつけることになった理由など、ベインにまつわるストーリーが語られるほど、この悪役に強烈な魅力を感じます

豪華なキャストが演じるキャラクターと重厚なストーリー、そしてノーラン監督が作り出すリアルを追求した世界観は、ダークナイトの最終章に相応しい内容になっています。
単なるヒーロー映画ではなく、壮大な物語の終焉を目にしたい、そんな気持ちの時に見て欲しい作品です。

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