キングスマン』や『キックアス』シリーズなどを手掛け、今ではハリウッドのヒットメーカーとなった、マシュー・ヴォーン監督の初監督作品である『レイヤーケーキ』。
好調なうちに引退を考えていた麻薬ディーラーの主人公が、裏社会の闇に絡めとられる姿が描かれています。
2004年に制作された作品ですが、今見ても時代を感じること無く、スタイリッシュなクライム映画として楽しむことができる作品です。

クセのあるイギリス人俳優陣が多く出演している今作。
007シリーズのダニエル・クレイグを主演に迎え、今では人気俳優として主役を演じるトム・ハーディや、ベン・ウィショーを始め、クセのある役者たちが個性的なキャラクターを演じています。

断層世界の上層部に位置するボスの命令で、自分の予想していなかった問題に巻き込まれていく主人公。
自分のルールを持ち、裏社会から足を洗うことを心に秘めて麻薬を売りさばいていた主人公、果たして彼は自分の思い描く未来を進むことができるのでしょうか

レイヤーケーキあらすじ

レイヤーケーキあらすじ
麻薬ディーラーの主人公XXXX(ダニエル・クレイグ)は十分な金を手にし、この仕事から引退することを考えます。
麻薬組織のボス、ジミー(ケネス・クラナム)からエディ(マイケル・ガンボン)の娘チャーリーを探すこと、デューク(ジェイミー・フォアマン)が仕入れたエクスタシーをさばくことを指示されます。

チャーリー探しをコーディー(デクスター・フィッチャー)に任せたXXXXは、デュークの甥シドニー(ベン・ウィショー)とタミー(シエナ・ミラー)に出会います。

デュークと取引を行おうとしますが、その麻薬がセルビア人組織から奪った物だと分かり、買い手がつきません。
そして麻薬を取り戻す為、ドラガンという男がロンドンに送り込まれた情報を耳にします。

ボスへの支払いは絶対だと脅されるXXXXですが、肝心のデュークの消息が分からなくなり、彼の仲間も麻薬を持って姿を隠してしまいます
仲間のクラーキー(トム・ハーディ)とテリー(テイマー・ハッサン)にデュークたちの居所を探させますが、悪いことは更につづきます。

コーディからの連絡で、療養施設から共に逃げ出していたチャーリーの恋人の死体を発見します。
ドラガンからも接触を受け、窮地に追い込まれたXXXXは、タミーとホテルで会うことになります。

彼女からシドニーの居場所を聞き出して、クラーキーたちに情報を伝えます。
やっと問題解決の糸口を掴んだと思った矢先、ルームサービスを装った男たちに拉致されてしまいます。
彼を拉致したのはエディ。
XXXXは彼から驚愕の事実を知らされます

レイヤーケーキ見どころ4点

レイヤーケーキの見どころを4点紹介します。

マシュー・ヴォーン監督の初監督作品

『レイヤーケーキ』が監督一作目となったマシュー・ヴォーン監督ですが、それまでは『スナッチ』のガイ・リッチー監督と組んで制作として働いていました。

今作のDVDでは特典映像として監督のインタビューが収録されていますが、そこからガイ・リッチー作品とは異なったものにしたかったという監督の思いを感じます。

その監督の思いが表れているのが、キャラクターの心理を表現していることです。
暴力シーンをフォーカスするのではなく、その前後の人物の表情や行動に焦点が当てられていることから、監督が撮りたかったものが人物の内面であることが分かります。

予算が少なくても、アイディア次第でいい映画が作れる
色々なことに挑戦する。
外にとやかく言われないように自分ができる努力を最大限する。

そんな思いを抱いて挑んだ作品は、10年以上たった今見てもスタイリッシュだと感じる映像や、ユニークなシーンの切り替わり、そしてコンパクトにまとめられた暴力シーンなど、後のヒット作の礎を感じさせる監督のアイディアやこだわりを感じることができます。

名前のない主人公

レイヤーケーキのダニエル・クレイグ
今作の主人公には名前がありません。
「平和の為には戦争の準備を。」というセリフからも性格が分かりますが、主人公は非常に頭が切れる人物です。
常に冷静で、自分はギャングではなく麻薬ディーラーという立場を明確にしています。

しかしこの彼のスタンスが、窮地に追い込まれた時に彼の情けない部分であったり、人間臭い部分をあぶり出すことになっています。

主人公を演じるダニエル・クレイグの存在感もこの映画には必要不可欠です。
吸い込まれるような青い瞳とスラリとした体格の彼が画面に現れるだけで、映画がグッと引き締まる感じがします。
そしてシリアスなイメージの強いダニエル・クレイグが夢中になって銃を構えたり、おどおどしたりと人間っぽい部分を演じる姿がとても新鮮です。

