ズーランダー』のベン・スティラーが監督、脚本、原案、製作そして主演を務める戦争コメディ映画『トロピック・サンダー』。
映画界の裏側がブラックコメディたっぷりに描かれている今作では、ベン・スティラーの他にも、『アイアンマン』でおなじみのロバート・ダウニー・Jr、『スクール・オブ・ロック』のジャック・ブラックなど人気俳優が問題を抱える扱いづらい俳優を熱演しています。
彼らの他にも『24パーティー・アワー・ピープル』のスティーヴ・クーガンや『宇宙人ポール』のビル・ヘイダーなど、コメディ映画でよく目にする顔ぶれが脇を固め、映画を盛り上げています。

アメリカで様々な記録を打ち立てた『ダークナイト』を破り、劇場公開時には初登場で首位を飾った今作。
怒涛のアクションシーン、クセの強い俳優陣、そしてこれでもかと盛り込まれたジョークの嵐が、見る者を笑いと混沌の世界へと誘います。

『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』あらすじ

映画トロピック・サンダーの主演3名

(C)2008 DreamWorks LLC. All Rights Reserved.

落ち目のアクション俳優ダグ・スピードマン(ベン・スティラー)、演技派俳優のカーク・ラザラス(ロバート・ダウニー・Jr)、コメディ俳優のジェフ・ポートノイ(ジャック・ブラック)など、癖の強い俳優を擁して撮影が始まった戦争映画『トロピックサンダー』。
新人監督デミアン(スティーヴ・クーガン)は俳優たちをまとめられず、撮影5日目にして早くも予算オーバーしてしまい、映画プロデューサー、レスの怒りを買います。

撮影中止という最悪の事態を免れたいデミアンは、原作者フォーリーフ(ニック・ノルティ)の提案に乗り、俳優たちをジャングルに置き去りにします。
迫真の演技を引き出す為に皆を鼓舞するデミアンは、なんと地雷を踏み、木っ端微塵に吹き飛んでしまいます。
混乱する俳優たちは突如襲撃を受けますが、これも演出だと思い込むダグは演技を続けます
特殊効果班のコディ(ダニー・マクブライド)が仕掛けた爆弾により、何とかピンチを切り抜けると、先を進もうとする一行。
演技を続けるダグをよそに、カークたちはコディと合流を目指し、別ルートを進みます。

一人になったダグはエージェント、リック(マシュー・マコノヒー)との電話の最中で、麻薬組織に捕まってしまいます。色々勘違いしたリックは、レスの事務所へ乗り込み、契約内容と違うと激しく詰め寄ります。
そこにかかってきたのは、ダグを捕らえた麻薬組織から身代金要求の電話でした。
しかし電話を奪い取ったレスは暴言を浴びせ、電話を切ってしまいます。

一方カーク達は偶然にも捕まったダグと、敵のアジトを発見します。
そこが麻薬組織のアジトだと知った彼らは、一致団結をしてダグを救うべく、ある作戦を決行します。

『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』見どころ3点

1点目「手の込んだコマーシャル」

本物と間違うほど作り込まれたコマーシャルから映画は幕を開ける今作。
ブーティ・スウェットというエナジードリンクのCM後、次々と新作映画情報が流されます。
ユニバーサルが配給するのは、ダグの出世作である『スコーチャー』最新作。

ニュー・ライン・シネマからはジェフが一人6役演じる下劣なコメディ映画『ファッティーズ パート2』、そしてFOXからはカークとトビー・マグワイアの禁断の関係を描いた『悪魔の小路』のコマーシャル。
それぞれ配給会社のロゴが使われていたり、コマーシャル中に画面に現れる評価の内容やコピーが秀逸で、本物の新作映画のコマーシャルかと戸惑ってしまいました。

そしてこのコマーシャルを見ることで、本編に登場するキャラクターの特徴を知ることができるのです。
それぞれの俳優がどんな演技スタイルなのか、世間からどんな評価を得ているかや、後のメインストーリーにも絡んでくるネタも登場します。
情報盛りだくさんの爆笑のコマーシャルシーン、要注目です。

