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ヒーロー映画が人気ジャンルとなり、子供やアメコミファン以外も楽しめる作品が数多く登場しています。

そんな中、注目してほしいのは正統派ヒーローとは一線を画する、ダークヒーローの活躍が描かれた作品。
法に背き、目的を達成する為には手段を選ばない。
影を感じさせるキャラクターとダークな物語は、正統派とは違った魅力を放っています。
今回紹介するダークヒーロー作品は、全16作。

重厚なストーリーと激しいバイオレンスが描かれた、正に大人の為のヒーロー映画。
見るほどに深みにハマる、ダークヒーローの魅力をじっくり解説します。

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ダークヒーローとは

人格者で、普通の人を超える力・知識・技術を持ち、人々の為に活動するのがヒーロー。
スーパーマンやアベンジャーズが、この正統派ヒーローに当たります。

一方で、見た目も行動も悪に近く、目的達成の為には躊躇せずに手を汚すのがダークヒーロー
法や社会のルールではなく、自分の掟に従います。

作品で例えると、バットマンやデッドプールなど。
人格者ではなく、戦う理由は復讐などの私怨。

時として人々が求める正義の為、現状の体制を変える為に戦うことも。
彼らの行動は、全ての人には理解されませんが、一部の人からの共感や支持を得ることが多いです。

マーベル・コミックとDCコミックスのダークヒーロー

アメコミの二大出版社、マーベル・コミックとDCコミックス。
同年代に創立し、現代まで引き継がれる様々なヒーローを生み出してきた両社。
ここでは、それぞれの会社と作品の特徴を簡単に紹介します。

マーベル・コミックが生んだダークヒーロー

アベンジャーズなど有名なヒーローを生み出してきた、マーベル・コミック。
1939年の創立当初から、アメコミ界の革新者スタン・リーと共に、苦難を乗り越え成長してきた会社です。

1997年に倒産しますが、2009年にウォルト・ディズニー・カンパニーの買収で、ディズニー傘下になりました。
代表的なヒーローは

  • アイアンマン
  • スパイダーマン
  • キャプテン・アメリカ
  • ハルク

アベンジャーズ、X-MENなどのヒーローチームも生み出してきました。
スーパーヒーローが活躍するフィクションの世界と、現実世界を融合させ、パワーを手にしてヒーローとなった人間の葛藤や、現実社会で起こっている問題を織り交ぜた作風が特徴です。

DCコミックスが生んだダークヒーロー

DCコミックスは、1934年の創立から1950年代半ばの黄金期と呼ばれる時代に、スーパーマンやバットマン、アメコミ史上初となるスーパーヒーローチーム、ジャスティスリーグを登場させました。

それ以降も、ライバル社マーベルを離脱した大物アーティストと契約を交わしたり、シリアスな作風を持つイギリス人アーティスト、アラン・ムーアを参加させ、大人も楽しめる質の高い内容のコミックを作るようになります。

ダークで重厚感ある作品が、DCコミックスの特徴です。

【大人がハマる】ダークヒーロー映画おすすめ16選

今回紹介するダークヒーロー映画は16作。

人に寄生し、人を食らう、危険度MAXの侵略者『ヴェノム』

原作はマーベル・コミックですが、アベンジャーズなどのマーベル・スタジオではなく、ソニー・ピクチャーズが手掛ける『ヴェノム』。

『ゾンビランド』のルーベン・フライシャーが監督を、『ジュマンジ』のスコット・ローゼンバーグと、『ダーク・タワー』のジェフ・ピンクナーが脚本を担当。
地球外生命体に寄生される主人公を演技派俳優のトム・ハーディが、彼の元婚約者を『グレイテスト・ショーマン』のミシェル・ウィリアムズが演じています。
体を乗っ取られた主人公は全てを支配され、地球は乗っ取られてしまうのか?

ここがポイント
一人二役を演じるトム・ハーディの表現力
恐ろしいイメージから可愛らしさが増してくヴェノムの不思議な魅力
ダークな世界観を引き立てるエミネムが歌う主題歌

新感覚のダークヒーロー映画です。

あらすじ
敏腕記者エディ・ブロック(トム・ハーディ)は、人体実験で死者を出しているというライフ財団の真相を追うなか、“シンビオート”と呼ばれる地球外生命体に寄生されてしまう。
エディは自分の意思に反して暴走するシンビオートに危機感を覚えるが、徐々にその強大な力に魅了されていく。

作品情報
監督:ルーベン・フライシャー
原作者:デイビッド・ミッチェリニー、トッド・マクファーレン
出演者:トム・ハーディ、ミシェル・ウィリアムズ、リズ・アーメッド
上映時間:112分
配給:ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント
ヒーローになった侵略者
禍々しい外見通りのヴィラン、ヴェノム。
圧倒的な力と人を捕食し、エディを恐怖で支配します。
地球を餌場にする為、仲間が合図を待っている。
その宣告を聞かされたエディの表情が、ヴェノムの恐ろしさを語っています。
その侵略者がいつしか地球を救おうとするのが、この作品のおすすめポイント。地球侵略を狙っていたヴェノムが、なぜ人間を救うことになったのか。
それはシンビオートの持つ能力、そしてヴェノムの境遇が深く関わってきます。
寄生した生物の体を操ること以外に、脳に潜り込んで、宿主の記憶や思考を知ることができるシンビオートの能力。
その力で、エディの全てを知ったヴェノム。彼の行動や思考から人物像を知り、自分と同じ負け犬だという彼に共鳴するのです。
そこから奴隷と支配者だった二人の関係が、対等な相棒へと変化します。
モーションキャプチャでヴェノムの動きを、重ね撮りした音声でヴェノムの声を演じているトム・ハーディ。

演技派の彼が一人二役を演じているからこそ、エディとヴェノムの絶妙なやり取りや、関係性の変化を感じることができます。
迫力のアクションは勿論、細やかに表現されるエディとヴェノムの変化からも目が離せません。

法で裁けない悪を裁く、ダークヒーロー誕生の物語『バットマン・ビギンズ』

『インセプション』の鬼才、クリストファー・ノーラン監督が描くバットマン誕生の物語。
バットマンを支えるテクノロジーの凄さや魅力的なキャラクター、彼らが抱える心の内を細やかに描き出しています。
この作品はダークなストーリーと世界観が高い評価を受け、アメコミファン向けというヒーロー映画のイメージを、見事に打ち破りました。
主人公のブルース・ウェイン/バットマンを演じるのは、徹底した役作りで有名なクリスチャン・ベール。
更にマイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマン、ケイティ・ホームズ、リーアム・ニーソン、キリアン・マーフィー、渡辺兼といった豪華俳優陣が顔を揃え、重厚な物語を作りあげます。

