2005年公開、アメリカSFアクション映画の『アイランド』は、ワーナー・ブラザーズとドリームワークスの共同制作を「ザ・ロック」や「アルマゲドン」のマイケル・ベイ監督が手掛けます。
主役は「ゴーストライター」でヨーロッパ映画祭において男優賞受賞のスコットランド出身俳優、ユアン・マクレガー。
ヒロインには「アイアンマン2」にも出演、歌手としても活躍するスカーレット・ヨハンソンが挑みます。

14年後の2019年、環境破壊が進み続けるこの世界でいったい何が行われようとしているのか。
より近代化を計る科学の力と、人間の持つ果てしない欲求を描きます。

『アイランド』あらすじ

2019年、環境破壊が進んだ地球は完全に汚染され、かつての地球の姿ではなくなりました。
その中でも生き残った一部の人は徹底した管理が施されている施設で選ばれた人間であると信じ、その中で暮らしています。
白一色の建物と衣装を義務づけられている住人たちは、毎日行われる抽選会を楽しみにしています。
抽選によって選ばれた数少ない者だけが夢の国『アイランド』への移住が許されるからです。

リンカーン・6・エコー(ユアン・マクレガー)は管理されたこの暮らしに不満を持ち始めます。
退屈な仕事、退屈な食事、何もかもが決められた事の連続で、食事の時にだけ会うことができるジョーダン・2・デルタ(スカーレット・ヨハンソン)との会話だけを楽しみにしていました。

ある日、リンカーンは換気口から入ってきた蛾を見つけます
汚染されているはずの外の世界になぜ生き物がいるのかと、疑問を持ち始めたリンカーンは部屋を抜け出し施設内を動き回ります。
すると、手術台に乗せられ、臓器を取り出される男を目撃。
また、出産したばかりの女性が、子供を抱く事も許されないまま薬によって殺されてしまう場面にも出くわします。
2人とも、アイランド行きが決定したばかりの施設の住人だったのです。

リンカーンは今しがた抽選によって選ばれ、アイランド行きを心待ちにするジョーダンを連れ、脱走をはかります。

『アイランド』結末

映画アイランドのユアン・マクレガー

(C) 2005 Dreamworks LLC and Warner Bros. Entertainment Inc.

外の世界に飛び出すと、世界は明るく多くの人間と生物、そして見たこともないハイテクな景色が目に飛び込んできます。
リンカーンは、施設内で知り合ったマック(スティーヴ・ブシェミ)を訪ねました。
驚いたマックは、仕方なく彼らに真実を告げるのです。

実は施設の住人たちは皆クローン人間であり、上流階級の人が高いお金をかけ、自分のクローンを作りだしているのだと。
クローンの存在はいわば保険。
感情を持たない物扱いだと言うのです。
自分の持つ幼少期からの記憶も、夢の国アイランドへの憧れも全てはクローン会社が彼らに植え込んだ偽物の記憶だということでした。
ショックで言葉を失うも、リンカーンは、本物のリンカーンに会いに行きます。

クローン会社は、顧客や世間にクローンが意志をもって逃げ出したことが知られては困ると、ローラン(ジャイモン・フンスー)を雇い、あらゆる手を使いクローンの捕獲に挑みます。
リンカーンは本物のリンカーンと対面することは叶いましたが、ついにローランにより追い詰められてしまうのです。
2人のリンカーンは、自分こそが本物であると訴えますが当然見分けることはできず、本物のリンカーンが射殺されてしまうのでした。

2人は共に生きていこうと誓い合い、仲間のクローンたちを助け出す計画を考えます。
リンカーンは本物に成り済まし、施設に入り込み管理装置を破壊しました。
クローンたちは、現れた真実の世界に驚き、光に導かれるまま走り出します。
明るい世界と自由を手に入れた彼らは陽の光を目いっぱい浴びるのでした。

