海外ドラマ『フレンズ』でロス教授を演じた、デヴィッド・シュワイマーの監督初作品である『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』。
主役のダメ男デニスを演じるサイモン・ペグは、今作で脚本も書いています。
デニスの元恋人リビーを演じるのは、『ミッション:インポッシブル2』でイーサン・ハントの相手役を務めたタンディ・ニュートン、賭け事にはまる親友ゴードンは『ショーン・オブ・ザ・デッド』でもサイモン・ペグと共演しているディラン・モーラン、そしてデニスのライバルを『ザ・シンプソンズ』のハンク・アザリアが演じています。

救いようのないダメ男デニスが、何とか元恋人の心を取り戻そうと、ライバルと張り合う様子がコミカルに描かれている今作。
コメディ要素だけではなく、マラソン挑戦を通して、逃げてばかりの生き方を変えようとする主人公の姿にも注目です。

『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』あらすじ

結婚式当日、妊婦の花嫁リビー(タンディ・ニュートン)を置いて、逃げ出したデニス(サイモン・ペグ)。
結婚はしませんでしたが、リビーは子供を産み、大切に育てていました。
一方のデニスは5年たっても彼女とヨリが戻せると呑気に考えながら、たるんだお腹を揺らして警備員をしていました。

ある日息子ジェイクを迎えに行くと、リビーの恋人ウィット(ハンク・アザリア)に会います。彼からチャリティーマラソンに出場することを聞かされたデニスは、リビーの愛情を取り戻す為、マラソンで完走する事を誓います。

しかし経験が無いどころか、わずかな距離を走るだけで息が上がってしまうデニス。
そんな彼を親友ゴードン(ディラン・モーラン)と、家主のミスターG(ハーリッシュ・パテル)がサポートします。
リビーに完走しても何も変わらないと言われても、自分を変えたいとトレーニングを続けるデニス。
しかしリビーのバースデーパーティで、ウィットの公開プロポーズを目にしてしまいます。
意気消沈したデニスはマラソン出場を辞めようとし、友人と家を無くしかけます。
そんな時、ジェイクが姿をくらませます。

息子を見つけ出し、逃げてはダメだと伝えるデニス。
そして彼自身もダメな自分と向き合うために再び走る決心をするのです。
マラソン当日、ライバルウィットの横に並び、デニスは走り出します。

『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』見どころ

1点目「デニスとリビーの関係」

ダメ男デニスが、リビーの愛情を取り戻すべく奮闘する姿がコミカルに描かれている今作。
少しずつ変化を見せる二人の関係は物語の軸になっています。

デニスにとってリビーもジェイクもかけがえのない大切な存在。
彼は結婚式から逃げたことを後悔しているし、家族として一緒に暮らせる日を夢見ています。
ストーリーが進むにつれて、結婚式を逃げ出した理由がリビーの人生に責任を持つ覚悟がまだ持てなかったからで、彼女との結婚が嫌だった訳ではないことが分かります。
それを知って映画を観ると、デニスのパニックぶりも、呑気に復縁を信じている姿も理解できます。

そしてデニスと息子の面会を許しているリビー。
フラッシュバックから、デニスを大切に想っていたことが伝わってきますし、大切に想っていた相手だったからこそ、息子との面会を許しているのでしょう。
しかし復縁を望むデニスに対し、結婚式を逃げ出したことで逃げグセがつき、ダメ男になってしまった彼とは、復縁する気は無いように見えます。

逃げてばかりの自分を変えたいと努力するデニスの姿を目にして、果たしてリビーの心に変化は現れるのでしょうか。

2点目「パーフェクトなライバル」

パーフェクトなライバル
デニスの恋敵として登場するウィット。
高身長で甘いマスク、鍛え抜かれた肉体に仕事でも成功している彼は、デニスとは正反対の男性として描かれています。
そんなパーフェクトなライバルの出現が、作品をより面白いものにしています。

