今回スポットを当てる映画は2018年3月30日に日本で公開された「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」

映画のタイトルにもなっているペンタゴン・ペーパーズは文字通りアメリカ国防総省の最高機密文書を指しており、

存在を暴露した2人のジャーナリストの実話を映画化した作品です。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のあらすじ

ベトナム戦争下のアメリカ。

戦況を調べる為にダンは前線へ同行し、激しい銃撃戦から何とか帰還します。

マクナマラ国防長官に戦況悪化を報告しますが、マクナマラは米軍の状況は期待を上回ると報道陣に嘘を報告します。

それを聞いたダンはある決意をします。

それは職場に保管されているベトナム戦争に関する文書”ペンタゴンペーパーズ”を持ち出し、コピーした文書を世間へ暴露する為、新聞社へ渡すことでした。

時は流れ、ニクソン政権となったアメリカ。

ここからペンタゴンペーパーズを巡り、様々なドラマが進行していきます。

会社を守る為に株価公開を決断したワシントンポスト紙の経営者、ケイは膨大な資料の中から目覚めます。

銀行関係者と重要な会議を行う勝負の時を控え、側近のフリッツと最終確認を行います。

ポスト紙編集主のベンはニューヨークタイムズ紙が何かスクープを掴んでいると予想し、探りを入れます。

ベンの読み通り、ニールと編集長エイブを中心に厳戒態勢の中でスクープの準備が進められていました。

そして翌朝、タイムズ紙の一面に“ベトナム調査文書;米国関与拡大の30年”と題された6ページに渡る暴露記事が掲載されました。

そこには勝機がないと知りながら、政府が戦争を続けていたことが記されていました。

これにより反戦ムードは一気に高まり、街はデモをする人で溢れかえります。

ポスト紙の記者、バクディキアンは情報源が元同僚ダンであると睨み、彼と接触をして文書を手に入れることに成功します。

ベンの家に集まった6人の記者たちは時間と戦いながら、記事を作成し始めますが、記事掲載について経営陣側と激しい議論が繰り広げられます。

やがてケイも電話にて議論に参加することになり、経営陣側は彼女の説得を試みます。

一方でベンは、報道の自由を守る為には、報道をするしかないと猛反論をします。

初めは混乱した表情のケイでしたが、記者達の熱い想いを聞き、掲載を決断。

皆は彼女の決断に驚きながらも掲載の準備を進めていきます。

しかし新たな問題が発生します。

情報源がタイムズと同じ可能性が高いことが分かり、記事を掲載することで全員投獄される可能性が出てきたのです。

再度ケイを説得する経営陣側でしたが、彼女の意志は固く、決断は変わりませんでした。

翌朝、ポスト紙が記事を掲載した事で世間は大騒ぎになっていました。

報道の自由を巡る政府対新聞社の戦いは最高裁判所へ持ち込まれ、結果、新聞社が勝ちました。

歴史的なスクープを巡る戦いの後、ポスト紙の会社には晴れやかな表情のケイの姿がありました。

場面は切り替わり、ポスト紙の記者もカメラマンも今後一切ホワイトハウスには入れないと怒り狂うニクソン大統領の姿が映し出されます。

そして物語は歴史的なある事件へと向かっていきます。

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のラストが意味深!

映画『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』のラストはホワイトハウスから、あるビルへと変わります。

怒り狂うニクソン大統領の声をバックに、ビルの夜間巡回を行なう一人の警備員の姿。

彼は鍵が掛からないように細工されたドアを見つけ、ふと足を止めます。

そのドアは民主党本部へ続く通路のドアでした。

ウォーターゲートに不法侵入者がいる。」という警備員の通報で映画は終わります。

ケイの変化していく様子が見どころ

この映画の見どころは、ワシントンポスト紙の経営者ケイの変化していく様子が丁寧に描かれている点です。

夫を死により専業主婦から経営者となった彼女は父、夫から引き継いだ会社を守ろうと努力をします。

しかし男性だらけのビジネスの世界で、彼女は蔑ろにされます。

彼女の聡明さを知るのは役員のフリッツだけで、他には“お飾り”と思われています。

発言は軽んじられ、会議では彼女は存在しないかのように議論が進められます。

厳しい事を言われても、気持ちを押し込めて笑顔を見せるだけのケイ。

しかしベン達が文書を巡り懸命に動く姿を見て、ケイにも少しずつ変化が現れます。

静かに、しかし力強く、彼女は決断を下していくのです。

ポスト紙に文書に関する記事を記載することが決まった後、ベンの妻が「ケイの決断はとても勇敢よ。

と語るシーンは、今までのケイの立場がどのようなものだったかが凝縮されている、重要なシーンです。

今まで自分の存在を軽んじられてきた彼女が、全てを賭けて決意したことがどれだけ重要なことか。

恐らく妻のこの言葉を聞いて、ベンも初めてケイの決断がいかに勇敢なものであるか気がついたのではないでしょうか。

実際彼はケイにその事を伝えにいきます。

そして、記事掲載を決断したシーンから、気弱で透明な存在として描かれていたケイが確実に変わっていきます。

経営者としての彼女を認めていないアーサーを言い負かすシーンが非常に印象的で、画面越しでも雄弁に語るケイに圧倒されます。

記事掲載により自身や関係者は投獄、会社も消滅の危機という状況下でも、この記事によって誰かの息子を戦地で死なせなくて済むか。

とベンに確認する姿は、ケイの女性の部分を強調した、彼女ならではのセリフだと感じました。

他者を思いやる気持ちを持ち合わせていたケイだったからこそ、裁判所から出てくる彼女の姿を、多くの女性達が感謝と尊敬の眼差しで見つめていたのです。

映画終盤では、気弱な彼女はどこにもありません。

晴れやかで自信に溢れた彼女のを見ることができます。

この映画の見どころであるケイが変化していく様子に注目して全編を見てみると、少し違った角度で映画を楽しむことができます

『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』の感想

ベトナム戦争に関するアメリカ機密文書の暴露がメインテーマである今作。

この難しい題材に、報道の自由の為にニクソン政権と戦う新聞社、

男性主導のビジネスの世界で会社を守る為に戦う女性経営者ケイ、

真実の公表か、会社の存続を守るかで争うポスト紙の記者と役員など

様々なサブストーリーが絡まり合い、それらが見事にまとめ上げられています。

サブストーリーの中には女性の立場が書かれているものや、現場の人間と経営陣の戦いが書かれているものがあり、それぞれが非常に胸が熱くなるストーリーになっています。

社会派ドラマは苦手という人でも、サブストーリーから物語に入りやすいのではないでしょうか。

名優達の迫真の演技に引き込まれ、映画の世界観に入り込むことができる、見応えのある作品です。