あらすじ

幼い頃、強盗に両親を殺されたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)。
正義で悪は裁くことができないと考え、犯罪心理を学ぶ為に世界中を放浪します。
そして影の同盟へスカウトされ、ヘンリー・デュガード(リーアム・ニーソン)の厳しい指導を受けます。
ブルースは鍛錬を続けて実力を認めらますが、同盟の目的が腐敗したゴッサム・シティの破壊であり、殺人も厭わないことを知り、ラーズ・アル・グール(渡辺兼)と戦い、同盟から離反。
ブルースは無関心な人々の心を動かすシンボルになる為、街に戻ります。
執事アルフレッド(マイケル・ケイン)らの協力を受け、闇夜に紛れるバットマンとなり、悪と戦い始めたブルース。
腐敗した市警の中でも実直なジム・ゴードン(ゲイリー・オールドマン)と手を結び、マフィアの組織、ファルコーニ一味を捕らえます。
裁判を回避しようと、精神科医のクレイン(キリアン・マーフィー)を脅すファルコーニは、幻覚剤により発狂。
ドラッグの流れを調べていたバットマンも幻覚剤にやられ、激しい恐怖に支配されます。
更にファルコーニの症状を確認しようと、精神病院を訪れたブルースの幼馴染レイチェル(ケイティ・ホームズ)も、クレインが街に仕掛けた罠を見せられ、幻覚剤を嗅がされてしまうのでした。

作品情報
監督:クリストファー・ノーラン
原作者:ボブ・ケイン、ディヴッド・S・ゴイヤー
出演者:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、リーアム・ニーソン、ケイティ・ホームズ、ゲイリー・オールドマン、キリアン・マーフィー、モーガン・フリーマン
上映時間:141分
配給:ワーナー・ブラザーズ
心を無くした男が生きる意味を見つける物語
両親の命を目の前で奪われた日から、恐怖に支配された自分を責め続けるブルース。
彼は悪が裁かれない、腐敗した街への怒りに押し潰されそうになっていました。
そして両親の敵討ちすらできないことに絶望し、彼を支える人たちに心を閉ざして街を去り、世界中を放浪しながら犯罪に手を染めていきます。しかし影の同盟での修行がきっかけとなり、街を救おうとしていた父親のように、自分のやり方で街を救う決意をしたブルース。
生きる意味を見つけ街に戻った彼は、腐敗した街の中でも、正義の為に戦う人たちがいることに気付かされます。
生きる意味が分からず、周りが見えていなかった以前では、決して気が付かなかったことではないでしょうか。ブルースは自分の使命を果たす為、街にはびこる悪に立ち向かっていきます。
悪と同化しない為、悪人でも決して殺さない。
賞賛の為でも、報酬の為でもなく、ただ自分に課した信念を果たす為、彼は戦い続けます。
人はなぜ落ちるのか?
それは再び立ち上がる為。
負の感情に心を囚われていたブルースが、長い時間をかけて自分の使命を見つけ出す物語が描かれている今作。
悲劇と苦悩を乗り越えて、ゴッサム・シティの為に立ち上がったバットマンを演じる、クリスチャン・ベールの演技、そして心を突き動かす名言にも注目です。

狂気と正義の対決が導く、衝撃のラスト『ダークナイト』

高い評価を得た前作『バットマン ビギンズ』に続く、バットマン三部作の第二弾。
今作では最大の敵ジョーカーが現れ、バットマンを追い詰めていきます。
レイチェル役がマギー・ジレンホールに変わり、光の騎士と呼ばれる市民のヒーロー、ハービー・デントをアーロン・エッカートが、そして歴代最高と賞賛されたジョーカーをヒース・レジャーが演じています。

作品公開前に急性薬物中毒で28歳でこの世を去ったヒース・レジャー。
彼はこの役で2009年アカデミー賞助演男優賞を受賞し、死後2人目のオスカー受賞者になりました。
ますますダークさを増すストーリー、新たな葛藤に苦しむブルースそしてジョーカーの狂気など、今回も魅力に溢れた作品になっています。

あらすじ
ピエロのマスクの強盗集団が、銀行からマフィアの金を盗む事件が発生。
怒りと混乱が渦巻くマフィアの元に現れたのは、事件の主犯であるジョーカー(ヒース・レジャー)。
彼はマフィアの資金半分と引き換えに、バットマンを殺すことを提案。
バットマンを憎んでいたマフィアは、ジョーカーの条件を飲みます。

闇に紛れ、バットマンとして悪と戦うブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)。
スーパーパワーではなく、武術やトリック、武器を駆使して戦ってきた彼は限界を感じていました。
そんな時、検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)と会い、彼の理念に感銘を受けます。
ブルースはデントにヒーローの座を譲り、バットマン引退を考え始めます。
ゴッサム市警のジム・ゴードン(ゲイリー・オールドマン)、そしてデントと共にマフィア一掃を計画する中、バットマンが正体を明かすまで、毎日市民を殺すと宣言するジョーカー。

ブルースが葛藤する間もジョーカーは命を奪い続け、市民の不安と苛立ちは募っていきます。
更に裁判長、警察本部長までもがジョーカーの餌食となり、追悼式で命を狙われた市長を庇い、ゴードンが凶弾に倒れます。
ジョーカーの狂気によって、混乱していくゴッサム・シティ。
ジョーカーを止める為、ブルースはついにマスクを脱ぐ決心をするのでした。

作品情報
監督:クリストファー・ノーラン
原作者:ボブ・ケイン、ディヴッド・S・ゴイヤー
出演者:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ヒース・レジャー、ゲイリー・オールドマン、アーロン・エッカート、マギー・ジレンホール、モーガン・フリーマン
上映時間:152分
配給:ワーナー・ブラザーズ
ジョーカーに狙われた光と闇のヒーロー
マスクで正体を隠し、闇夜に紛れて悪と戦うバットマン。
彼をヒーローと言う人もいれば、法に従わない彼の存在を疑問視する者もいます。
そんな時に現れたのが、正々堂々と悪と戦うハービー・デント。
光の騎士と呼ばれるデントと、闇に紛れて活躍するブルース。
鏡合わせのようですが、揺るがぬ信念を持って悪に立ち向かう二人。
お互いこそがゴッサムを救うヒーローだと考え、ゴッサム・シティから悪を一掃する為に共闘します。
二人のヒーローの登場に平和な街が作られる、そんな希望を感じさせられますが、それを潰そうとするのが、狂気の塊ジョーカー。彼はゲームを楽しむかのように、金を奪い、命を奪い、ゴッサムの市民に恐怖を植え付けていきます。
ジョーカーが狂っているのは、自分の楽しみの為に恐ろしい犯罪を犯すところ。
ゴッサムの希望を潰す為、自分の楽しみの為、ジョーカーは罠を張り巡らせます。
果たしてブルースとデントは、仕掛けられた罠を回避できるのか。それともジョーカーの狂気に全て飲まれてしまうのか。
光と闇という対照的な存在であり、ゴッサムの希望となる2人のヒーローと、誰にも理解できない狂いきったジョーカーが見せる戦い。
戦いの先に待ち構える結末を見て、あなたは何を感じるでしょうか?

