経済が崩壊した近未来のアメリカでは犯罪率を下げるという名目で、年に1度夜の7時から翌朝7時までの12時間のあいだ殺人を含むすべての犯罪が合法になる「パージ(Purge)」を制定します。
その国で人々はどう生き抜くか、またはなぜ殺すのか、そしてなぜこんな法律がまかり通るのか?
大人気シリーズの4作目となります。
1~3作目はパージ制定後の話でしたが、本作はそれよりも以前の話になっています。
パージをアメリカ全土で適用するにあたり、テストとしてニューヨーク州スタテンアイランドで試行された一夜を描いています。

パージ:エクスペリメントのあらすじ(ネタバレあり)

アメリカでは共和党でも民主党でもなく、新生党である「アメリカ建国の父(NFAA)」が政権を握っていた。
NFAAは、政党に協力する学者のアップデール(マリサ・トメイ)が立案したパージ法を発表する。

そしてパージ初の実験の場としてニューヨーク州スタテンアイランドに白羽の矢がたった。
当日はその街での出来事すべてが監視カメラや、参加者に配られた録画用コンタクトレンズを介し、アップデールとNFAA職員に監視されることになる。

またスタテンアイランドの住民は一夜をその街で無事に過ごすだけで5,000ドル支給されると知り、貧しい人々は不安を抱えながらも自宅や教会で一夜を過ごすことにする。

ナイア(レックス・スコット・デイヴィス)は弟のアザイア(ジョイバン・ウェイド)をブルックリンへと逃し、自らは教会へ向かい不安がる住民を励ましながら一夜を過ごしていた。
ナイアの元恋人でドラックディーラーのボス・ディミトリ(ジョイバン・ウェイド)は無駄な争いを避けるよう部下たちに言い伝えていた。

パージ当日、最初の殺人はスケルター(ローティミ・ポール)が行なった殺人だった。
その映像はコンタクトレンズを介し、全国に配信までされていた。

だが暴動や略奪は見られるものの、政府の大方の予想に反して殺人などの暴力行為はさほど発生しせず人々は落ち着いた様子を見せていた。

その頃、アザイアは昼間に襲いかかってきたスケルターに復讐しようと、姉に嘘をついてスタテンアイランドに残っていた。
スケルターとようやく対峙したものの殺すことができず、逆にスケルターに付け狙われ街を逃げ惑うことに。

その状況を知ったナイアも教会を抜け出し、アザイアを探しに外へ出てしまう。

一方、街の様子を監視していたアップデールは様子がおかしいことに気づく
覆面をした武装集団が、住民たちが密集した区域にピンポイントで現れ襲撃していたのだ。
アップデールが記録映像をたどっていくとNFAAが傭兵を雇い、人々を襲撃させていたことが判明する。

NFAAの職員を問い詰めると彼らは「今の財政では国民全てを救うことは不可能だ。強制的に減らす必要がある」と言い、事実に気づいたアップデールをスタテンアイランドへ連行し、射殺してしまう。

また、街に見覚えのない屈強な集団がいることに違和感を覚えたディミトリも、彼らが雇われた傭兵だと気づく。
彼らの無線を奪ったディミトリとその部下たちは街の住民を守るため反撃を開始する。

アザイアと落ち合うことができたナイアが教会へ戻ると、ネオナチ風の白人男性たちが教会から出てくるところへ出くわす。
教会にいた人々のほとんどは殺害された。
からくもその襲撃を逃れた親子を連れ、自分たちのアパートへともどるナイア。
しかしそこへも別の襲撃者たちが迫っていた。

それを無線で察知したディミトリたちは救出へ向かうのだが、その途中でNFAAの監視用ドローンに奇襲を受け部下のほとんどを失ってしまう。

結局1人になったディミトリだったが、ナイアたちが立てこもるアパートへ向かう。
暗闇に乗じて襲撃者たちを一人一人確実に仕留め、ナイアの部屋へたどり着くが、ディミトリの存在に気づいた襲撃者たちがナイアの部屋に壮絶な銃撃を始める。
反撃する隙もない状態だったが、アザイアを追ってきたスケルターが襲撃者たちに襲いかかり、その隙をついて爆弾を利用してスケルターもろとも吹っ飛ばすディミトリ。
その時パージがようやく終了する。
ディミトリがナイア、アザイアに支えられアパートの外へ出ると、やはり傷ついた住民たちが集まっていた。
ディミトリが守った住民たちは彼に感謝の言葉をかける。
だがその後、NFAAはこの実験を成功とし、アメリカ全土にパージを適用すると発表する。

見どころはディミトリファミリーの逆襲

住人たちがむやみに殺害されていると知ったディミトリとそのファミリーたちは、住人を守るために襲撃者たちに反撃を試みます。
いつもは街の厄介者とされているならず者集団が、「自分たちの街をよそ者に好きにさせてたまるか」といった感じで立ち上がるところは本作のなかでも1番アガるシーンです!
ファミリーの中には女性もいるのですが、その人がむちゃくちゃ強くてかっこいい!!
もっと活躍を見たいほどでした。

パージ:エクスペリメントの感想

何となく見始めたパージシリーズもすでに4作目を迎えています。
2015年に日本で公開された1作目は小規模なバイオレンスホラーといった趣で、純粋にホラーとして楽しめていました。
しかし作品が作られるにつれ、時代も移り変わり2017年にトランプ政権が発足されました。
それからの移民排斥運動、貧富の格差拡大、各国で徐々に進む右傾化傾向をみるにつけこのシリーズはただのホラーに感じられなくなってしまいました。

本作、エクスペリメントの中で政権を取ったNFFAの高官はこう言います。
もう今の財政では増えすぎた国民すべてを救ってやることはできない。もう減らすしか方法はないんだ」と。
そして黒人をはじめとする有色人種や貧しい人々、働けない老人たちの粛清を始めるのです。

これはある意味では現在アメリカ政府がやろうとしていることと大差ないようにも感じられ、期せずして現実世界がホラーに近づいてしまっているようにも見えてきます
現実がフィクションに追いつき追い越そうとしている今、次回作が楽しみなような、そうでもないような…
映画として楽しみながらも複雑な気持ちになってしまう内容でした。

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