抱腹絶倒のコメディ映画『ズーランダー』ブルースティールのキメ顔が癖になる

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『メリーに首ったけ』や『ミート・ザ・ペアレンツ』といったコメディ映画でおなじみのベン・ステイラーが監督・脚本・原案・製作を手がけ、主演を務めた『ズーランダー』。
ファッション業界を舞台に、メンズトップモデルとして君臨し続けるスーパーモデル、デレク・ズーランダーが再起を果たそうとするも、悪の組織の陰謀に巻き込まれていく様子がコミカルに描かれています。
ライバル、ハンセルとのモデル対決を始め、友情、親子の確執、再起をかけた挑戦などシリアスなテーマにジョークをこってりとトッピングしてあり、全編通して笑えないところがない、アメリカンコメディ映画に仕上がっています。

実は9・11の事件から2週間後というタイミングで劇場公開された今作。
痛ましい事件が起こり、とてもコメディ映画を宣伝できる雰囲気では無かったそう。
プロモーションが上手できず、公開当時はヒットはしませんでした。
その後、口コミでファンを増やし、カルト的な人気を誇るようになっていきます。

個性的な出演陣、そして多くのセレブがカメオ出演しているところにも注目です。

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『ズーランダー』あらすじ


デレク・ズーランダー(ベン・スティラー)は、ブルー・スティールと呼ばれるキメ顔で人々を魅了するスーパーモデル
しかし4連覇がかかるベストモデルアワードで、ハンセル(オーウェン・ウィルソン)に敗れてしまいます。
3人のモデル仲間が彼を街へ連れ出しますが、ガソリンスタンドではしゃぎ過ぎ、3人は帰らぬ人となってしまいます。
多くを失ったデレクは引退を決意し、故郷に戻ります

故郷へ戻ったデレクは坑夫の父(ジョン・ヴォイド)から、息子がモデルであることを恥じていると拒絶されます。
どん底のデレクの元へ、モデル事務所の社長モーリー(ジェリー・スティラー)が、ムガトゥ(ウィル・フェレル)のショーでのカムバックの話を持ちかけてきます。
デレクはファッション界に戻るため、ムガトゥの元へ向かいます。

実はこのオファーには裏がありました。
ムガトゥは国際デザイナー連盟から、マレーシア首相暗殺を命令されていたのです。
彼は首相をショーに招待し、デレクを使って首相暗殺を企んでいました
何も知らないデレクはムガトゥの部下、カティンカ(ミラ・ジョヴォビッチ)から洗脳を受けます
ムガトゥについて調べていた記者のマチルダ(クリスティン・テイラー)は、彼のショーに出たモデルが相次いで怪死していることに気が付きます。
デレクと接触した彼女はムガトゥの企みと、デレクの命が危ないことを告げます。
そこへかかってきた匿名の電話。指定された墓地に向かった二人は、驚くべき事実を知ります。

『ズーランダー』見どころ3点

1点目「デレクとハンセルの魅力」


スーパーモデルのデレクとハンセル、二人はあちこちで、想像できないほどのおバカっぷりを見せつけます。
二人が無知であるが故に生じる他者とのギャップが面白く描かれていて、記者マチルダとの全く噛み合わない会話であったり、故郷へ戻ったデレクと父との噛み合わないやり取りは、そこじゃないのに!そうじゃないのに!とついつい、つっこみを入れてしまいます。

そんな二人の魅力は純粋で優しい心を持っているところ。
モーリー社長の「頭はトロいが本当にいい子。」というセリフからはデレクの良さを、そして様々な人とコミュニティを築き、分け隔てなく接する姿からはハンセルの良さを感じることができます。
救いようのないおバカですが、人々の心をつかむ二人のスーパーモデル、デレクとハンセルは、見ているうちに愛着が湧いてくる不思議な魅力を持ったキャラクターとして描かれています。

2点目「デレクとハンセルの対決シーン」デヴィッド・ボウイが本人役で登場


3年連続ベストモデルのデレクと、ライバルの新人モデル、ハンセル。
トップモデルの二人が見せるウォーキング対決は、『ズーランダー』のおかしな世界観を存分に味わえる名シーンになっています。

