2004年公開、ディズニー配給によるフルCGのアニメーション映画、『Mr.インクレディブル』は「ファインティング・ニモ」や「モンスターズ・インク」を世に出したピクサー製作において、初めて人間をモチーフにしたアニメです。
後に「レミーのおいしいレストラン」でも長編アニメーション部門でアカデミー賞を獲得した、監督ブラッド・バードが手掛けます。

監督自身の経験や心境を詰め込んだ今作は、時代が変わってもあり続ける普遍的な人間の感情をテーマとして描かれ、アカデミー長編アニメ映画賞、アカデミー音響編集賞、アニー賞においては10部門受賞するなど、多くのアニメ映画賞を受賞します。

家族の愛とユーモアがたっぷり。ヒーロー映画の世界が広がります。

Mr.インクレディブルあらすじ

平和のために、仲間たちと共に悪に立ち向かうスーパーヒーロー、Mr.インクレディブル(声:三浦友和)。
ある日、自殺志願者の救助や、戦いの最中に迷惑を被った人たちにより訴えられ、市民の安全の為にヒーロー活動は禁止されてしまいます。
正体を隠しひっそりと暮らしていくことを要求されるのです。

Mr.インクレディブルのボブ・パーと、同じくヒーローのイラスティガールのヘレン(声:黒木瞳)は家庭を持ち、内気なヴァイオレット(声:綾瀬はるか)と活発なダッシュ(声:海鋒拓也)、そしてまだ赤ちゃんのジャック=ジャックの3人の子供を授かりました。

保険会社に勤めるボブは、力を出せない環境にストレスだらけ。
妻にも内緒で、友人の元ヒーロー、フロゾンと一緒に人助けをしています。
ある日、我慢も限界に達したボブは会社で怒りを爆発させ解雇されてしまいます。
肩を落とすボブの前に、ボブのヒーローとしての力が必要だと言うミラージュと名乗る女性が現れます。
ボブの瞳は輝き、すぐに依頼を受けることになりました。
初の極秘任務は、研究施設から脱走した知能を持つ戦闘ロボットを捕獲するものでした。
任務の成功に自信をつけたボブは新しいヒーロースーツをデザイナーのエドナ・モードに依頼し、生き生きとした毎日を過ごします。

しかし、ヘレンはボブの浮気を疑うようになり、エドナを訪ねます。
そしてボブのヒーローとしての活動もばれてしまうのでした。

新しいスーツで次の任務に向かうボブでしたが、待ち受けていたのは大きな罠。
捉えられてしまったボブは世界を救うことができるのでしょうか。

Mr.インクレディブルネタバレラスト

待ち構えていたのは、当時のMr.インクレディブルの大ファン、バディ(声:宮迫博之/岩田光央)でした。
いつも邪魔扱いされていたバディは研究に研究を重ね、Mr.インクレディブルを倒す事を夢見て生きてきたのです。

発信機能の付いたスーツからボブの居場所を特定したヘレンは、ボブを追っていきますが、留守番しているはずのヴァイオレットとダッシュもヘレンの乗るジェット機に忍び込んでいたのです。
その時ジェット機めがけて飛んでくるミサイルに気が付き、3人は広い海に投げ出されてしまいました。
互いの能力を持ち合わせ、ボブのいる島までたどり着き、ヘレンはボブの救出に走ります。
ヴァイオレットとダッシュも身を潜めていましたが、敵に見つかり攻撃から逃れようと戦います。
逃げる最中に両親と再会することはできましたが、バディによって今度は家族全員が捉えられてしまうのです。

ヴァイオレットの能力で脱出に成功。
世界を危険にさらすバディの企みを阻止する為、4人は街を目指します。
フロゾンも参戦し、街を危機から救います。
政府や市民から感謝されながら帰宅すると、バディはジャック=ジャックを抱え彼らを待っていました。
家族の目の前でジャック=ジャックを誘拐し、上空の飛行機まで飛び上がります。

泣き叫ぶジャック=ジャックを心配そうに見上げる家族ですが、はるか上空では、覚醒したジャック=ジャックがバディを攻撃しているのです。
驚いたバディは手を放し、ヘレンがしっかりと受け止めるのでした。
ボブはバディの飛行機に車を投げつけ、燃え上がる炎の中、慌てたバディは、自慢のマントをエンジンに巻き込まれてしまったのです。