絶望に突き落とされても、何度でも立ち上がるゴッサムの守り神『ダークナイト ライジング』

ヒーロー誕生を描いた一作目の『バットマン ビギンズ』、ヒーローとしての在り方に葛藤し、ダークヒーローとなる決意を見せた二作目の『ダークナイト』、そして三作目となる『ダークナイト ライジング』で描かれるのは、犠牲を払い続けてきたブルースの苦しい胸の内。

最終章の敵べインを演じるのは、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のトム・ハーディ。
他シリーズのヴィランとは一味違う、革命家のようなキャラクターを怪演しています。
ゴードン市警本部長を守り、共に戦う警官ブレイク役にジョセフ・ゴードン=レヴィット、キャットウーマン役にアン・ハサウェイ、ブルースからウェイン産業の会長を引き継ぐミランダ役にマリオン・コティヤールを迎えるなど、新しい仲間が加わり、ますます豪華になるキャスト陣。

前作で多くを失い、身も心もボロボロになったブルース。
何度も絶望を目にしてきた彼は、ゴッサム・シティを守る為に再び立ち上がります。

あらすじ
平和が続くゴッサム・シティ。
長い間表舞台からも、バットマンとしての活躍からも退いていたブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の屋敷に、セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)が侵入し、ブルースの指紋を盗み出します。
盗みを指示したのはウェイン産業の役員、ジョン・ダゲット。

取引の場で揉めて彼の部下の傭兵たちと戦闘になり、警察に通報したセリーナは混乱に乗じて姿を消します。
市警は傭兵に敗れ、ジム・ゴードン(ゲイリー・オールドマン)が捕らえられますが、隙をついて逃走し、警官のジョン・ブレイク(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が救出。

雇い主を始末した傭兵軍団のリーダー、べイン(トム・ハーディ)は、盗んだ指紋でブルースを破産させ、次々にゴッサム・シティの住民を恐怖と混乱へ引きずり込んでいきます。
街の危機に再び戦う決意をするも、べインとの直接対決で叩きのめされたブルース。

べインは地下牢獄”奈落”へブルースを幽閉し、ゴッサム市警を地下に閉じ込め、隠されていた事実を市民に告げます。
貧困層をあおり、囚人を解放し、混乱を押し広げていくべイン。
絶望的な状況を見せ続けられたブルースは、傷を治し、体力を戻し、地下牢獄からの脱出に挑みます。

作品情報
監督:クリストファー・ノーラン
原作者:ボブ・ケイン、ディヴッド・S・ゴイヤー
出演者:クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、ゲイリー・オールドマン、アン・ハサウェイ、トム・ハーディ、マリオン・コティヤール、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、モーガン・フリーマン
上映時間:165分
配給:ワーナー・ブラザーズ
諦めないヒーローたち
様々な悪と戦ってきたブルースは、今回の敵べインに一度敗北してしまいます。
バットマンのトリックを嘲笑い、彼を圧倒する強敵べイン。
ブルースの前に立ちはだかるこの男は、徹底的にブルースを痛めつけ、苦しめます。
地下牢獄への幽閉は、守りたかったものが壊れていく様子を見て、己の無力さを苦しめという残酷なメッセージ。
決して外の世界へ出ることができない”奈落”の底で、ブルースは深い絶望に包まれますが、ゴッサムを守る為、再び戦う決意をするのです。今作でもう一つ注目したいのが、市警本部長となったゴードンと、彼を慕う実直な警官ブレイクの姿。
強敵の出現に混乱する街、そしてバットマンの失踪。
どんな絶望的な状況でもバットマンが戻ることを信じ、二人は諦めることなく行動し続けます。一度は絶望に突き落とされるも、諦めずに再び立ち上がるヒーローたち。
どの作品にも増して、登場する一人一人のキャラクターが見せる、繊細な感情もこの作品の大きな魅力。
折れない心を持つヒーローたち、そして全てのキャラクターが見せるそれぞれの物語。
ダークナイト三部作の最終章に相応しい、非常にエモーショナルな物語に仕上がっています。

独裁国家からの解放を!反骨精神を持ったテロリスト『Vフォー・ヴェンデッタ』

『マトリックス』シリーズのスタッフが集結し、同名のコミックをベースに実写化した衝撃の近未来サスペンスアクション『Vフォー・ヴェンデッタ』。
正体不明の仮面の男”V”を、『マトリックス』や『ロード・オブ・ザ・リング』などでおなじみのヒューゴ・ウィービングが、”V”に巻き込まれ、本当の自分を見つける主人公イヴィーをナタリー・ポートマンが演じます。

映画の中で何度も耳にする、「11月5日を忘れるな。」という言葉。
1605年11月5日に国家転覆を謀った男、ガイ・フォークスの反逆精神を掲げ、自由と正義の為、更には管理されることに慣れてしまった国民の心を揺さぶる為、独裁国家に”V"が戦いを挑みます。

あらすじ
第三次世界大戦後、サトラー首相(ジョン・ハート)の指導の下で、独裁国家となってしまったイギリス。
国民を徹底的に管理し、多様性を否定し、反逆精神を見せる者は即座に捕らえ罰する、恐怖政治が行われていました。
11月4日の夜、テレビ局に勤めるイヴィー(ナタリー・ポートマン)は秘密警察に捕らえられそうになったところを、ガイ・フォークスの仮面をつけた謎の男に救われます。
”V"と名乗るその男は、国家転覆を企むテロリストでした。

彼はイヴィーの勤めるテレビ局に大量の仮面を送り付け、爆弾を体に巻き付けて局を乗っ取ります。
そこで国民に向けて、国の支配に立ち向かおうと演説をする”V"。
自分に賛同する者は1年後の11月5日に、国会議事堂の前に共に立ち上がろうと呼びかけます。
突撃したロンドン市警を鮮やかに倒し、自分を救ったイヴィーを隠れ家へ連れていった”V"は、混乱する彼女に、計画が済むまで隠れ家にとどまるように告げます。
動揺するも、”V"の要求を呑み、彼の手伝いをすることになったイヴィー。
11月5日に向け、”V"は政府の人間を次々と手にかけていきます。
一方、二人を追うフィンチ警視(スティーヴン・レイ)は、捜査を続けるうちに、信じがたい真実を探り出してしまうのでした。