ルールは前者の動きを完璧に再現すること。
オーディエンスの前で、二人はハイレベルな対決を繰り広げます。クールな表情で変なポージングをする二人のモデルはもちろん、そんな二人に疑問も抱かず熱狂するオーディエンスの姿が面白おかしく描かれているこのシーン。
激闘の末、ハンセルが勝利を手にしますが、この勝ち方、嬉しいのか?と思わずつっこんでしまう決着のつき方をします。

そしてもう一点、このシーンでの注目ポイントは、デヴィッド・ボウイが本人役で出演しているところです。
ウォーキング対決を真剣にジャッジする彼の姿の姿は見逃せません。

3点目「強烈なキャラクター」


デレクやハンセルに負けず劣らず、強烈なインパクトを持つキャラクターが多数登場するのも、今作の見どころのひとつ。
中でも強烈なキャラクターが、コメディ俳優ウィル・フェレルが演じるムガトゥです。
ウィル・フェレルらしいハイテンションの演技がムガトゥの狂気的な面を際立たせていて、独特なルックスも相まって、見ていてクセになるキャラクターに仕上がっています。
またムガトゥの部下カティンカを演じるミラ・ジョヴォビッチのクレイジーっぷりも見応えがあります。

強烈な悪役の他にも、有名俳優がさりげなく出演しています。
デレクの父親役をジョン・ヴォイド、ハンドモデルのプルウィット役を『X-ファイル』のデイヴィッド・ドゥカヴニー。
そして事務所社長を演じているのは、ベン・スティラーの実父で、コメディ俳優のジェリー・スティラー。
そんな彼がメチャクチャなキャラクター達を演じ、物語を更にカオスでぶっ飛んだものにしています。

『ズーランダー』感想


ブルー・スティールやマグナムといった意味不明の単語が飛び出す今作。
タイトルもDVDジャケットも不思議すぎて、長い間見るのを躊躇していた『ズーランダー』ですが、いざ見てみるとそのぶっ飛んだ世界観と、途切れることのないジョークの嵐の虜になってしまいました。

モデル・ファッション業界を舞台に、美への高い意識や、モデルそしてファッションをネタにしていて、デレクが繰り出すキメ顔もブルースティールと名付けられ、ネタの一つとして笑いを誘います。

デレクとハンセルのおバカっぷりは想像以上で、他者とのズレから生まれるちぐはぐな言動が今作の笑いの根源になっています。
しかし物語が進むにつれて二人の純粋さを目にするようになると、おバカさは目立ちますが、ただ純粋で自分に素直な二人に愛着が湧いてきます。
見終わった後は鏡の前でこっそりブルー・スティールを試してみたくなる、ぶっ飛んだコメディ映画『ズーランダー』。
その不思議な世界に一度ハマると、なかなか抜け出せない中毒性のある映画です。

『ズーランダー』評価

頭が空っぽなメンズモデルを使って、マレーシア首相暗殺を目論むムガトゥと、そんな裏があることに全く気が付かず、ファッション界にカムバックを果たすべく立ち上がるデレク。
この個性的すぎる二人だけでなく、 強烈なキャラクターが次々と登場し、物語がハイテンションに突き進んでいきます。
気を抜くとギャグだけで終わってしまいそうですが、記者で常識人のマチルダが物語のポイントに現れてムガトゥの陰謀を明らかにしていくことで、ぶっ飛んだギャグばかりにならず、テンポよくコンパクトに物語が進んでいきます。

次々現れる豪華なカメオ出演のセレブ達、そしてデレクとハンセルに負けず、強烈なインパクトを残すキャラクターたち。
ライバルの熾烈な競争と熱い友情。
休む暇が無いほど、見どころ、笑いどころ満載の映画になっています。

2016年には今作のキャラクターも多数登場する、『ズーランダー2』も制作されています。
今作でズーランダーにハマった人には、是非続けて『ズーランダー2』を見て、デレクとハンセルの作り出す爆笑の世界を楽しんでほしいです。
ドタバタのアメリカンコメディが大好きな人にはもちろん、何にも考えずに笑える映画を探している人にオススメの作品です。

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