2016年に公開されたデミアン・チャゼル監督のミュージカル映画『ラ・ラ・ランド』
単なるミュージカル映画ではなく、物語やメッセージ性も強い本作は第89回アカデミー賞でも14ノミネートを果たし、大成功を収めた。
本サイトでは『ラ・ラ・ランド』の見どころをご紹介。
今更…と観る機会を失っていた人もこれを機に是非見てみては。

『ラ・ラ・ランド』あらすじ

季節は「冬」…

女優志望のミア(エマ・ストーン)といつかは自分のジャズの店を持ちたいと願うジャズピアニスト、セブ(ライアン・ゴズリング)の2人は出会った。

渋滞に巻き込まれていたミアはオーディションの台詞を覚えることに必死で車が動いたことに気付かず、後ろにいたセブにクラクションを鳴らされ、去り際に悪態をつかれてしまう。
これが2人の最初の出会いだった。

そして再会-ある日ミアはピアノの音に惹かれレストランへ入る。
そこでピアノを弾いていたのがセブだった。
ミアは感動し声をかけようとするもオーナーの指示に従わずクビを宣告され苛立っていたセブにまたもや冷たい仕打ちをされてしまう

「春」…

ある日のパーティーでまたもや2人は出会う。
お互い嫌味を言いあうも、ひょんなことからミアの車を一緒に探すことになった2人は歌を歌いながら幻想的な夕暮れと共に少しずつ惹かれあっていく。
そして数日後ミアのバイト先を訪れたセブはミアを連れ出しお互いの夢を語り合う

セブに心惹かれたミアはある日、恋人とのディナーを抜け出しセブの元へと向かう。
2人は人のいないグリフィス天文台で晴れて恋人同士となるのであった。

「夏」…

幸せの絶頂にいた2人はすれ違い始める。
相変わらず女優として芽が出ないミアはセブの助言でひとり芝居の脚本を書き始める

一方のセブは店の資金集めの為、かつての友人キース(ジョン・レジェンド)とバンドを組む。
だが、バンドの音楽は純粋なジャズとは程遠く、いつしかセブは店を持つ為ではなく、生きる為に音楽をするようになっていく

「秋」…

新たな出発の季節。
バンドが大成功をおさめツアーで各地を周るセブが久しぶりにミアの元に帰ってきた。
しかし、ミアはかつてのジャズだけが好きなセブに戻ってほしいと願い、ついにセブと衝突してしまう。

数日後、散々な結果となったミアのひとり舞台も観に来なかったセブにミアはついに別れを切り出す
別れて数日後、セブはミアのひとり舞台を観てオーディションを受けに来てほしいというキャスティング担当者の元へミアを連れていくのだった。

オーディション後2人はお互いにやり直す決意をする
そして好きな道を追い求めることも約束するのであった。

「5年後の冬」…

再会の季節
ミアは大女優になっていた。
今や結婚もし、娘もいるミアであったがその隣にいるのはセブではなかった。

ミアは夫と共に1件のBarを見つけて入る。
そこにいたのはセブだった。
そう偶然入ったのはセブの店であった。

セブの演奏を聴いたのち、ミアはそっと立ち去ろうとする。
最後にもう一度ミアが振り返るとセブと目が合い、セブの微笑みをうけミアは店を出るのであった。

『ラ・ラ・ランド』見どころ

ラ・ラ・ランドの見どころを大きく2点解説する。

一切妥協のない徹底的に作りこまれたミュージカル要素

本作は最初、ミアやセブの登場シーンからではなく、歌から物語が始まる。
舞台となっているロサンゼルスは車社会の為、渋滞は日常的なものであるが、どうしても苛々してしまう人々。

クラクションが鳴り響く中、一人の女性が歌を歌い始めることで瞬く間に陽気な大合唱となる。
歌詞は別れを連想する歌詞であり、夢の為に一歩踏みだす自分への応援歌のように感じられる。

その中で鳴り響く楽器、カラフルな衣装を着て踊る人々、そして観ている者を笑顔にするような歌声とパフォーマンス…。

歌が終わり、人々が一斉に車のドアを閉めた瞬間、その一瞬の空白に思わず拍手したくなるほどの圧巻のシーンである。

そしてこの後も所々に歌が現れるのだが、実際には一般的なミュージカルのようにセリフを歌に乗せて話す、というよりは動作の一部として馴染むように音が流れ始め、それが歌へと繋がるといった方が感覚的には近いように感じられる。

だからこそミュージカルを見慣れない人も自然と物語に入りやすくなっている。
また、すれ違い始める後半の物語に話が進むほど、歌自体も少なくなり、ミアやセブに更に感情移入しやすくなるよう工夫されている

5年後の冬に駆け巡る、2人が一緒にいたはずの未来の姿

5年後の冬、ミアの前でセブがピアノを弾いた瞬間、今までの思い出が一気に駆け巡る。
そしてそれは秋、オーディションに受かってフランスへと渡ったミアに付き添っていた自分がいたとしたら―
というセブとミアの更にその先の2人の人生に音楽と共に繋がっていく。

一見、タラレバのようにも感じられるこのシーンだが、実際はどう描いても2人の未来はこうはならなかったという1つの決定打を演出しているようにも感じられる。

なぜなら、セブもミアも夢を持つもの同士だった。
そして遠回りはしたものの、最終的にお互いその夢を妥協することも諦めることもできなかった。

それは2人が惹かれあっていた姿の1つに「互いの才能を愛している」という事実があったからのように感じられる。

それは最後にBarを出るときに振り返るミアに対するセブの微笑みからも見て取れるのではないだろうか。

『ラ・ラ・ランド』感想

『ラ・ラ・ランド』はメッセージ性の強い映画である。

それは単なるハッピーエンドで終わらない結末からも見て取れるが、「夢を追う」ということの難しさ、葛藤をセブとミア、2人の夢追い人の姿を用いることで実にリアルに描いている

セブとミアが自宅で喧嘩をする場面、ミアはセブにジャズだけで生きてほしいと願うが、一方のセブは初めて人に認められた自分の才能、成功、を理由に純粋だった自分のジャズピアニスト時代を否定してしまう。

この場面、一度は夢を持ち、どこかで色んなことを諦め、社会に順応し大人になった人には心に響く場面にもなる。

映画『ラ・ラ・ランド』は単なるミュージカル映画ではなく、観る者の心をうつ映画ではないだろうか。