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明石家さんまプロデュースで話題となったアニメ映画「漁港の肉子ちゃん」を紹介します。

明石家さんまと言えば「生きてるだけで丸儲け」を信条としている事でも知られ、娘に「IMALU」と付けた程です。

この言葉は時々「生きて行くだけでも精一杯なのに、何て無責任な事を言うんだ」と、格差社会を理解していない様に取られる時があります。

生活が苦しい等の悩みが多く、心の余裕が無い人には、そう捉えられてもおかしくありません。
しかし、いつまでも下を向いてばかりいて、人生が好転するでしょうか?

底まで来たら、開き直るしかなく、過去と決別し、常に明るく生きて行ければ、幸せに暮らせるかもしれません。
そんな、絵に描いた様な人生を送っているのが、アニメ化された映画「漁港の肉子ちゃん」です。

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『漁港の肉子ちゃん』あらすじ

漁港で暮らす肉子ちゃんは、名前に負けず、マトリョーシカの様にふくよかな身体つき。
多くの男に騙されては所持金を巻きあげられ、その度に住居を転々とする生活を送っていた。
肉子は、その過去を疑っていない。
お人好しなのかただ明るいだけか解らないが、それでも、めげないどころか、何処かで人を信用している様子。

母・肉子から「キクりん」と呼ばれているのは、娘のキクコ。
母・肉子と一緒に方々を転々とし、今は、北にある漁港の町に辿り着いた。
肉子は「うをがし」と言う焼肉屋で、働く事になる。

店主・サッサンから提示された条件は「決してお腹を壊さない事」(壊すと、あの店で食中毒が出たと、すぐ噂になる為)。

サッサンも、肉子の身体つきが「肉の神様」に映ったので、何かの縁を感じており、また、新たな恋の予感を覚えた。

キクコの周りでは、学校特有の、グループ間での摩擦等が起きて巻き込まれると言った、学生生活にありがちな、頭を抱える事件も出始めていた。
母・肉子に全く似ていない美貌のキクコを密かに見守る、時々ヘンな顔を見せる男の子・二宮等、周囲には恵まれた日が続いた。

『漁港の肉子ちゃん』ネタバレラスト

※ここからはネタバレを含んでいます。

未鑑賞の人は感想へジャンプした方が良いかも?

学校での運動会。
肉子は、借り物競争や応援でも、キクコが恥ずかしがっているのもお構いなく、暴走してしまう。

時には応援席を離れたりして、自分勝手な行動に呆れられるが、肉子に何を言っても無駄。
盗撮と思しき怪しいフラッシュが焚かれている事にも、気づいていない様子。

それでも「普通が一番ええのんやでっ!」の信念は、変わらないままだった。
ある日、キクコは急性盲腸炎で倒れてしまう。
急病で倒れては焼肉屋「うをがし」に迷惑が掛かり、店もクビにされてしまう。

誰にも言えず、ひたすら我慢する羽目になってしまった。
しかしこの件が元で、自らの出生の秘密を知る事になる。
運動会で焚かれたフラッシュや肉子の単独行動の謎が繋がって行き、改めて、家族のあり方を考える事になる…。

『漁港の肉子ちゃん』見どころ4点

『漁港の肉子ちゃん』の鑑賞ポイントを紹介します。
極力ネタバレは無しです。

1.明石家さんまプロデュースのアニメ

自己プロデュースは天才的に巧い明石家さんまですが、舞台「今回もコントだけ」や、Netflixで配信された、ジミー大西の半生をドラマ化した「Jimmy〜アホみたいなホンマの話〜」等、舞台や映像作品の企画・プロデュースをした実績も、多くあります。

「漁港の肉子ちゃん」は、小説を読んだ明石家さんまが、即、プロデュースの権利を抑えてくれと事務所に連絡を入れ、企画・プロデュースに至りました。
完成までに5年をかけた、手の込んだ作品です。