作品情報
監督:ジェームズ・マクティーグ
原作者:デヴィッド・ロイド、アラン・ムーア
出演者:ナタリー・ポートマン、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジョン・ハート、エディ・マーサン
上映時間:132分
配給:ワーナー・ブラザーズ
反骨精神を持って、自由と正義の為に戦う”V"
映画冒頭で描かれるガイ・フォークスという男性の物語。
「11月5日を忘れるな」というセリフは、彼の理念を忘れるなと、国家に管理されることに慣れてしまった国民に訴えるものになっています。
情報も物資も全て管理され、移民や同性愛者、キリスト教以外の宗教を信仰するものなどを徹底的に排除する独裁国家イギリス。監視・盗聴によって国民を管理するその裏で、権力者たちは甘い汁を吸い続けます。
そんな腐った政府に革命を起こそうと、街に現れた謎の男”V"。
彼はガイ・フォークスの顔を模したマスクをつけ、政府の人間に制裁を加え続けます。
芸術を愛し、マスクの下に激しい反骨精神を持つ”V"の魅力は、人々の心を突き動かす力強い演説。
少々演技がかった立ち居振る舞いをしますが、彼の言葉は確実に人々の心を揺さぶります。国家転覆をはかるテロリストであり、政府の人間を何人も手にかけている殺人犯でもありますが、揺るがぬ信念を持ち行動し続ける”V"。
自分を押し殺して生きてきたイヴィーも行動を共にするにつれ、彼の持つ理念に心が動かされていきます。
作中、一度も仮面を外すことがない”V"。
声の演技と体の動かし方だけで、この謎と魅力に満ちたキャラクターを演じたヒューゴ・ウィーヴィングの演技から、目が離せません。

誰の正義が、心に響く?『ウォッチメン』

『300』のザック・スナイダーが映像化不可能と言われていた、同名のグラフィックのベルを実写化させた『ウォッチメン』。
劇場公開版163分、ディレクターズカット版186分、アルティメットカット版215分と、とにかくボリューム満点の作品になっています。

その長さ故、原作を知らない人や、ヒーロー映画が興味がない人は退屈に感じてしまうかもしれません。
しかし違う歴史を迎え、現実世界とは異なる状況にある世界が舞台になっている点、正義とは何かを考えさせられる点など、単なる勧善懲悪ものではないのが今作の魅力の一つ。

ヒーローの存在が時代と共に変わっていく様子、ヒーロー集団といっても必ずしも同じ正義を持っている訳ではない事。
一度ではなかなか内容が入ってこないかもしれませんが、面白みにはまると繰り返し見たくなるような、魅力のある作品になっています。

あらすじ
かつてヒーロー活動を行っていたミニッツメンという自警団。
初代メンバーからチームを引き継いだ二代目のヒーローたちは、ウォッチメンとして政府の下で活動、歴史的事件にも関与します。

彼らの力を利用し、ベトナム戦争に勝利したニクソン政権は、ソ連との緊張感を日に日に高めていきます。
政府に活動を認められたDr.マンハッタン(ビリー・クラダップ)とコメディアン(ジェフリー・ディーン・モーガン)以外は、活動禁止を宣告。
しかし、ロールシャッハ(ジャッキー・アール・ヘイリー)だけは、違法に活動を続けるのでした。
時は流れ1985年、コメディアンが何者かに殺害され、現場に忍び込んだロールシャッハはヒーロー狩りだと断定。
かつての仲間に忠告に行きますが、誰も相手にしません。

しかしオジマンディアス(マシュー・グッド)が襲撃され、ロールシャッハは調査の途中で殺人容疑で逮捕されます。
更にはDr.マンハッタンが衝撃的な事実を突きつけられ、ショックで火星へと逃亡。
核抑止の役割もになっていた彼の不在はすぐにソ連の耳に入り、ソ連がアフガニスタン侵攻を進めたことで、両国の緊張感はますます高まります。
仲間と世界の危機に直面し、ナイトオウル(パトリック・ウィルソン)とシルク・スペクター(マリン・アッカーマン)は現役復帰を決意。
二人でロールシャッハ救出へと向かうのでした。

作品情報
監督:ザック・スナイダー
原作者:デイヴ・ギボンズ、アラン・ムーア
出演者:パトリック・ウィルソン、マリン・アッカーマン、ビリー・クラダップ、マシュー・グッド、ジャッキー・アール・ヘイリー、ジェフリー・ディーン・モーガン、カーラ・グギノ
上映時間:163分
配給:ワーナー・ブラザーズ(アメリカ)、パラマウント(日本)
それぞれのヒーローたちが抱く正義
物語の長さ、キャラクターの関係など、とにかくボリュームたっぷりの今作。
原作ファンでないと、途中で心が折れて、映画を見るのを辞めてしまうかもしれません。
物語に入り込むためのコツは、とにかくウォッチメンのメンバーの名前と、それぞれの活動の動機を押さえておくこと。
一度目で作品の全体図を、二度目でウォッチメンのメンバー、特にロールシャッハ、
オジマンディアス、Dr.マンハッタンのキャラクターに注目して見ると、この作品を集中して楽しむことができます。この作品で感じ取れるのは、ヒーローチームといえど、正義の定義が必ずしも同じではないということ。
悪に容赦はせず、何があっても自分の信念を曲げることのないロールシャッハ。
実験室の事故でスーパーパワーを手にし、人を一瞬で消し飛ばす力をもつDr.マンハッタン。
ヒーロー引退後も世界平和為に必要なものを考え、行動するオジマンディアス。正義という言葉で正当化されている行為は、果たして全ての人にとって正義と言えるのか。
謎解きから始まる物語は、正義とは一体何なのかということを考えさせられる内容へと、変化を遂げていきます。
どのヒーローの正義に共感できるのか、考えながら見て欲しい作品です。

狙われたら最後。強く孤独なヴァンパイアハンターの復讐の物語『ブレイド』

4,000万ドルの製作費で1億3,000万ドルを稼ぎ出し、マーベル初の大ヒット作になったアクションホラー映画『ブレイド』。
特殊効果で『エイリアン』に参加した、スティーヴン・ノリントンが監督を務め、怖さとスタイリッシュさが融合したヒーロー作品を作り上げました。

主演は『ワン・ナイト・スタンド』で、ヴェネツィア国際映画祭主演男優賞を受賞したウェズリー・スナイプ。
様々な武術を体得している彼は、アクションシーンで華麗なマーシャルアーツを披露しています。
血を求めて人間社会に紛れ込むヴァンパイアと、ヴァンパイア根絶を狙うヴァンパイアハンター、ブレイドの激しい戦いが幕を開けます。

あらすじ
胎児だった頃に母が襲われ、人間とヴァンパイアの性質を持って生まれたブレイド(ウェズリー・スナイプ)。
復讐の為にヴァンパイアハンターとなった彼は、相棒ウィスラー(クリス・クリストファーソン)と共に、人間社会に潜むヴァンパイアを狩り続けます。

ブレイドの最大の強みは、ヴァンパイアの強さを持ちながら、銀や日光などの弱点に耐性があること。
太陽の下を平気で歩き回わる彼は、”デイ・ウォーカー”と呼ばれ、ヴァンパイアから恐れられていました。
しかし、ヴァンパイアの吸血欲に苦しめられるブレイド。

