『フラガール』映画は実話?心を惹きつけて離さないその魅力とは?

どん底から這い上がる再生の物語や主人公達が成長して行く物語は、多くの人々の胸を打つものです。

映画「フラガール」も、そんな作品のひとつ。観る側の心を惹きつけて離さない一本です。

数々の障害を乗り越えながらフラダンサーとして成長して行く様子は、いつの間にか出演者達の背中を押して、肩入れをしている自分に気づかされます。

何かに挑戦したいけど一度もやった試しが無いとか家の都合で出来ない等、何処かで言い訳をして安堵したり、尻込みしたまま終わった経験が、誰に出も有る筈です。
しかし、敢えてチャレンジした事で、風穴を開けた人達もいます。

殆ど全ての人が挑戦して成果を上げ、町の発展に繋がった。
そんな世界観を知る映画「フラガール」を解説します。

『フラガール』あらすじ

昭和40年の福島県いわき市。
かつては炭鉱の町として栄えていたが、不況により従業員の整理が行われる。
それは、いわき市にとっても死活問題だった。

そこに突然「ハワイアンセンター建設」と言う動きが始まり、田舎の町の掲示板に「フラダンサー募集」と言う、場違いなポスターが貼られた。

フラダンスの講師として東京から招かれた平山まどか先生(松雪泰子)は、酒とたばこに溺れて都落ちが納得行かない、やさぐれ美女。

まどかの元にやって来たのは「ド素人の炭鉱娘」と罵りたくなる、垢ぬけない4人。
フラダンスなぞ当然出来るわけも無く、まどかのイライラは最高潮に達し、居酒屋で、発案者の部長と大喧嘩をしてしまう。

参加した4人は周囲の猛反対にもめげず、稽古場の公民館で見様見真似の練習を勝手に始める。
後にフラダンサーになる紀美子(蒼井優)の様子をたまたま見たまどかは、本気の度合いを信じ、厳しい条件を出して本格的な指導を開始した。

一方で、ハワイアンセンターに植える椰子の木をこっそり運搬する炭鉱夫の姿が。
建設に反対する紀美子の兄と大喧嘩するが、生活の為には仕方のない事だった。
まどかはフラダンスの振り付けの意味を教えながら、指導を続けて行く...。

『フラガール』ネタバレラスト

ダンサーの人数も増え、衣装で集合写真を撮影する迄に。
順調に見えたが、まどかの元には東京から借金取りが現れ、メンバーの一人は、炭鉱をクビにされた父にダンサー姿を見られた瞬間、腹いせに殴られると、事件が起こり始める。

しかし、ダンスチームは始動する。
宴会場での大失敗からスタートしたが、徐々に人気が出始める。

ある日。舞台出演の準備をしている処に、炭鉱で落盤事故が発生した一報が入って来た。

犠牲になったのは、ダンサーの中で一番朴訥な小百合の父。
小百合は親の死に目に会えなかった親不孝者と罵られ、まどかは「親の死に目よりもダンスか!」となじられ、責任を取ろうと黙って電車に乗り、いわき市から出て行こうとする。

発車直前で間に合ったダンサーチームはまどかを引き留めようと、習った振り付けである「涙をぬぐって...愛しています...愛しい人よ...」をホームで見せる。
一度は発車した電車は停車し、まどかは降りて来た。

ダンサーチームの危機の一方で、町の人達もフラダンスの頑張りに理解を示す様になり、ハワイアンセンター建設に尽力を注ぐまでになっていた。

無事ハワイアンセンターは完成する。
そして、ダンサーチームの本当の本番が始まる...。

『フラガール』見どころ4点

1点目:女優陣

実力派若手女優と称されていた蒼井優、女優デビュー作品となった山崎静代(南海キャンディーズのしずちゃん)、ドラマの脇役で異彩を放っていた池津祥子等、フラダンスチームの女性陣達の頑張りぶりが、観ている側の心を揺さぶります。

しかし圧巻は、先生役の松雪泰子でしょう。

映画フラガール

(C)2006 BLACK DIAMONDS

やさぐれながらも、そのしなやかな身体でダンスのお手本を見せる姿は、綺麗としか例えられません。

女優としての演技の幅広さだけでなく、スタイルや立ち振る舞いを含めての綺麗さを観てほしいです。

2点目:実話を元にした作品?