最初は紳士的でジェイクに対しても友好的なウィットはデニスに対しても大人の対応をします。嫉妬に狂い、敵対心むき出しのデニスとは正反対。
何をとっても彼はウィットに敵わないという印象を抱かされます。

しかしダメ男デニスに対し、徐々に本性を表すウィット。
敵意むき出しのデニスに対し、ちょっと嫌味っぽく彼に張り合います。
そしてまだ5歳のジェイクに対しても、大人気ない態度を見せ始めるのです。
パーフェクトな恋人として登場しただけに、そんなウィットの姿には衝撃を受けます。

パーフェクトなライバルのウィットと、ダメ男デニスが繰り広げる恋のバトルに注目です。

3点目「笑いあり涙ありのストーリー」

ドタバタコメディかと思いきや、ダメ男脱却をしようとするデニスの姿に意外にもホロリとさせられる今作。
コメディ、ラブストーリー、そしてスポーツ映画の要素がバランスよくミックスされていて、笑いあり涙ありのストーリーに仕上がっています。

コメディの面ではサイモン・ペグと共演者が繰り広げるユーモアの応酬が面白く、物語のあちこちで笑わせられます。
またラブストーリーの面ではライバルとの対決だけでなく、全く相手にされていなかったデニスが努力を続ける姿を見せることで、リビーの気持ちにも少しずつ変化が現れるところが見どころになっています。
そしてスポーツの面では、マラソンをなめていたデニスが友人の力を借り、辛いトレーニングを続けて少しずつ成長していく様子を見せています。

コメディ、ラブストーリー、スポーツと様々な要素が入り混じっている『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』。
単なるコメディではなく、笑いと感動を楽しめる映画になっています。

『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』感想

『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』単純にサイモン・ペグが演じるダメ男が笑いを巻き起こす映画だと思って見始めた『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』でしたが、笑えるのはもちろん、逃げてばかりの自分を変えようと、奮闘する主人公の姿に心を打たれて感動する、期待以上の作品でした。

リジーの心を取り戻したいという想いと、突如現れた恋のライバルへの対抗意識から、マラソンに挑むことになったデニス。
いい加減にトレーニングを始める彼でしたが、友人のサポートを受けてみっちりトレーニングをするようになると、少しずつ変化が現れます。
まだまだお腹はポッチャリしていますが、どうしようもないダメ男だった彼が変化していく様子を見ていると、自分の気持ち次第で何だってできると、前向きな気持ちにさせられます。

誰のためでもない、逃げてばっかりだった自分を変える為にマラソンに挑む決心をしたデニス。マラソン初心者の彼が、42.195キロという距離を完走できるのか?
そしてリジーとの関係はどうなってしまうのか?
ラストまで目が離せません。

『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』総括

『ラン・ファットボーイ・ラン 走れメタボ』一度は手放してしまったリビーの愛情を取り戻すため、ダメな自分を変えようと努力するデニスと、そんな彼を支える友人や、息子ジェイクとの絆にホロリとさせられる今作。
コメディだと思って見ると、物語のシリアスな部分に心を打たれるという意外性を持った作品でもあります。
色々な映画でダメ男をユーモアたっぷりに演じるサイモン・ペグが、今作でもデニスのダメ男っぷりと、そこから脱却しようともがく姿を熱演し、デニスというキャラクターの魅力を最大限に引き出しています。
そんな彼の演技を見ていると、どうしようもないダメ男デニスに愛着が湧いてしまいます。

いい人そうに見えたウィットが実はちょっと嫌な男だということもあり、ついデニスに肩入れして映画にのめり込んでしまいます。
そんなデニスとウィットが繰り広げる激しい恋のバトル。
シリアスに見えてどこかおかしい二人の争いのシーンは、笑いが絶えることがありません

笑いと感動を楽しめる今作は、ダメ男を演じるサイモン・ペグのファンという人はもちろん、ほっこりとした気持ちになれる映画を探している人にも是非見て欲しい映画です。