血清を打ち、何とか血の渇きを抑えていましたが、それも限界に近づいていました。
一方のヴァンパイア社会では、純血ではないフロスト(スティーヴン・ドーフ)が、ヴァンパイア社会の頂点に立つ為、古代の神マグラを復活させようとしていました。

作品情報
監督:スティーヴン・ノリントン
原作者:マーヴ・ウォルフマン、ジーン・コーラン
出演者:ウェズリー・スナイプ、スティーヴン・ドーフ、クリス・クリストファーソン
上映時間:120分
配給:ニュー・ライン・シネマ(アメリカ)、日本ヘラルド(日本)
己の定めと戦うブレイド
ヴァンパイアハンターのブレイドと、ヴァンパイアの戦いが描かれている今作。
母を襲い、自分をハーフヴァンパイアにした復讐を遂げる為、ヴァンパイアとの激しい戦いが描かれています。
ウェズリー・スナイプが魅せるマーシャルアーツは勿論、剣や銃を自在に操る戦闘スタイルは非情で鮮やか。たった一人でヴァンパイアの群れに立ち向かい、容赦なく敵を倒していきます。
どれだけ敵を憎んでも、自分の中にその血が流れているブレイドは、激しい血の渇きに苦しめられます。
それでも人間を襲い吸血するのではなく、血清を打って衝動を抑えようとするブレイド。
自分はヴァンパイアとは違うということを、自分自身に言い聞かせているように見えます。しかしフロストとの戦いで、絶体絶命のピンチを迎えた時、ブレイドはこのまま生き絶えるか、それともカレンの血を吸うかという選択に迫られるのです。
自分はヴァンパイアとは違うと必死に血の渇きに耐えてきた彼が、窮地を脱してフロストを倒す為に吸血するのか。
ホラー色が強いですが、ハーフヴァンパイアであるが故の苦しみが描かれた、見応えのある作品になっています。

閲覧注意!ホラーとグロテスクさを増した、ヴァンパイアハンターの次なる戦い『ブレイド2』

『シェイプ・オブ・ウォーター』でアカデミー賞作品賞と監督賞を受賞した、ギレルモ・デル・トロが監督を務めた『ブレイド2』。
ウェズリー・スナイプが演じるブレイドの仲間に新たに加わるのは、TVドラマ『ウォーキング・デッド』の人気キャラクターを演じるノーマン・リーダースや、香港のアクションスターでマーシャルアーツの達人、ドニー・イェンなど。

母の命を奪い、自分をハーフヴァンパイアにした敵を憎み続けてきたブレイドが、ヴァンパイアと手を組んで新たな脅威に立ち向か物語が描かれています。
ヴァンパイア王国の君主の娘で、誇り高い戦士ニッサとの出会いが、ヴァンパイアの血が流れることを疎むブレイドの考えを変えていきます。

あらすじ
相棒スカッド(ノーマン・リーダース)と共にプラハに潜んでいたブレイド(ウェズリー・スナイプ)は、敵のアジトに囚われていた仲間を救出。

アジトへ戻り再会を喜ぶブレイドたちでしたが、そこへ侵入者が現れます。
侵入者はヴァンパイア王国の大君主、ダマスキノスの娘ニッサ(レオノア・ヴァレラ)。
彼女は休戦協定を持って来た、王国の使者でした。
困惑するブレイドたちでしたが、ニッサに従いヴァンパイア王国へと向かいます。

そこでダマスキノスから聞かされたのは、ヴァンパイアだけを襲うリーパーズという新種のヴァンパイアについて。
リーパーズの標的が、ヴァンパイアから人間に変わる日が来るかもしれない。
自分たちの種族を守りたいヴァンパイアと、リーパーズが人間を標的にすることを防ぎたいブレイド。
彼はダマスキノスからの休戦協定を受け入れて、自分を倒す為に鍛え上げられたヴァンパイア軍団”ブラッドパック”を率いて、リーパーズ討伐に繰り出します。

作品情報
監督:ギレルモ・デル・トロ
原作者:マーヴ・ウォルフマン、ジーン・コーラン
出演者:ウェズリー・スナイプ、ノーマン・リーダース、クリス・クリストファーソン、レオノア・ヴァレラ、ルーク・ゴス
上映時間:118分
配給:ニュー・ライン・シネマ(アメリカ)、日本ヘラルド(日本)
ブレイドが見せる慈悲の心
ヴァンパイアを憎み、容赦なく狩り続ける主人公ブレイド。
自分がハーフヴァンパイアとなった原因であり、血を求めて人間を襲うヴァンパイアの存在を悪だと信じて疑いません。
彼を敵視するヴァンパイアから、休戦とリーパーズ討伐を持ちかけられますが、共闘する為に用意されたチームは元々対ブレイド用に訓練を受けたブラッドパックのメンバー。敵意を剥き出す討伐メンバーとの間は、常に一触即発の雰囲気が漂っています。
そんな中、ヴァンパイアハンターとの確執に惑わされず、任務遂行に集中するニッサの存在が、少しずつブレイドの心を動かしていきます。ヴァンパイアであることに誇りを持ち、高潔さを感じさせるニッサ。
恐ろしい敵にも怯まず、これ以上犠牲者を出さないようにと、屈強な男たちを率いてリーパーズ討伐に挑みます。
そんな彼女の姿に心を動かされたブレイドは、瀕死の状態になった彼女を助ける為、ある行動に出ます。
今までヴァンパイアであれば男も女も関係なく、命を奪ってきたブレイド。
その彼が唯一見せた、ヴァンパイアへの慈悲。
本来は敵同士だったブレイドとニッサの関係が、残虐な物語を、切なく美しい結末へと導きます。

最強の仲間と挑む、ヴァンパイアとの最後の戦い『ブレイド3』

ハーフヴヴァンパイアの主人公とヴァンパイアの激しい戦いを描いたシリーズ第3作、そして完結編となる『ブレイド3』。
前2作の脚本を努めたデイヴィット・S・ゴイヤーが、シリーズ最終作の監督・脚本・制作を担当。
『デッドプール』シリーズでデッドプールを演じたライアン・レイノルズや、『テキサス・チェンソー』でブレイクしたジェシカ・ビール、TVドラマ『プリズン・ブレイク』で主人公の兄リンカーンを演じたドミニク・パーセルを新たにキャストに迎えた今作。

ヴァンパイアの始祖の復活、そしてブレイドと志を同じくする仲間が登場します。
ヴァンパイアによって人生を狂わされた者たちが、最強のヴァンパイアとの最終決戦に挑みます。

