2015年公開、アメリカのコメディ映画。
監督、脚本、製作は「ハート・オブ・ウーマン」のナンシー・マイヤーズ。
主演は「ゴッドファーザーPARTⅡ」でアカデミー賞助演男優賞を受賞のロバート・デ・ニーロと「レ・ミゼラブル」で同じくアカデミー賞助演女優賞受賞のアン・ハサウェイです。
徹底した役作りで有名なロバート・デ・ニーロの演技と、今をときめくアン・ハサウェイとの組み合わせが話題を呼び、週末興行収入ランキング初登場2位を記録しました。
ファッション界のネットビジネスを背景に繰り広げられる、やり手女性上司とシニアベテラン部下の関わりをコミカルに、そして心温まるストーリーに仕上げます。
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マイ・インターンあらすじ
仕事を引退、妻にも先立たれた70歳の男ベン・ウィテカー(ロバート・デ・ニーロ)は、時間を持て余している毎日でしたが偶然にもインターン募集の求人を見つけ早速応募しました。無事採用となったその会社は、わずかな期間で200人以上の従業員を抱えるまでに成長を遂げた、若き女社長ジュールズ・オースティン(アン・ハサウェイ)が経営する、通販のファッション会社でした。
ニューヨークで会社を立ち上げ、忙しく働きまわるジュールズは、私生活も充実し、家庭を守る優しい夫のマット(アンダーズ・ホーム)とひとり娘のペイジ(ジョジョ・クシュナー)に支えられ不自由のない暮らしに身をおいています。
会社の新しい試みとは言え、ジュールズは自分の直属の部下に配属されたシニアインターンのベンを快く思いません。
初顔合わせにもかかわらず、ベンに仕事の助けは要求せず、必要な時にメールするとだけ言うと自分の仕事を精力的にこなしていきます。
物腰が柔らかく、きちんとした身なりのベンはどこからどう見ても礼儀をわきまえた好感の持てるシニアインターンですが、ファッションも仕事のスタイルもカジュアルな雰囲気のこの会社で、ひとりスーツ姿のベンは異色であり、浮いた存在であることは誰の目にも明らかでした。
しかし、ベンは持ち前の穏やかな振る舞いや細やかな気配りに、徐々に社内の皆から慕われ始めます。
そんな時、急速に大きくなった会社に外部からCEOを迎える提案が持ち上がり、ジュールズは仕事と家庭との狭間で大きな決断を迫られます。
ベンは苦悩の日々に直面したジュールズを支え、彼女に勇気をもたらします。
マイ・インターンネタバレラスト
相変わらず連日の電話やメールに忙しいジュールズは、ウマの合わない母への文句メールを間違って母本人へ送信してしまいます。慌てたジュールズは皆にメールの削除方法を聞きますが、良い方法は無く、ベンの提案で、ジュールズの母の自宅へ忍び込みメールを削除する事になりました。
ベンと同僚の3人は、まさかの警報が鳴り響く中、何とかメールを削除し、ジュールズの距離は一気に縮まります。
ジュールズの自宅へ迎えに上がることも多く、彼女の家族とも打ち解けたベンですが、体調不良のマットに代わりペイジの送迎を任された時、偶然にもマットの浮気現場を目撃してしまうのです。
ベンはジュールズの顔を直視できなくなるほどその事実に胸を痛めます。
しかし、ジュールズはとっくにマットの浮気を知っていたのです。
ジュールズは、仕事が忙しいあまり、家族と過ごす時間が減ってしまった事を悔やみ、元の幸せな生活に戻る事を望んでいます。
本意ではなくとも、CEO受け入れが家庭をやり直す方法のひとつであると考え、決断に踏み切ろうとしているのです。
しかし、ベンは日頃から目の当たりにする彼女の仕事への情熱を思い、会社を人に譲るべきではないと真の気持ちに寄り添い励まします。
マットも自分の不甲斐なさを悔やみ、もう一度やり直したいとジュールズに訴え、ジュールズは土壇場でCEOの受入れを拒否する最終判断を下しました。
晴れた気分のジュールズはデスクにいないベンを探します。
陽の当たる緑豊かな広場でベンは太極拳を楽しみ、ジュールズはベンの傍らで見よう見まねの太極拳を一緒に楽しむのでした。
マイ・インターン見どころ3点
等身大のファッションは女性の教科書