名前のない主人公が巻き込まれた問題にどう対処していくのか、人間味溢れるダニエル・クレイグの演技と共に注目です。

出演するキャスト陣

癖のある俳優陣が出演している今作。
2004年製作の映画なので、人気俳優の昔の姿を見ることができるのも、今作のポイントの一つです。

人気俳優のトム・ハーディは主人公の仲間、クラーキーを演じています。
出番もセリフも少ない役ですが、『レジェンド 狂気の美学』などで見せるピリッとした雰囲気を感じさせられます

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また007でQを演じるベン・ウィショーは、彼女に夢中でどこかズレているチンピラのシドニーを演じています。
ハリーポッターシリーズのダンブルドア校長を演じたマイケル・ガンボン、キングズリー役のジョージ・ハリスを始め、「どこかで見たことがある」俳優が多数出てきます。

『ボヘミアン・ラプソディ』や『ロケットマン』の監督のデクスター・フィッチャーが、癖の強いキャラクター、コーディーを演じているのにも注目です。

「この人知ってる!」という発見をしながら見るのも楽しい作品です。

断層世界

タイトルのレイヤーケーキが意味するのは、断層世界のことです。
何層にもなっているケーキを使い、一番上の甘い部分は成功者、その下は中流階級、さらにその下は貧困層という社会構造を表しているのです。

レイヤーケーキではあらゆる層の人々とその暮らしが、比較されるように描かれています

レイヤーケーキのトップに位置するのはジミーやエディ。
成功者の住む世界は、一般人が足を踏み入れられない雰囲気があります。
その下は中流階級ですが、XXXXのような裏稼業で富を得ている人間もここに位置するかと思います。

そして最下層はキンキー探しの時にも出てくるジャンキー達。
映像で住む世界や人々の姿を見ると、断層世界の意味がはっきりと分かります。

ある男との出会いから、成功者だけが全てを手にできることを、嫌という程思い知らされる主人公。
レイヤーケーキの最も甘い部分を独占できるのは一体誰でしょうか。

レイヤーケーキ感想

レイヤーケーキ映画のダニエル・クレイグ
裏社会が舞台になっていますが、血みどろのギャングの抗争を描くのではなく、キャラクターの心理に焦点を当て、スタイリッシュな映像を使ってそれを表している今作。
引退を考えていた主人公は、訳ありの二つの仕事によって、窮地に追い込まれていきます。

彼の葛藤や追い込まれていく心理描写をテンポよく映し出し、バイオレンスシーンも工夫を凝らした表現がされています。

直接的に暴力を描くというより、暴力の痕跡を見せられることで、キャラクターの内面をのぞくことができます。

また、今では人気俳優になった出演陣の若い頃を見られるのも、今作の見どころの一つです。
端役ですが、この時から裏社会の男の危ない雰囲気を演じているトム・ハーディや、インテリジェンスなイメージが強いベン・ウィショーが、どこかズレている地元のチンピラ役で物語に絡んできます。

断層世界の闇を描き出している『レイヤーケーキ』はハリウッド大作とはひと味違った、ひねりの効いた作品になっています。

レイヤーケーキ総括

『キックアス』や『キングスマン』シリーズを手掛けたマシュー・ヴォーン監督の、記念すべき監督第1作目である『レイヤーケーキ』。
今ではヒットメーカーとなった監督の初監督作品という点に注目です。
制作側の視点も忘れずに、なるべく予算を抑えながら、面白い作品作りに挑んだ監督。
安っぽさは全く感じられない、クライム映画へと仕上がっています。

物語が進むにつれて様々な問題が入り混じり、追い込まれていく主人公。
印象的なカットを使うことで物語に強弱が生まれ、またその撮影スタイルによって主人公の心の葛藤も強調されています。
ダニエル・クレイグが演じる主人公も、一見完璧な男に見えて、徐々に人間臭さが見えるてくるのも面白いところです。

主人公は自分のルールに従って、裏社会から足を洗うことができるのか。
それとも訳ありの任務を遂行できずに消されてしまうのか。

緊張のストーリーと、イギリスらしいユーモアが見ていて楽しいレイヤーケーキ。
舞台となるロンドンの街並みにも是非注目です。

スタイリッシュな映画を見たい時、ダニエル・クレイグの魅力を堪能したい人にオススメの作品です。

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