あらすじ
ヴァンパイアのダニカ(パーカー・ポージー)の罠にかかり、ヴァンパイアに扮した人間を殺めてしまったブレイド(ウェズリー・スナイプ)。
殺人犯として指名手配された彼は、FBIに逮捕されるとヴァンパイアの奴隷たちの手によって、ダニカに引き渡されそうになります。
そこへ救出に現れた謎の二人組。
高い戦闘スキルでブレイドを助けたのは、ウィスラーの娘アビゲイル(ジェシカ・ビル)と、ダニカの元奴隷のハンニバル・キング(ライアン・レイノルズ)でした。

ナイトストーカーズというヴァンパイアハンター集団に属する二人は、ブレイドを仲間に誘います。
そこでブレイドが知ったのは、ダニカによってヴァンパイアの始祖ドレイク(ドミニク・パーセル)が蘇ったこと。
ナイトストーカーズと共に戦う決意をしたブレイドは、彼らが開発を進める生物兵器「デイスター」を使い、ヴァンパイアとの戦いに終止符を打とうとします。

作品情報
監督:デヴィッド・S・ゴイヤー
原作者:マーヴ・ウォルフマン、ジーン・コーラン
出演者:ウェズリー・スナイプ、ライアン・レイノルズ、クリス・クリストファーソン、ジェシカ・ビール、ドミニク・パーセル、パーカー・ボージー
上映時間:113分
配給:ニュー・ライン・シネマ(アメリカ)、角川ヘラルド・ピクチャーズ(日本)
信頼できる仲間を手にしたブレイド
ヴァンパイアとの戦いを描いた『ブレイド』最終章。
敵にはめられて窮地に陥るブレイドですが、彼を助けにナイトストーカーズが現れます。
リーパーズ討伐の為にヴァンパイアとチームを組んだ過去もありますが、今回登場するナイトストーカーズはブレイドと同じ志を抱く者たち。今作の魅力は、孤独な戦いを続けてきたブレイドが、今度こそ信頼できる仲間を手にしたことです。
ヴァンパイアとの壮絶な戦いの中で、幾度と無く裏切りに合ってきたブレイドは、最後の戦いでついに信頼できる仲間を手にするのです。
ナイトストーカーズの存在は、長い間ヴァンパイアとの孤独で壮絶な戦いを続けてきたブレイドを、戦力面でも精神面でも力強く支えます。ナイトストーカーズの主力キャラクターも魅力的。
ダニカの元奴隷からヴァンパイアハンターになったハンニバル・キング、ブレイドを支え続けてきたウィスラーの娘で、弓を射る姿が印象的なアビゲイル。
二人は同じ目的を持つブレイドを受け入れ、どんな敵にも怯まずに戦います。
己の復讐だけでなく、仲間の為にも戦う。
孤独に戦い続けてきたブレイドの変化、成長が感じられる作品になっています。

ハードボイルドに描かれた、愛の物語『シン・シティ』

同名のグラフィック・ノベル作品を元に、『フロム・ダスク・ティル・ドーン』のロバート・ロドリゲス監督と、原作者フランク・ミラー監督が実写化させた今作。
エピソードごとに印象的な差し色を入れたモノクロの映像に引き込まれ、現実とコミックが入り混じったような不思議な感覚を味わうことができます。

ブルース・ウィリス、ミッキー・ローク、べニチオ・デル・トロなど渋い顔ぶれと、ジェシカ・アルバやロザリオ・ドーソンなど華やかでたくましい女を演じる豪華なキャストにも注目。
犯罪と欲望が渦巻く街シン・シティに生きる男女の物語が描かれた今作は、愛とバイオレンスに満ち溢れたハードボイルドな作品になっています。

あらすじ
強面の用心棒マーヴ(ミッキー・ローク)は、自分を愛してくれたゴールディ(ジェイミー・キング)の命を奪った犯人を見つけようと、街のあちこちで暴れます。
悪人を次々と手にかけるマーヴの前に現れた一人の女。
それは亡くなったはずの愛しいゴールディでした。

ジャッキー・ボーイ(べニチオ・デル・トロ)の暴力から恋人を守る為、彼を追いかけ娼婦街へやって来たドワイト(クライブ・オーエン)。
一人の娼婦にしつこく付きまとうジャッキー・ボーイは、クライブが手を下す間もなく、用心棒ミホ(デボン青木)により瞬殺されます。
しかしその死体からクライブたちは、ジャッキ・ボーイに隠された信じがたい事実を目にします。

少女を狙う性犯罪者、ロアーク・ジュニア(ニック・スタール)を追い詰めたハーディガン刑事は、事件を終わらせる為に犯人の息の根を止めようとします。
しかしあと一歩というところで相棒に阻止され、さらには父親であるロアーク上院議員の報復を受け、自身が事件の犯人に仕立て上げられます。
最後に狙われていた少女を守る為、罪を認めるしかなかったハーディガン。
彼は8年を刑務所で過ごします。
出所後に成長したナンシー(ジェシカ・アルバ)と再会したハーディガンでしたが、二人の側でロアーク・ジュニアが復讐の機会を狙っていました。

作品情報
監督:ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー、クエンティン・タランティーノ(スペシャルゲスト監督)
原作者:フランク・ミラー
出演者:ミッキー・ローク、ブルース・ウィリス、ジェシカ・アルバ、ベニチオ・デル・トロ、ブリタニー・マーフィー、ジョシュ・ハートネット、イライジャ・ウッド
上映時間:124分
配給:ミラマックス(アメリカ)、ギャガ(日本)
愛に生きる男たち

強面の乱暴な男マーヴ、過去のある出来事により顔を変えなければならなかった訳アリの男ドワイト、卑劣で残虐なロアーク・ジュニアを葬り去る決意をする老刑事ハーディガン。

欲望と危険に満ちたこの街で、3人の男が愛する女性の為、一筋縄ではいかない悪党たちと戦います。
こう紹介すると3人の行動は英雄的に思えますが、マーヴは常に暴力が付きまとうような怪力男であり、ドワイトは顔を変える必要があるほど重大な事件を起こした過去を持っています。
唯一英雄といえるのが、刑事として街の為に戦ってきたハーディガン。
卑劣で凶悪な事件が起きても、その犯人がシン・シティを牛耳るロアーク上院議員の息子である為、誰も動こうとしません。

病を抱えるハーディガンは自分の命と引き換える覚悟で、ロアーク・ジュニアの命を奪い、これ以上被害者を出さないようにしようとします。
悪をもって悪を征する。
愛する人の為、自分の命も危険も顧みずに戦う男たちの姿が印象的な『シン・シティ』。
罪を重ね続けた男たちは、果たしてハッピーエンドを迎えるのでしょうか。

プライドそして愛の為、壮絶な復讐が幕を開ける『シン・シティ2 復讐の女神』

闇に覆われた街シン・シティで生きる男女の愛を、ハードボイルドに描いた前作から9年。
再びロバート・ロドリゲスとフランク・ミュラーがタッグを組み、暴力と愛が渦巻く4つの物語を描き出しています。