2点目「演技派すぎる俳優カーク・ラザラス」

トロピック・サンダーのロバートダウニーJr

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今作で一番の見どころは、ロバート・ダウニー・Jr演じるカーク・ラザラスではないでしょうか。
演技派俳優として5度のオスカーを受賞、私生活ではトラブルばかりと、話題の尽きないカーク。
徹底して役を作り込むスタイルで、『トロピックサンダー』で黒人軍曹を演じる為に黒人訛りを駆使し、更には皮膚整形の手術を受け、自分の肌の色までも変えてしまうのです。

そんなカークを演じるのは、『アイアンマン』のロバート・ダウニー・Jr。
長い間ドラッグ問題に悩まされてきた彼は、2008年に公開された今作と『アイアンマン』で見事カムバックを果たしました。
また今作のカーク役で2009年のアカデミー賞助演男優賞を始め、様々な賞でノミネートされました。
完全復活したロバート・ダウニー・Jrが演じ、高い評価を得たカークから目が離せません。

3点目「あの俳優が演じる、悪魔のような男」

トロピック・サンダーのトム・クルーズ

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強烈すぎて忘れられないキャラクターだらけの今作。
その中で一際目立つのは、映画プロデューサーのレスです。
カネにがめつく、高圧的な態度で暴言を吐きちらす、パワハラの象徴のような男です。
その場にいるだけで緊張してしまう高圧的な態度と、有無を言わさぬ目力の強さ、耳を塞ぎたくなるような汚い言葉使い、そして何より優先するのはカネ儲け。
一度見たら頭から離れなくなる破壊力抜群のダンスももちろん、強烈すぎる彼に、ただただ圧倒されてしまいます。

実はこの役を演じているのは、誰もが知っているあの有名俳優です。
エンドロールまで誰が演じているか分からず、レス役の俳優の名前を見た時、あまりの意外さに衝撃を受けました。
今まで演じてきた役のイメージだけでなく、自身のイメージまでも叩き壊すような強烈なキャラクターを演じる有名俳優、あなたは誰か分かりますか?

『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』感想

トロピック・サンダー

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まともなキャラクターが一人も登場しない、というとんでもない状況でストーリーが展開していく『トロピック・サンダー』。
変人だらけのキャラクターの中でも特に目が離せなかったのは、ロバート・ダウニー・Jr演じるカークと、あの有名俳優が演じる悪魔のような映画プロデューサーのレスです。
カークのやり過ぎ感、レスの暴君っぷりが際立っていて、他のキャラクターと絡むことでそれぞれの役のクレイジーさが止まらなくなっていくところが最高でした。

勘違いが勘違いを呼び、どんどんと大げさな展開を繰り広げていくストーリーも面白く、何が起こっても演出だと疑わないダグと、ハプニングが起こっても台本と合っているという偶然に、終始笑いが止まりませんでした。

アクション映画に負けない大迫力の爆発シーン、グロテスクな描写だらけの戦闘シーンにも圧倒される今作。
”超大作”感満載の『トロピック・サンダー』は、想像以上に楽しめるアクションコメディー超大作です。

『トロピック・サンダー/史上最低の作戦』評価

トロピック・サンダーのメインキャスト

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メイン3人の俳優たちの破壊力、そして脇を固める俳優たちのはちゃめちゃぶりが凄まじく、ハイテンションで突き進んでいくストーリーに終始笑わされる今作
『ズーランダー』でベン・スティラーが演じたおバカモデルのデレク・ズーランダーを彷彿とさせる主人公ダグをはじめ、常に全力でコメディを演じる俳優陣。
おバカなダグ、こだわりが強すぎて扱いづらいカーク、常にギラギラしているジェフなど、俳優たちがそれぞれのキャラクターの魅力を存分に引き出し、笑いの嵐を巻き起こします。

冒頭でいきなり『プラトーン』のパロディが繰り出されるなど、現実の映画や俳優のパロディを匂わせる部分もあちこちに登場するので、元ネタ探しをするのも楽しい作品になっています。
ただ、戦争映画を撮影している設定なので、予期せずグロテスクな描写を目にしてしまうこともあります。

そしてその状況をしつこいぐらいに撮っているので、血生臭いシーンが苦手な人は注意が必要です。

グロテスクなシーンや下ネタも登場しますが、細部にこだわり抜き、全力でバカな映画を作っているという感じが、最高に面白い今作。
色々な意味でハリウッドらしい映画を見たい人や、カッコよくないロバート・ダウニー・Jrを見てみたい人にオススメしたい作品です。