今回スポットライトを当てる映画は2018年5月25日(日本)にて公開された映画『犬ヶ島

『ダージリン急行』や『グランド・ブダペスト・ホテル』など、独特なキャラクターとおとぎ話のようなストーリーで、不思議な世界を作り出すウェス・アンダーソン監督。

最新作『犬ヶ島』は、日本文化からもインスピレーションを受けて作られた、ストップモーションアニメです。

アンダーソン監督が描く未来の日本、愛犬を探す少年の”ワン”ダフルアドベンチャーの世界観はストップモーションアニメに馴染みがない方にも楽しんでもらえる作品だと思います。

映画「犬ヶ島」あらすじ

近未来の日本、ウニ県メガ崎市。
ドッグ病という伝染病が流行り、人間への感染を恐れた犬嫌いの小林市長が、全ての犬をゴミ島へ追放してしまいます。
ボディーガードであり大切な友達スポッツを探し出す為、市長の養子アタリ少年は、飛行機に乗り一人ゴミ島へ向かいます。

そこで彼は5匹の犬たちと出会い、スポッツを探す旅を始めるのです。

元々飼い犬だったレックス、キング、ボス、デュークはアタリに懐きますが、ノラ犬のチーフだけは彼に反発し、心を開こうとしません。

身体中怪我だらけでも、市長からの追っ手に追いかけられても、アタリはスポッツ探しを決して諦めません。

ゴミ島の犬たちに対しても愛情を向ける心優しい少年の姿を見て、チーフは次第に心を開いていきます。

そして敵に追われ絶体絶命の中、ついにスポッツとの再会を果たします。

無線でアタリと会話ができるスポッツは、ゴミ島に追放されてから起こったことを話し始めます。

先住犬たちに助けられたこと。
かつてこの島の研究施設で多くの犬が実験体にされていたこと。
ペパーミントというメスと出会い、子供が生まれること。
そして反乱軍のリーダーとなり、他の犬たちを導く立場になったこと…。

全てを話したスポッツは、アタリへの忠誠心を改めて誓いながらも、ボディーガードを解任してほしいと頼みます。

それを聞いてチーフは怒りますが、さらにスポッツは驚きの事実を伝えます。

それは2匹が生き別れた兄弟だということでした。

一方で市長選を控えたメガ崎。
市長選の立候補者でありドッグ病の血清を研究していた渡辺教授は、ついに結成を完成させ、助手のオノヨーコと共に小林市長に報告に向かいます。

ドッグ病が治癒可能になったことを知った市長は、血清完成の報告書を燃やし、教授を毒殺します。

そして真実を隠し、教授は自殺したと世間へ発表したのでした。

市長のことを快く思っていなかった交換留学生のトレイシーは、教授が自殺したという報道を見て怒りに震えます。

彼女は市長の悪事を暴き、犬を救う為、新聞部の仲間と協力して情報を集めます。

ついに真相を突き止めた彼女は、ヨーコからドッグ病の血清を手に入れるのです。

市長は再選した際には、ゴミ島に毒ワサビのガスを撒き、犬を根絶やしにすることを公約に掲げていました。

市長の計画を阻止する為、アタリと犬たちは船に乗りメガ崎市を目指します。

再選を果たした市長の前にトレイシーたちが現れます。
市長の悪事を暴こうとしますが、全く相手にされません。

そこへアタリが犬たちを引き連れて現れました。
彼は市長の目の前でチーフに血清を使い、その効果を証明します。
そして犬がいかに素晴らしい生き物かを訴えます。

アタリの言葉を聞いた市長は自分の過ちを認め、毒ワサビ散布計画を中止しようとしますが、側近のドウモは公約違反だと怒り、ロボット犬やスポッツを巻き込んだ大乱闘になります。

乱闘の末ボタンが押されますが、島へ潜入していた新聞部員の活躍により、ゴミ島の犬たちは命を救われました。

腐敗した小林政権がついに倒されたその夜、メガ崎市には花火が打ち上がり、犬を愛するアタリ市長の誕生をお祝いしたのでした。

映画「犬ヶ島」ラスト(結末)

小林市長たちは投獄され、血清により病気を治すことができたレックス、キング、ボス、デュークたちは飼い主の元へ戻ります。

新市長となったアタリは、トレイシーをはじめとする新犬派と共に、人と犬に優しい街づくりを行ないます

ボディーガードになったチーフは、好意を寄せているナツメグと共に任務に励みます。

そして大乱闘で大怪我を負ったスポッツは、ペパーミントと子供たちと共に、スポッツの像が建てられた神社で穏やかな時間を過ごすのでした。

映画「犬ヶ島」見どころはウェス・アンダーソン監督の世界観

犬ヶ島の見どころは、ウェス・アンダーソン監督が作り出す、懐かしさや切なさを感じさせる独特な世界です。

監督は、黒澤明監督や宮崎駿監督、広重や北斎といった日本文化からもインスピレーションを受けているそうで、映画の中でも日本へのオマージュを感じることができます。

看板が立ち並び、ネオンが煌めくメガ崎市は、監督の想像する理想の日本。
そこに神社や歌舞伎、寿司などの日本文化が混ざり合っています。

近未来と古典的な日本が融合しているメガ崎市を細かく見ていくと、昭和の日本のようなノスタルジックな雰囲気まで感じさせらるのです。

そしてカラフルな新世界メガ崎市とは対照的に、色のない旧世界として描かれているゴミ島には廃墟も多く登場します。

工場や発電所、ジムや遊園地といった廃墟を見ていると、確かに人が住んでいた名残があるのです。

廃墟となった過去の世界に、人間に捨てられてしまった犬たち。
そんな世界へ愛犬を探す為に一人でやってきたアタリと、彼と心を通わせていくノラ犬チーフ。

そこへアレクサンドラ・デスプルが手掛けた美しい音楽が流れると、色のないゴミ島が、エモーショナルな世界へと変化するのです。

こうして作り出されたウェス・アンダーソン監督の世界が、『犬ヶ島』一番の見どころです。

映画「犬ヶ島」感想

『犬ヶ島』は、実写でもCGアニメでもない、ストップモーションアニメ独特の雰囲気を味わうことができる映画です。

長い時間と手間をかけてコツコツと作られたアニメーションに、豪華な顔ぶれの俳優陣たちが声をあて、パペットたちに命が吹き込まれます。

そうして動き出したパペットたちが紡ぎだすのは、心優しい一人の少年と犬たちのおとぎ話のような物語。

日本へのオマージュも感じることができる『犬ヶ島』は、日本に住んでいるからこそ感じることができる、“内側からの視点”で見ることができます

浮世絵などの視覚的なものから、太鼓の音など聴覚的なものまで様々な日本文化がウェス・アンダーソン監督独特の世界観と融合しています。

特に、メガ崎市民から読み取ることができる“昭和の時代の生活感”は日本人だからこそ懐かしむことができる感覚ではないでしょうか。

ゆっくりと時間をかけて、監督の世界観と日本へのオマージュを楽しんでほしい作品です。

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