今回スポットライトを当てる映画は2019年5月10日に公開された『RBG 最強の85才

RBG」とはアメリカ合衆国最高裁判所判事であるルース・ベイダー・ギンズバーグの頭文字をとった愛称で、アメリカ本国ではカルト的な人気を誇る現在最高齢の判事です。

ギンズバーグは史上2人目の女性最高裁判事であり、社会的弱者を守り差別と戦う法律家として近年では#MeToo(性差別を告発、糾弾する活動)のアイコン的存在とも言えます。

また本作の注目ポイントの1つとしては監督、製作総指揮をはじめ、音楽、撮影、編集の主な制作スタッフがすべて女性であるということ。

かなり意識的に女性スタッフを活用していることが伺えます。

とはいえ、これは女性のためだけの作品というわけではなく、男性も突如として性差別にあうこと、また差別することによって人々が生きづらくなっていくことを示しており、老若男女問わず勇気付けられる作品になっています。

『RBG 最強の85才』あらすじ

1933年、貧しいユダヤ人家庭に生まれたルース・ベイダーギンズ・バーグは幼い頃より母親から言い聞かされていた。

淑女たれ」「自立せよ」と。

それは感情をコントロールし、怒りに流されるなということ、そして女性であっても自分自身の力で生きられるような術を持て、という母の願いだった。

その言いつけ通り彼女は並外れた知性と忍耐力を武器に名門コーネル大学へと進学する。

まだ女性が大学へ行くこと自体が珍しかった1950年代当時、彼女自身も今では考えられないような差別を受ける。

その中で出会ったのが生涯の伴侶となるマーティンだった。

当時を振り返って彼女は言う。「私にも脳みそがあると思って接してくれた男性は彼だけだった」、そして「彼と出会い、結婚できたことが私の人生で最も幸運なことだった」と。

その後、弁護士資格を取得するも女性であることを理由にさらなる不当な差別を受けてきたギンズバーグ。

しかしある裁判をきっかけに法律家としての快進撃が幕を開けるのだった。

『RBG 最強の85才』ラスト(ネタバレあり)

ギンズバーグは差別撤廃に向け尽力したその功績により、1993年にビル・クリントン大統領によって女性としてアメリカ史上2人目の最高裁判事に指名されることになります。

この最高裁判事の指名において、影の功労者は夫であるマーティンとも言われています。

マーティン自身も優秀な弁護士であったにも関わらず、彼は当時の男性としては珍しいほどギンズバーグを献身的にサポートしていました。

その点について彼は「彼女がこれから成し得ようとしていることの重要さに気づいたからだ」と語っています。

しかしそのマーティンも癌により亡くなってしまいます。そ

れでもギンズバーグは休むことなく職務を全うします。

そんな彼女にインタビューアーは「1日でも休もうとは思わなかったのですか?」との質問が及ぶと、「変わらずに仕事をすることが、マーティンの望むことだと思うから」と答えるのでした。

そして2010年代に入ってから保守に傾きつつある最高裁で、多数派への鋭い彼女の反対意見に注目が集まるようになります。

またその反対意見のテキストは若年層にも伝わりweb、SNSを中心にしたムーブメントを巻き起こします。

彼女の一挙手一投足に熱狂するファンが現れ、講演会はロックスターのコンサートのようだと評されるほどの人気になっていくのですが、その人気ぶりも当の本人は不思議に思いながらも楽しんでいる様子。

しかし、すでに高齢であることを理由に引退を勧められることが増えてきたギンズバーグ(最高裁判事の仕事には定年はないため進退については本人に決定権がある)。

さらにオバマ大統領からトランプ大統領へと変わる前に、若手の判事と交代すべきだという意見がリベラル派からも上がっていました。

これはトランプが大統領になってからでは最高裁が保守寄りになってしまう可能性が高いことを懸念してのことです。

それでも彼女は判事の仕事を続けることを選びます。

ギンズバーグは「自分にはまだやるべきことがある、全力で職務を全うできる限り判事の座は退かない」と高らかに宣言し、今日も法廷へと向かうのでした。

『RBG 最強の85才』見どころはギンズバーグの生き様

「男性のみなさん、私たちを踏み続けているその足をどけて」から始まるめちゃくちゃカッコいい名言の数々と、「アメリカ現代社会のヒーロー」と評されるギンズバーグの生き様そのものが見どころになっています。

「法律家のドキュメンタリー」というと少々とっつきにくい内容のように聞こえるかもしれませんが、彼女の活躍が観られる本作はマーベル作品に勝るとも劣らないヒーロー映画といって差し支えないくらいのエンターテイメント作品になっています!

信念と誇りを持って自分の仕事をまっとうする姿、そしてマーティンとの深い絆はシンプルに感動します。

途方もなく巨大な壁を前にしても怯むことなく愛と知性で立ち向かう彼女を応援していると、見終わったあとに「自分もがんばらなきゃ。いや、がんばれそうな気がする」と、背中を押されるような気持ちになれるのです。

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