アメリカ禁酒法時代、酒の密造が盛んにおこなわれていたバージニア州フランクリンを舞台に、実在した伝説のボンデュランド3兄弟の復讐劇を描いた『欲望のバージニア』
豪華な俳優陣をキャストに迎え、アメリカの最も危険だった時代を描いています。

ボンデュランド兄弟を演じるのは

  • 『ターミネータ:新機動/ジェニシス』でジョン・コナーを演じたジェイソン・クラーク
  • 『ダークナイトライジング』のトム・ハーディ
  • 『トランスフォーマー』シリーズのシャイア・ラブーフ

です。
ゲイリー・オールドマン、『メメント』のガイ・ピアーズが悪役として登場し、
『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・チェスティンと、
『アリス・イン・ワンダーランド』のミア・ワシコウスカも物語に華を添えます。

また今作の脚本と音楽を、オーストラリアの鬼才であり、幅広いジャンルのアーティストへ影響を与えているニック・ケイヴ・アンド・ザ・バッド・シーズのニック・ケイヴが努めています。

『欲望のバージニア』あらすじ

禁酒法時代、酒の密造が盛んだったバージニア州フランクリン。
密造酒業に携わるボンデュランド兄弟

  • 長男ハワード(ジェイソン・クラーク)
  • 次男フォレスト(トム・ハーディ)
  • 三男ジャック(シャイア・ラブーフ)

は不死身の伝説を持ち、周りから恐れられていました。
腕っ節も強く、度胸も座った二人の兄たちとは対照的な気弱な弟
弟はいつも兄たちに助けられ、半人前の扱いを受けていました。

ある日、マギー(ジェシカ・チェスティン)という美しい女性が現れ、兄弟の店で働き始めます。
同じ頃、レイクス特別補佐官(ガイ・ピアーズ)が賄賂の話をしにやって来ますが、フォレストに断られます。
レイクスは他の密造業者への見せしめも兼ねて、兄弟を取り締まることにします。

まず狙われたのはジャックでした。
レイクスにボコボコにされた弟を諭すフォレストも、取引相手に首を掻き切られてしまいます。
フォレストが入院している間、ジャックは狂犬と恐れられるフロイド・バナー(ゲイリー・オールドマン)との取引で、大金とフォレスト襲撃犯の情報を手に入れます。
大きな取引を成功させて自信をつけたジャックでしたが、兄たちの凄惨な復讐現場を目にし、彼らの恐ろしさを思い知ります

バーサ(ミア・ワシコウスカ)に想いを寄せるジャックは、彼女を酒造所までドライブに連れて行きます。
バナーとの取引が上手くいき、愛する女性もいる。
伝説の兄たちと肩を並べたつもりのジャックでしたが、彼の行動のせいで、取り返しのつかない出来事が起こってしまうのです。
 

『欲望のバージニア』見どころ

欲望のバージニアについての見どころを3点紹介します。

不死身の男、フォレスト

欲望のバージニアの3兄弟今作の中心人物である次男フォレスト。
猛威をふるい多くの死者を出したスペイン風邪にかかっても、首をかき切られても、彼は死にません。
普通であれば絶対に命を落とすような危険に遭っても、彼はこの世に舞い戻って来ます。
そして”不死身の男”として恐れられるようになります。

彼の魅力は確固たる信念を持っていることです。
誰にも屈せず、常に冷静で頭の回転も早い彼は、兄や狂犬と恐れられるバナーからも一目置かれています。

仲間の危機の時にはすかさず助けに入りますが、ジャックがレイクスにやられた時は、彼の弱さを責めるのではなく、戦う上で大切なことを教えます。
ただ強いだけでなく、信念を持って生きる姿を見てきたからこそ、ジャックは兄たちに認められたいと強烈に思っていたのだと思います。

とんでもなく残虐な面を見せることもあれば、気になる存在であるマギーには奥手な面を見せるなど、ギャップのある人物でもあります。確固たる信念を持ち、仲間への優しさも持つ伝説の男は、この物語の中で最も魅力的なキャラクターです。

末っ子の成長

強い兄たちに頼る弱い弟から脱し、一人の男として成長しようとするジャックの姿は今作最大の見どころです。

子供の頃と変わらず、大人になっても兄たちに助けられるジャック。
二人の兄に憧れ、同等に扱われたいジャックは彼なりに努力をしますが、兄たちからはいつまでも子供の時と変わらない扱いを受けます。

