2015年公開のアメリカ映画『アデライン、100年目の恋』は、同年、週末興行収入ランキング初登場3位を記録したファンタジー・ラブストーリーです。
「セレステ∞ジェシー」のリー・トランド・クリーガーが手掛け、ひとりの女性が真実の愛を見出すまでを描きます。
主演は、テレビドラマ「ゴシップガール」シリーズでブレイクスルー賞、女優賞を受賞のブレイク・ライヴリー。
ファッションアイコンとして注目されるだけあり、長身を生かしたファッションが必見の作品でもあります。
共演に「ブラックブック」のオランダ人俳優、ミキール・ハースマン。
また、「スターウォーズ」、「逃亡者」、「エアフォース・ワン」など多くの実績を持ち、言わずと知れたハリウッド俳優ハリソン・フォード。
時代が変わる毎に楽しめる主人公アデラインのファッションや流行を思わせるヘアスタイル。
また、美しい描写で描かれた街並みにどこか懐かし気な空気感を感じると同時に、歳をとらずして生きることの切なさと深い愛を、しっとりと表現します。
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アデライン、100年目の恋あらすじ
アデライン・ボウマン(ブレイク・ライヴリー)は1908年サンフランシスコに生まれ育ちます。
母とブリッジ建設現場に出向いた際、ひとりの青年と出会い家族を築きます。
まもなくひとり娘を授かり幸せな生活を送りますが、ブリッジ建設の作業関係者である夫は現場の事故により命を落としてしまいます。
悲しみに暮れるアデラインもその後交通事故に遭い、車ごと川に転落。
仮死状態に陥りますが落雷の影響を受け、一命をとりとめるのです。
しかし、その事故がきっかけとなり、何故か29歳のまま1日も歳をとらない体になってしまいました。
年数が経っても見た目も変わらない事を不審に思われない様、アデラインは10年毎に名前や居住を変え、ひとり娘のフレミング(エレン・バースティン)とも別々の生活を余儀なくしてきたのです。
言うまでもなく、恋愛にも一歩を踏み出せず、姿をくらませることで身を引き涙を呑んできました
現在、サンフランシスコの資料館でジェニー・ラーソンと名乗り働いているアデラインは、ある日、新年を祝うパーティーでエリス・ジョーンズ(ミキール・ハースマン)に出会います。
エリスはひと目見てジェニーに恋をし、ジェニーもまた彼の個性的な感性に惹かれ、瞬く間に2人は恋に落ちていきます。
29歳のまま100年以上も生き続け他者との関りを避けてきたアデラインは、真実と向き合い愛を受け止めることができるのでしょうか。
アデライン、100年目の恋あらすじネタバレあり
ある日、エリスの両親の結婚記念日を祝う為、ジェニーはエリスの実家を訪れます。
初対面にも関わらず、ハリスの父ウィリアム・ジョーンズ(ハリソン・フォード)は思わずジェニーに「アデライン」と声をかけます。
アデラインとウィリアムはかつて恋人同士でアデラインが一方的に姿をくらませたことで2人の関係は終わっていたのでした。
凝視するウィリアムの視線に慌てたジェニーは、アデライン・ボウマンは6年前に死んだ自分の母だと告げます。
当時の自分の気持ちを見透かされないように必死で取り繕うジェニーですが、ウィリアムは手に残る傷跡から、ジェニーがアデラインであることを確信するのです。
問い詰められたジェニーは涙ながらに真実を話し当時の想いを打ち明けます。
そして、もうここにはいられないと慌てて車を走らせます。
途中、再び事故に遭い心肺停止となったジェニーは、これもまた運命のいたずらだと言わんばかりに再び命を取り戻します。
エリスは病院で、駆け付けてきたジェニーよりもはるかに年をとった白髪のフレミングと会います。
エリスは全てを知ってなお、嘘、偽りのない愛を伝え、彼女との時間を進もうと決意するのです。
1年後、アデラインは鏡に映る自分に1本の白髪を見つけます。
時の流れを実感し、喜びを噛みしめ、フレミングに見送られながらエリスと夜の街に出かけていくのでした。