2.声優陣の評価

肉子の吹替えは、元妻でもある大竹しのぶ。
キクコの吹替えは、木村拓哉・工藤静香夫妻の長女・Cocomiです。
やや、ぎこちなさを感じます。
肉子の声が体型よりも細くて若く、キクコは素人っぽさが残る感じです。

しかし、肉子の年齢不詳かつ年恰好から感じる微妙な雰囲気は出ていますし、また、キクコは普通の女の子と捉えたら、さほど気にしなくて済むでしょう。

花江夏樹等、人気声優が脇を固めている点が、作品を引き締めています

3.原作者・西加奈子

西加奈子はイラン・テヘラン生まれ。
幼少期をカイロで過ごした後、大阪に移り住んだ作家で、長編小説「サラバ!」で、第152回直木賞を受賞しています。

この小説の冒頭で『エジプトの人間は、「かわいいね」「儲かりまっか」「明石家さんま」という日本語を知っている』と書いてあったのを、書店で偶然、明石家さんまが見つけ、これは明石家さんまが出てくる話やなと思って読んだら、その1行しか登場しなくて落胆したと言うエピソードがあります。

4.挿入歌『イメージの詩(うた)』

主題歌は、吉田拓郎が1970年に発表したデビューシングル「イメージの詩」。
この曲を、10才の子役・稲垣来泉が唄っています。

一切の屈託が無く、純粋に唄いあげている点が、作品に好印象を与えて、吉田拓郎自身がが「(思わず涙した)」と、絶賛しています。

アニメ制作は「海獣の子供」「鉄コン筋クリート」で有名な、STUDIO 4℃です。
声優では下野紘、マツコ・デラックス、吉岡里帆、山西惇等、多彩な顔ぶれが、作品を引き締めています。

『漁港の肉子ちゃん』感想

原作に忠実で、映画作品だからと独自に改変した点は、ありません。
映画好きの明石家さんまらしい、名作映画へのオマージュもふんだんに盛り込まれており、アニメも丁寧に制作されています。

肉子ちゃんの半生とキクコとの触れ合いを軸にしているので、物語としての葛藤は若干薄めで、ストーリーが激しく起伏する様な作品ではありません。

物足りなさを感じてバッシングに走る評も見かけますが、それは作者への冒涜にも繋がります。
「明石家さんまプロデュース」と銘打っているので「明石家さんまに所縁のあるタレントが多く出演し、さんまカラーが強くなっているのでは?」と危惧したくなりますが、そこまでの拘りも無く、小説の内容を重視しています。

マツコ・デラックスや宮迫博之が出演していますが、適材適所で収まっているので、鼻につく様な問題は、ありません。

「タレントがプロデュースした作品」との先入観は、捨てるべきです。
西加奈子に惚れ込んだ明石家さんまの、滅多に人に見せない内面の優しさを醸し出しているとも取れます。
「お喋り怪獣」と例えられる割には、家族のプライベートな件に余り触れる事の無い明石家さんまが、自身の家族観を投影させた作品でもあります。

『漁港の肉子ちゃん』総括

「みんな望まれて生まれてきたんやで」「迷惑かけても大丈夫」「普通が一番ええのんやでっ!」と、胸に突き刺さる台詞が、幾つも出て来ます。

肉子の行動は空気が読めない自分勝手な処が多く、自分から損を買って出ている節があります。
しかし、本能に逆らわずに生きられたら、それはそれで幸せなのかもしれません。

普通の基準も幸せの基準も人それぞれで、本来、とやかく言われる筋合いは無いものです。
不寛容の空気が支配するご時世になりました。
普通に生きて行けない息苦しさも感じる機会が増えて来る筈です。
肉子の生き方が、励みになる機会が出て来るかもしれません。

アニメ界のカンヌとも言われ、世界のアニメーション作品の最高峰とされる「アヌシー国際アニメーション映画祭」から正式招待を受け、特別上映が決定すると、世界に向けて行くアニメ作品になった点も、眼が離せないところです。

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