ジェシカ・アルバやミッキー・ロークなどのメインキャストに加え、稀代の悪女を『007/カジノ・ロワイヤル』のエヴァ・グリーンが、彼女に魅了され利用されてしまう私立探偵を、『アベンジャーズ』シリーズでサノスを演じたジョシュ・ブローリンが、傲慢なギャンブラーを『インセプション』のジョセフ・ゴードン=レヴィットが演じるなど、魅力的なキャラクターが加わっています。

モノクロの映像にエピソードごとに印象的な色を差し込む映像、そしてコミックに入り込んでしまったかのような不思議な映像体験は、今作でも勿論楽しむことができます。

あらすじ
シン・シティに流れ着いたギャンブラーのジョニー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)はポーカーでロアーク上院議員(パワーズ・ブース)を破り、ロアークの怒りを買って右手を潰されます。
幸運の女神も彼の手にかかり、激しい怒りを胸に抱えたジョニー。
傷を治し、運を味方につけた彼は、再びロアークに勝負を挑みます。
シン・シティに現れた、稀代の悪女エヴァ(エヴァ・グリーン)。

彼女の元恋人で私立探偵のドワイト(ジョシュ・ブローリン)は、彼女から連絡を受け、暴力を振るうという夫の命を奪う決心をします。
マーヴ(ミッキー・ローク)の手を借りて屋敷に侵入し、エヴァの夫を殺害したドワイト。しかし彼女が向けたのは、笑顔ではなく銃口。

ここで初めて、自分が彼女に利用されたことを知ります。
瀕死の重傷から回復したドワイトは、娼婦街の女王ゲイル(ロザリオ・ドーソン)の協力を得て、エヴァに復讐を仕掛けます。
9年前に最愛の男ハーディガン(ブルース・ウィリス)を失ったナンシー(ジェシカ・アルバ)は、元凶であるロアークへの復讐を狙うも、なかなか踏み切ることができずにいました。
落ちぶれ、やさぐれていた彼女は髪を切り、自らの顔に傷をつけると、マーヴの助けを借りて、遂にロアークと対峙します。

作品情報
監督:ロバート・ロドリゲス、フランク・ミラー
原作者:フランク・ミラー
出演者:ミッキー・ローク、ジェシカ・アルバ、ジョシュ・ブローリン、ブルース・ウィリス、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、エヴァ・グリーン
上映時間:103分
配給:ディメンション・フィルムズ(アメリカ)、ギャガ(日本)
ドワイトが顔を変える原因となった出来事
前作で明かされなかった、ドワイトが顔を変える原因。
それは愛に溺れて周りが見えなくなった男が、犯してしまった殺人の代償でした。
男を次々に騙し、金や愛情や権力をてにしてきた稀代の悪女、エヴァ。
かつて彼女の恋人だったものの、金持ちへ乗り換えられてしまったドワイトは、彼女へ恨みと未練を抱いていました。
そんな彼の心を知ってか、エヴァからの連絡が入り、ドワイトは思いのままに転がされ、ついに一線を越えてしまいます。
元々女性に優しい面を持っているドワイトですが、自分が心底惚れたエヴァから頼られたら、どんなリスクが待ち構えていても彼女の為に行動することを止められなかったのでしょう。
そんな彼の性質を知って、表では頼りなさげな女を演じるエヴァが、ぞっとするほど恐ろしいのです。
自分は単なる駒だった事に気付くシーンでのドワイトの表情から、彼にとって彼女が特別だったことが感じ取れます。やっと目が覚めたドワイトは復讐の鬼と化し、エヴァへの復讐を果たす決意をするのですが、決意して挑んだ復讐戦でもエヴァは動じる気配を見せないどころか、驚きの行動にでます。
エヴァ・グリーン演じる魔性の女エヴァがとにかく強烈なこのエピソード。
果たしてドワイトはエヴァという鎖を断ち切ることができるのでしょうか?

スタイリッシュで、刺激的。マシュー・ボーンらしさ炸裂の過激なヒーロー映画『キック・アス』

『キングスマン』のマシュー・ボーンが監督、ブラッド・ピットが製作を務めた、バイオレンス炸裂のヒーロー映画『キック・アス』。
まだあどけないクロエ・グレース・モレッツが、紫のコスチュームに身を包み、様々な武器を手に悪党をなぎ倒していく姿が話題になりました。

ヒーローに憧れる主人公を『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のアロン・テイラー=ジョンソンが、そしてニコラス・ケイジとクロエ・グレース・モレッツが最強のヒーロー親子を演じています。

更にマフィアのボス役は、『キングスマン』など多くの映画で印象的な演技を見せるマーク・ストロング。
The Prodigyの「Omen」や、ヒット・ガールが鮮やかに敵と戦うシーンで流れるThe Dickiesの「Banana splits」など、シーンを盛り上げる音楽にも注目です。

あらすじ
スーパーヒーローに憧れる、アメコミオタクのデイヴ(アーロン・テイラー=ジョンソン)。
ヒーローになりたい気持ちを抑えられなくなった彼は、ネットでコスチュームを購入。
キック・アスと名乗り、ヒーロー活動を始めます。

しかしスーパーパワーは持たず、ケンカが強い訳でもないデイヴ。
チンピラ二人にボコボコにされた挙句、ひき逃げに遭い、病院へ搬送されます。
それでも活動を続ける彼は、3人組のマフィアから男を救ったことがきっかけで、一躍有名に。
想いを寄せるケイティからの依頼で、ラズールという男の元へ乗り込みますが、危ないところをヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)と名乗る少女に救われます。

仲間のビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)と共に颯爽と姿を消すヒット・ガール。
本物のヒーローを目にしたキック・アスは落ち込み、ヒーロー活動を辞める決意をします。
一方、シマを荒らされて怒り狂うマフィアのボス、フランク(マーク・ストロング)。
売人たちがバットマンにやられたと口にしたことから、キック・アスを犯人だと勘違い。
息子のクリス(クリストファー・ミンツ=プラッセ)の奇抜な作戦を使い、組織を脅かすヒーローの命を狙います。