「セックス・アンド・ザ・シティ2」の衣裳を手掛けたスタッフによるファッションは必見。働きやすく洗練されたファッションに身を包む、170㎝という長身を生かしたアン・ハサウェイのスタイルがとても素敵です。
ビビットカラーのワンピースにシックなスーツ、そして日常のボーダーニット姿、無理のない等身大のファッションに好感が持てます。
「セックス・アンド・ザ・シティ」でのファッションのように、真似する機会がない程豪華な衣装を眺めることも、それはそれで十分に目を楽しませることはできますが、親しみが湧くとは言い難いもの。
その点、『マイ・インターン』のジュールズのファッションは、働くママにだけでなく多くの女性にとって、ファッションを学べる教科書のような映画でもあることでしょう。
ハイセンスなコメディ要素
程よいコメディ要素が作品のアクセントになっています。
若い世代が活躍する社会においてのシニア世代の関わりを描く流れに退屈さはありませんが、ベンと同僚がジュールズの母の家へ忍び込むシーンは面白く、いい大人がメールひとつに必死になる姿が印象に残ります。
ハートフルなヒューマンドラマに少しのコメディ要素が加わっただけで作品の印象がこんなにも変わるものなのかと感心します。
ひとつのシーンが与える影響の大きさを感じ、観る人に一体感を持たせてくれる貴重なシーンです。
古き良き騎士道精神のロバート・デ・ニーロが魅力的な作品
裏社会を描いた作品が思い浮かぶデ・ニーロですが、今作において彼の出演作品としてはカジュアルな印象を受けた人は多いのではないでしょうか。
また、第一線から退き、シニアインターンとして女性上司の下で働くと言う、落ちぶれた老人感を演じるかと思いきや、これもまた見事に裏切られてしまいます。
それは、デ・ニーロ自身なのか、ベンという登場人物なのか、これまでの経験を着実に積み重ねてきた重厚感さえ感じるシニアを演じています。
人に優しい人間こそ強い人間だと彼から教わることができ、柔軟性と経験、そして丁寧な物腰と鋭い洞察力に人生の重みを感じるのです。
今どきの若者に対する卑屈な態度ではなく、あくまでも前向きに同士として絡み合うこのヒューマンドラマが誰にでも受け入れやすい爽やかな部分です。
マイ・インターン感想
話を合わせ、その場に応じたやりとりはできる反面、自分の領域に踏み込まれることを極端に嫌がる現代人の他人に対しての関りを客観的に見ることができました。
世間の人間関係の煩わしさは国が変わっても自分に置き換えることは容易で、多くの人が彼女のどこかに共通点を感じることでしょう。
自分に自信を持ち、人を引き付けることは仕事上でも必要とされますが、意見されることに耳を塞いでしまうことは、仕事だけでなく、人としての成長を妨げてしまいます。
若い世代が担う社会において、俊敏さや発想力は劣るものの、古きから良いものを伝えていく年配者の存在は貴重であり、時に父や母のように、そっと見守る目が必要なのだと改めて感じることができます。
そして、「プラダを着た悪魔」のイメージが強いアン・ハサウェイ。続編と言うわけではありませんが、今作もファッション業界ということもあり、勝手に彼女の成長を感じることができました。
マイ・インターン評価
現代の先端を進む型破りなスタイルのファッション業界に華やかさを感じる作品です。年配のデ・ニーロファンや、男の世界を描くかっこいい作品を好む人からすると、ファッション業界を舞台とする今作品に物足りなさを感じてしまうかもしれません。
また、ファッションにさほど興味のない人には少々手に取り難い作品である印象を持つことでしょう。
しかし、そんな先入観で作品を選ぶことを後悔するかもしれません。
『マイ・インターン』は、トレンディを思わせる内容の中に様々なテーマを備えた作品です。
現代に急成長を遂げる会社の話を背景に、仕事に向き合う姿勢、家庭との両立、異世代との関わり等、とても身近にあるテーマが並び、感情移入しやすく、学ぶべきところも多いのです。
これこそ、一線で働く精力的な男性、女性に見てほしいと思える作品。
また、品の良いコメディ要素と、センスの良いジョークが心地よく、鑑賞後は柔らかく温かい気持ちに包まれることでしょう。