しかし、バナーとの取引を成功させたことでジャックは自信をつけます。
一度の取引で兄たちよりも大金を稼ぎ、かつフォレスト襲撃の情報を手に入れた彼は、自分もやっと同じ立場になったと思います。
兄たちに頼らず仕事をやり遂げたという思いが、彼を成長させていきます。

しかし、手にした大金で新しい車や服を買い、想いを寄せるバーサに良いところを見せようとするなど、幼さを感じさせる点もあり、大物になったつもりでいるせいで悲劇を起こしてしまいます。
皮肉なことに、この悲劇が彼を覚醒させます。

映画の最後まで二人の兄と弟の関係は変わりません。
しかし、戦う意思を見せず怯えながら兄たちの助けを待つだけだった弟は、兄たちと肩を並べ、戦うべき時に、相手に怯まず立ち向かえる男へと成長をします。

強く生きる女性、マギー

そこにいるだけで、場の空気が変わるような凛とした美しさを持つ女性
そんな印象を抱いたマギーの登場シーン。
シカゴでダンサーとして活躍していたマギーは、都会での生活に疲れ、フランクリンへやって来ます。

そしてボンデュランド兄弟の店で働き始めた彼女は、無口ながらも彼女を大切にするフォレストに惹かれていきます。

自身も酷い目に遭いながら、フォレストを助けたマギーは自分が傷つけられたことも、命の恩人であることもフォレストに隠していました。
しかし彼が危険に飛び込もうとする姿を見て、涙をこらえながら真実を告げます
このシーンはとても印象的で、何があっても強くあろうとするマギーの姿と、フォレストへの愛の深さを知ることになります。

ボンデュランド兄弟の物語は勿論ですが、無法者たちの中で強く生きるマギーの姿にもぜひ注目して下さい。

『欲望のバージニア』感想

実在した兄弟が実際に起こした復讐劇を描いた『欲望のバージニア』は、俳優陣の名演と印象的な音楽に魅せられる作品です。

豪華な俳優陣の演技が素晴らしく、グイグイと物語に引き込まれていきます。

  • レイクスという強烈な悪役
  • キレたら手がつけられないハワード
  • 不死身っぷりを見せつけるフォレスト
  • 男として成長するジャック

3兄弟が立ち向かっていく姿が印象的でした。
またゲイリー・オールドマンの狂犬っぷりから、やはりこの人は狂った悪役がハマっていると感じさせられました。

大切な人を守りたいという恋心が描かれている点も、映画をさらに面白くしています。
ジャックとバーサのフレッシュな二人の恋物語も良いですが、フォレストとマギーが自然と惹かれていく姿が丁寧に描かれていて、二人が視線で想いを表す姿に魅入ってしまいます。

そして緊迫するシーンや、胸が焦がれるような恋愛のシーンをさらに印象的にするのが、オーストラリアの鬼才ニック・ケイヴが手がけた音楽です。
音楽の力により、キャラクターの心情が深く印象付けられ、躍動感のある物語になっています

『欲望のバージニア』総括

ボンデュランド兄弟が権力に屈せず、自分たちの主義を通して生きる姿が格好良い欲望のバージニア。
血なまぐさい描写も多いですが、非常に見応えのある作品になっています。

兄弟の幼少期の回想シーンから始まる物語では、兄弟の絆や伝説を持つふたりの兄の生き方、そして気弱だったジャックが一人の男として成長していく様子が描かれています。

豚を殺すことができなかった少年が、自分を痛めつけ、大切な人を奪った敵に銃口を向けた時に引き金を引くことができるのか
引き金を引かなければならない時のジャックと、彼を見守る兄たちの姿が何度か描かれていますが、そこにはジャックが成長していく様子と兄弟の変化を感じ取ることができます。

原題は『lawless(無法者)』という意味なのですが、物語終盤でジャックの「ボンデュランド兄弟は法に従って生きている」というセリフがあります。
原題と対比になっているこのセリフと、そこで映し出される美しい風景が、アメリカの最も危険だった一つの時代の終わりを感じさせます。
荒れた時代を描いた『欲望のバージニア』、 豪華な俳優人の共演が見たい人や、自分の生き方を貫く男たちの物語が好きな人にはぜひ見てほしい作品です。

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