2019年11月8日公開の白石和彌監督最新作『ひとよ』のネタバレありの結末と感想となります。

まだ、作品を観ていない方は関連記事のあらすじと見どころだけを読んで頂くことをおすすめします。

『ひとよ』ネタバレ結末

母親は子どもたちに「何にだってなれるし、自由を手に入れる」事を望んだからこそ父親を殺害した15年後。
約束通り母親が帰ってきます。

すんなり母親を受け入れた稲村社長をはじめとするタクシー会社の社員たち。
それとは対象的に母親とどう接していけばよいか悩む3兄妹。

母親が原因で「なりたかった美容師になる夢を諦めていた長女・園子」(松岡茉優)は母親が登場した瞬間こそ動揺は隠しきれませんでしたが素直に喜び受け入れます。

幼少期からの吃音と母親が起こした事件のことで、ますますコミュニケーションを苦手としてしまう」長男・大樹(鈴木亮平)も受け入れますが、母親のことを妻に隠していたのがバレ、ますます離婚の危機に。

そして、あからさまに態度に出して母親に強く当たる次男・雄二(佐藤健)。
家族のことをネタにし、それによって実家のタクシー会社にも嫌がらせを受ける要因を作っていましたが「兄弟で唯一母親が父親を殺してまでつくってくれた自由に応えようと今も夢を追い続けていたのでした

なかなか本音で母親とぶつかれない雄二はついに自身が書いた記事のことで兄妹たちとも衝突します。

そんな時、3兄妹の元に「堂下が酒を飲みながら運転しているだけでなく、助手席に母親が乗せられている事を聞かされます

雄二の運転で兄妹は母親を探します。
ついに見つけた堂下(佐々木蔵之介)のタクシーですが、雄二たちの呼びかけに一切応じる様子もなく「必要とされない親なら車のまま海に飛び込んでしまおう」。と母・こはる(田中裕子)に語りながら海へ向かって進むタクシー。

雄二は堂下のタクシーに車ごと体当たりし、間一髪のところで母親を救出。

雄二は今までのありったけの想いを叫ぶのでした。

ひとよの佐藤健

(C)2019「ひとよ」製作委員会

後日、美容師を夢見ていた園子は母の髪の毛を切ってあげようとします。
それを楽しみに待っている母を見た兄弟。
そこにはそれぞれの心の葛藤を乗り越えた家族の姿がありました。

『ひとよ』ネタバレ感想

涙無しには観られない内容でした。
殺人を犯した家族という難しく、暗くなりがちなテーマを取り上げた作品でしたが、ところどころにクスッと笑える箇所もあり緩急ついた映画です。

それぞれの背負ってきた人生や、家族に対する想いから発する言葉は観ているものに対して深く考えさせられるメッセージでもありました。

個人的にはMEGUMIさん演じる長男の妻の言葉「あなたの悩みは家族の悩み」というのが結婚している私に深く突き刺さりました。

また、愛情を持って育ててくれた親に感謝する気持ちや兄弟の絆にウルッとくる人も多いでしょう。

介護に疲れた時など、ある「一夜」に本音ではないが思わず出てしまった一言や、取った行動。
ある人には「なんでもない一夜」かもしれませんが、ある人には「特別な一夜」にもなる。
意味の付け方はその人次第だというのは印象的でした。

それぞれ抱えている家族に対する問題は様々ですが、多数の人に出演者の”誰か”に共感できる家族が垣間見れるでしょう。
そのため多くの人におすすめできる作品です。

ただ、リアリストには突っ込みたい部分も多く残念だと評価する人も出てくる作品でもあります。

  • 自分の敷地内で轢いて殺人は無理があるだろう。
  • 子供の時に運転は現実的ではない
  • ラストのタクシー衝突後などは無理がある

という様な人にはオススメできないかもしれません。

周りの環境で最悪の結末を生んでしまうのは同時期に公開された「JOKER」だと感じました。

ひとよは”家族”をテーマにしていますが、同時期に公開された”兄弟”をテーマにしている「影踏み」もこの映画が好きならおすすめです。