実話を元にした映画の様に思われがちですが、取材を通しているうちに一から練り上げた脚本。
所々は実話。後はフィクションです。

松雪泰子演じる平山まどか先生のモデルとなった早川和子(ハワイアンネーム・カレイナニ早川:スパリゾートハワイアンズ・ダンシングチームを育てる「常磐音楽舞踊学院」最高顧問)は当時、フラダンスを教えていましたが、映画で描かれている様な、借金に追われる大酒呑みの女ではなかったそうです。

成長物語として捉える作品と心掛けた方がいいでしょう。
但し、3年をかけて練り上げた脚本は、多くの人々へ感動の涙を誘いました。

3点目:フラダンスの魅力

主演の蒼井優や松雪泰子から、台詞の無いダンサー役の女の子に至るまで、フラダンス経験が一切ない女性達をキャスティングし、踊れる様になるまで一からフラダンスのレッスンを始めて、全員が踊れる様になったそうです。

キャストが数ヶ月に渡るシビアなレッスンを一緒に受ける事によって一体感が生まれるのを狙い、作品に生かしたかったそうです。
これは石原仁美プロデューサーの狙いでした。
レッスンの様子は、DVDにも収録されています。

4点目:口コミで日が付いた映画

監督は、日本を拠点に活躍する李相日(イ・サンイル)。
脚本は映画「パッチギ!」やNHK朝の連続テレビ小説「マッサン」を手掛けた、羽原大介です。

封切当初は、それほど話題にならない作品でした。
しかし口コミで人気が広がり、ロングラン上映される迄になりました。

「第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞」の他、数多くの映画賞を総ナメにしました。
舞台化もされ、何度も上演されており、人気が続いています。
言葉が独り歩きをして、いわき市の代名詞になった様にも受け取れます。

『フラガール』感想

いつの間にか、目頭が熱くなっている作品です。
全くやる気の無かった先生や生徒達が、だんだんとフラダンスの本質に迫って行くうちに、プロのダンサーとして成長して行く姿には、胸を打たれます。

冷たく見放していた町の人々も、やがて理解を示し、協力して行く様子は、周囲に冷たく振る舞うのが当たり前となった現代から見ると、ノスタルジックな感情を抱くかもしれません。
「それでいいのか?」と疑問を抱く筈ですが、そこから心情に変化が起きる、起爆剤の様な作品です。

全く出来なかった処からいつの間にかフラダンスが上達しているシーンに飛んだ様にも映るので、もう少し挫折や葛藤を描いてもよかったかもしれません。

また、DVDの特典で観られますが、しずちゃんが町の男性と恋に堕ちる件は、別の作品としてもいいから観てみたいです。
努力や友情等の要素が多いです。
その手の作品が嫌いな方にはオススメの対象外となり得るかもしれませんが、成長物語のひとつとして、観てほしい映画です。

『フラガール』総括

「見る前に跳べ」と言う言葉があります。
大江健三郎の小説の題名にもありますが、ビートたけしの好きな言葉としても知られています。

「何かにチャレンジしてみたいが、家族の反対や世間体を考えてしまうと躊躇した」
と言うもどかしい経験をして来なかった人は、誰もいない筈です。
そして思いっきり跳ぶ事は、簡単に出来そうで、なかなか出来る事ではありません。

映画「フラガール」は、年齢や容姿に躊躇せず、周りから馬鹿にされようが、勇気を持って一歩前に踏み出した女性達の、汗と涙を含んだ、成長の記録です。

ダンサー達は勿論、周りの人達が理解を持ちながら協力し合い、やがて、いわき市の復興にも繋がって行きます。

「嘗ての日本には助け合いや応援する力があったが、今は殺伐として、とことん周りに冷たくなった」と言う声も聞かれます。

そんな今だからこそ、フラガールの神髄を知ってほしいところです。

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