3か月後、幸せに暮らすポー一家はスーパーヒーローとして平和のために戦い続けます。

Mr.インクレディブル見どころ4点

1点目:個性的なキャラクター

一家の個性的なキャラクターが面白い。
力ではだれにも負けない破壊力を持っているのに妻にはめっぽう弱いお父さん。
嘘が下手なボブのわかりやすい喜怒哀楽に親しみが持てます。
家族の安全を考え、社会に溶け込もうと頑張るヘレンも共感できるキャラクター。
常にイライラしがちで口うるさいが、第一に家族の事を考えているところも、特に子をもつ母親には理解できてしまうものでしょう。

エドナも忘れられない存在。
小さすぎる見た目も、髪型もインパクトがありますが、彼女のキャラクターは個性的すぎです。
人の話はあまり聞かず、言いたいことだけ言う彼女ですが、デザイナーとしての技術は素晴らしい。
芸術家気質が滲み出ています。
「過去は振り返らない。未来が見えなくなるから。」なんて、名言を残すところも格好良く、頼れる存在です。

2点目:どの能力がほしくなる?

ボブは力持ち。
鉄の固まりもちょっと握っただけでグニャっと変形してしまいます。
ヘレンは体がゴムのようによく伸びます。
パラシュートや、ボートにも変身可能。逆に変身不可能なものが知りたいくらいです。

子供達の能力も素晴らしい。
ヴァイオレットは姿を消したり、シールドを張り攻撃から身を守ることができます。
ダッシュは目にも止まらぬ早さで走ることができ、水の上も走れます。
好奇心旺盛なやんちゃ具合も可愛らしいのです。
ジャックジャックもラストで少し能力をみせますが、まだ家族は誰もジャックジャックの能力に気がついていません。
そんなところもこれから面白くなる予感を感じさせてくれるのです。

どの能力が強いのか。あなたはどの能力がほしくなりますか?

3点目:何気にすごい、バディの発明

少年時代からMr.インクレディブルの仲間になりたいと追っかけをしているバディは、少年の頃既に、空を飛べるロケットブーツを開発しています。
ポー一家を捕獲の際に利用したゼロ・ポイント・エネルギービームや、知能を持つオムニロイドロボットを完成させています。
敵ながらあっぱれと言う程の才能の持ち主で、彼が悪役になってしまった経緯にも同情してしまうかもしれません。

4点目:今までのアニメでは描かれなかったテーマ

家庭と仕事とのバランスや、生きがいを感じられる仕事ができないなど、誰もが一度は壁にぶち当たる問題をテーマにしています。
身近なテーマに共感できるところも魅力で、軽い気持ちで見たつもりがポー家族の活躍にいつのまにか見入ってしまうことでしょう。問題がありながらも個々が成長し、絆が強くなっていく様を感じます。
子供達の成長も表現され、子供はいつまでも子供ではなく、精一杯考え、葛藤し、悩む姿がとても愛おしく感じられます。

Mr.インクレディブル感想

エドナのシーンはお気に入りです。
あれだけ喋り倒して、それでもしっかり的を得ているところや、万が一に備えて自宅の警備を怠らないところ。
新しいスーツの説明をするシーンは面白く、真面目なヘレンがペースを崩されるふたりの温度差に笑えます。ボブが要求したマントの話のくだりも見逃せません。

そして子供達が自分の力に自信をもっていく過程は素晴らしく、ひとつでも自分に自信を持つものができれば内面から変われることができる、と改めて教わった部分です。

能力を駆使した戦闘シーンの激しさ、家族愛などただのヒーローアニメではなく、みどころだらけのアニメ映画です。
観る人のひとりひとりにお気に入りのシーンがちゃんと見つかる、宝探しができるような作品なのです。

Mr.インクレディブル総括

アニメが好きでなくても、ヒーローが苦手でも、誰でも楽しめる映画です。
CGによる仕上がり、色使いや動き、体のバランスも特徴があり、ヴァイオレットの髪の揺れ加減などは最後まで気になるところです。
家族をテーマにしている為共感しやすく、日々の慌ただしさの中でそれぞれが悩みを持ち乗り越えていく姿が私たちの心を引き付けます。

後半の戦闘シーンのスピーディーさも面白く、気持ちが良いものです。
それぞれの能力の使い方になるほどと納得したり、新しい発見と展開にハラハラさせられたりと、何気なく観だしたはずのあなたもいつの間にか夢中になっていることでしょう。

いつの時代にも変わらない普遍の面白さが詰まった映画です。