『アイランド』見どころ3点

激しいカーアクションと、CGを駆使した映像美

クローンが起こす騒ぎとも思えないくらいの激しいアクションは見どころです。
特徴的な形をしているバイクにも発想の豊かさが感じられ、所々で遊び心を感じられます。
そして、次々と転がり爆破される車とそのスピード感に気持ちが高ぶることでしょう。

壮大な自然の景色と近代的なビルの隙間を走る列車など、スローモーションでもう一度見たいと思わせてくれる美しさと新鮮さも感じられます。
クローン達が製造されている施設も興味深いものがあり実際にこんな場所があるのではないかと言う恐怖と興奮が伝わってきます。2019年を既に迎えた今だからこそ、作品中の近代的な様子と現実との違いを楽しめる事でしょう。

ただのフィクションとは思えない私たちの未来

2005年という時代に、14年後の世界を想像し、その問題点に触れたところは興味をそそられます。それに、当時からクローンの技術はあったにせよ、クローン技術がもたらす問題を想定した作品であることにも驚きがあることでしょう。

SF映画は、もちろん夢と希望を感じられる作品も多くありますが、地球外生命体による地球侵略や、「ターミネーター」のような、心を持ってしまった機械との戦闘。同様にAIに支配されていくストーリーも多いものです。
『アイランド』はそれらとは違い、新しい視点からのSF作品を見ることができるのです。
自分との共存と闘いを描いたストーリー。
敢えて敵と呼ぶのならば、それは人間の持つ欲求のような掴みどころのない相手なのです。

マック役、スティーヴ・ブシェミとローラン役、ジャイモン・フンスーの存在

日本でも海外でも、古くから永遠の命を手にいれたいとする物語は多く、永遠でないからこそ命とは貴重なのだという考えが染み付いていいます。どんなことをしても生きたいという人間の本能が強く感じられます。

一方でマックや、ローランの人間らしい存在が光ります。
生に執着する本能と命の危険を感じながらも誰かを助けようとする感情との両方の想いが人間らしく感じられます。

『アイランド』感想

激しいカーアクションと美しいCG映像、見どころは多いはずなのに、マイケル・ベイ監督の失敗作とも言われた今作。
テーマの面白さはあるものの、想像通りに進むストーリーの展開に、物足りなさを感じる人も多いのかと思われます。

そして、一見ハッピーな終わり方にも見えますが、自由を手に入れたクローン達の今後が一番気になるところです。
クローンとは言っても命あるもの。
助かった事を喜んだ先にある試練に、本当にこの結末で良かったのかという疑問が降りかかったままなのです。

科学の進歩をよろこぶ反面、発達によってもたらされる人間の欲深さが恐ろしく写ります。
欲求のままに命を創造し、使い捨ては物のように扱うという考え方を提示されたことは重く受け止め、結論になど行きつくことも出来ないくらいに難しい問題であることを感じ取ることができます。
悲しくも、感情を持ってしまったクローンの生きる意味について考えさせられます。

『アイランド』総括

快適さを追求した人類が結果自分達の住みかを破壊していく環境汚染。
環境問題や地球の未来に関心を持てるきっかけになる作品です。
未来図への恐怖が肥大化し、誰もがこのままでよいのかと疑問を持たずにはいられません。
そして、人類の生への強さを知り、どんな状況下においても生きていこうとする人間の強さを感じることができます。

また、1億2,000万ドル以上もの製作費をつぎ込んだSF 映画だけあり、映像のすばらしさは一見の価値あり。
美しい景色と最新の技術を取り込んだ町の様子、特にクローン生産の施設は不思議な空間で目を奪われます。
もしかしたら知らない何処かで密かに行われているかもしれないという、創造を掻き立ててくれます。

恐ろしい速さで科学が発達していく世の中において、クローンと言う技術はまだまだ身近に感じられない問題です。
しかし近い未来、自分や次の世代に降りかかる問題に、今のうちから真剣に考えていく必要があると思える作品です。