アデライン、100年目の恋見どころ3点
『アデライン、100年目の恋』の見どころを3点紹介します。
100年生きていても感情に馴れる事はない
あり得ないほど年を重ねても、人より多く人生経験を積んだとしても、喜びや悲しみの感情は不変するものではありません。
そして、悲しみや孤独にも慣れてしまえるものではないでしょう。むしろ長く生きれば生きる程、つらい現実に向き合わなければならない様にも思います。
娘が自分の年を超えていき、皆の老いを見届け、そしていつかは見送る日がやってくる。
愛犬、リースの死を受け止めるしかなかったように、娘の老後や死を受け止めなければならない日がやってくるのです。
歳をとることができない、アデラインの状況は非現実的ですが、時の流れがいかに貴重なものなのか問いかけられたようです。
レトロな街並みと現代の景色
時代の街並み、そして、時と場所が変わっても変わらないアデラインの美しい容姿が映えます。
ピンとした背筋に凛とした出で立ち。
ワントーン下げたカラーを配色した落ち着きのあるドレスを品よく着こなし、しっとりとした美しさと自然さを感じます。
60年代のアデラインの髪形、ファッションもまた可愛らしく、そこに、アデラインの生きてきた経過を見ることができます。
レトロな街並み、変わらぬ自然が私たちの目を楽しませてくれるでしょう。
変わらない魅力
そしてハリソン・フォードに魅力を感じた人も多いはず。
年齢を重ねても変わらない、片方の口角をあげてニッと笑うあの表情は是非見逃してほしくない部分です。
ヒーロー役ではありませんが、彼の登場でストーリーの空気が変わります。
ジェニーを通しかつて愛した記憶を蘇らせるも、アデラインと離れてからの妻との歴史をかけがえのない愛だと伝えるハリソン・フォード演じるウィリアムはとても男らしく、好感が持てます。
彼自身のその存在感も健在で、ストーリーに重みが出ます。
変わらないアデラインの容姿に加え、彼の変わらない魅力が面白く絡んでいるような気がしてなりません。
また、星の世界に生きる天文学者、ウィリアムとの恋愛はロマンティックでもあり、最後まで切なく心に残ります。
アデライン、100年目の恋 感想
彗星の影響と落雷によって生死が変わる部分はどうも腑に落ちないところはあります。
そして、アデラインが長年生きてきたということもあり、会話の走箸に何処となくひねくれたような、素直ではない返しも見受けられます。
おばさんの屁理屈とも取られがちですが、異性に媚びず、自分自身を等身大に見せている部分や、知的なところ、そして何より強く生きていこうという彼女の覚悟に、男性が感じる魅力だけでなく、女性からの支持も多いことが感じ取れます。
とにかくブレイク・ライヴリー演じるアデラインの美しく落ち着いた立ち振る舞いに、うっとりさせられる作品。
木々の木漏れ日や、アスファルトに映る街灯の光までもが、アデラインを煌びやかに照らし、大人の女性としての余裕を感じさせます。
当たり前のように進んでいく時間ですが、限られた時の中で愛する者と歳を重ねる。
その大切さを感じずにはいられません。
今のこの時間を丁寧に生きたいと思うことのできる作品です。
そして問題にぶち当たった時、泣いても迷っても、たとえ時間がかかったとしても、前に進む勇気をもらえる映画です。
アデライン、100年目の恋 評価
叶わぬ恋、つらい恋愛がハッピーエンドとして幕が閉じるという、アメリカらしいラブストーリーを見ることができます。
真実の愛を手に入れた時魔法が溶ける、というようなおとぎ話要素もあり特に恋をしている女性には心に強く響くでしょう。
そして、おおきなものさしで自分の置かれている状況を見つめることができる作品でもあります。
アデラインのように現実的に時が止まったままの人はいないでしょうが、何かをきっかけとしてそこから動けない人も多くいるはず。
アデラインの生き方を通して一歩を踏み出す勇気に繋げてほしいと願います。
変わることはできると信じ自分の心を開いた時、あなたにも真実の愛が見えるかもしれません。