作品情報
監督:マシュー・ヴォーン
原作者:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr
出演者:アーロン・テイラー=ジョンソン、クリストファー・ミッツ=プラッセ、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ、マーク・ストロング
上映時間:117分
配給:ライオンズゲート(アメリカ)、カルチュア・パブリッシャーズ(日本)
クレイジーな最強親子
ヒーローに憧れ、人助けの為に活動するキック・アス。
そんな主人公とは対照的なのが、強さも本気度も本物のビッグ・ダディとヒット・ガールのヒーロー親子。
彼らの強さ、何よりビッグ・ダディの常軌を逸した行動に驚かされます。悲しい過去を背負う彼は、幼い娘に殺しのスキルを叩き込み、二人で悪党に手を下していきます。
幼い子どもを復讐に巻き込み、子どもらしい時期を奪い、訓練の為に銃口を向ける。
ビッグ・ダディにとっては、二人で復讐を遂げることに意味があるのでしょう。
しかし彼の考えや行動は、正常であったら思い留まるものばかり。幼い頃から父の教えを守ってきた娘も、自分たちの異常さに気が付いていません。
あらゆる知識とスキルを娘に教え込み、実戦ではバックからサポートし、戦闘内容を評価する父。
その父の教えをぐんぐんと吸い込み、大の男も一瞬で倒すことができる最強の少女となったヒット・ガール。
クレイジー過ぎる親子が作品のスパイスとなり、他のヒーロー作品とは違う面白さ、重さを感じさせます。
クレイジーさが溢れ出す、コスチュームを着ていない時の二人の姿にも注目です。

悲しみと苦しみを乗り越えて、本当の自分を見つけ出す。『キック・アス/ジャスティス・フォーエバー』

紫色のコスチュームに身を包み、まだあどけなさが感じられる少女が、敵をなぎ倒していく。
そんな衝撃的な内容が話題となった『キック・アス』。
前作で監督、脚本、演出を手掛けていたマシュー・ヴォーンは今回演出を務め、ジェフ・ワドロフが監督、脚本を担当しています。
アーロン・テイラー=ジョンソンとクロエ・グレース・モレッツが、デイヴ/キック・アスとミンディ/ヒット・ガールを続投。

キック・アスとヒット・ガールを憎むクリスも、前回に引き続きクリストファー・ミッツ=プランセが演じています。
そしてジャスティス・リーグのリーダーを演じるのは、スター俳優のジム・キャリー。

ジャスティス・リーグのメンバーたちとのヒーロー活動に生きがいを感じるデイヴと、約束を果たす為、ヒット・ガールを封印することを決めたミンディ。
スタイリッシュでバイオレンスな映像と音楽が印象的だった前作とは、また違った雰囲気の作品になっています。

あらすじ
キック・アスを辞めて、普通の生活を送るデイヴ(アーロン・テイラー=ジョンソン)。
退屈な毎日にうんざりし、自分の影響で活動を始めた自警団チーム、ジャスティス・フォーエバーに加入。
チームを率いるストライプス大佐(ジム・キャリー)に鍛えられ、市民の安全の為に活動します。
一方、ミンディ(クロエ・グレース・モレッツ)は父代わりのマーカスから、ヒーロー活動の禁止を言い渡され、普通の女の子になる努力をします。

一方、キック・アスたちに父を倒され、復讐に燃えるクリス(クリストファー・ミッツ=プランセ)はマザー・ファッカーと名乗り、悪党で結成したチームを率いてキック・アスの命を狙います。
ジャスティス・リーグのメンバーが次々と敵にやられ、遂に動き出しした警察により、ヒーロー活動をする者が逮捕されていきます。

息子がキック・アスだと気付いたデイヴの父は、身代わりになり逮捕され、マザー・ファッカーの一味に命を奪われてしまいます。
突然父を失い、深い悲しみに飲み込まれるデイヴ。
そこへマザー・ファッカーたちが襲来し、デイヴが連れ去られてしまいます。
ヒーロー活動を封印していたミンディが、友を救う為、ついに立ち上がります。

作品情報
監督:ジェフ・ワドロウ
原作者:マーク・ミラー、ジョン・ロミータ・Jr
出演者:アーロン・テイラー=ジョンソン、クリストファー・ミンツ=プラッセ、クロエ・グレース・モレッツ、ジム・キャリー
上映時間:103分
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ(アメリカ)、東宝東和(日本)
苦しみと混乱の中で、本当の自分を見つけ出したミンディ
父の教えを忠実に守り、悪党を始末し続けてきたヒット・ガールことミンディ。
父の遺志を継ぎ、悪党退治を続ける彼女は、ヒット・ガールこそが自分の真の姿だと信じています。
しかし父代わりのマーカスは、ヒーロー活動を一切認めません。彼はミンディの父の元同僚で、彼らを見守り続けてきた人物でもあります。
二人は何度も衝突しますが、彼の親心を知ったミンディは、ヒーロー活動から手を引きます。
ヒット・ガールを封印して本当の自分を探す為、デイヴとの接触を断ち、慣れない世界に適応しようとします。
しかし父と二人で生きてきた世界とは、あまりに異なる普通の世界。本当の自分だと信じてきたヒットガールを否定され、何が自分なのかも分からない。
この普通の世界は、アウトサイダーな彼女にとっては非常に生きづらい世界なのです。
イキイキとした表情で、どんな状況でも敵に立ち向かっていたあの少女はどこにもいません。

自分探しに悩み、最も苦しい時に彼女を支えてくれたデイヴに起こった悲劇、そして彼の生命の危機を前に、ついに自分が何者であるかに気付いたミンディ。
デイヴ救出のアクションシーンは、抑えていた力を爆発させるように戦う彼女の姿を目にすることができます。

美しく狂った、ハーレイ・クインとジョーカーのラブストーリー『スーサイド・スクワッド』

『フューリー』で監督・脚本を努めたデヴィッド・エアーがメガホンを取り、ウィル・スミス、マーゴット・ロビー、ジャレット・レトなど人気俳優をキャストに迎えた『スーサイド・スクワッド』。
メインキャラクター全員が、スーパーヴィランという設定が話題になりました。
死刑や無期懲役を言い渡された極悪人たちが、政府の命令でチームを組まされ、裏切り防止の為に首に爆弾を埋め込まれ、古代から甦った魔女討伐に挑みます。

更に恋人ハーレイ・クインを救い出そうと、ジョーカーも登場。
果たしてスーパーヴィランズは、ヒーローの代わりとなるのか。
そしてハーレイ・クインは、愛しいジョーカーの元へ戻ることができるのでしょうか。

あらすじ
スーパーマンがいなくなり、世界崩壊の危機に直面した地球。
政府はデッドショット(ウィル・スミス)やハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)など、死刑や終身刑を宣告された囚人たちを使い、特殊部隊"スーサイド・スクワッド"を結成。

戦闘員として扱うにはハイリスクすぎる犯罪者たち、そしてスーサイド・スクワッドのメンバーを使い捨てと考えている政府高官のウォラー(ヴィオラ・デイヴィス)は、メンバーの首にナノ爆弾を移植。
命令に背いたり、逃亡したらナノ爆弾が起爆するのです。
逃げられない状況で、スーサイド・スクワッドのメンバーたちは、強大な力を持つ魔女エンチャントレス(カーラ・デルヴィーニュ)討伐に向かいます。

スーパーヴィランズが危険な任務を開始する一方、恋人のハーレイ・クインを救い出す為にジョーカー(ジャレット・レト)が刑務所を脱獄します。

作品情報
監督:デヴィッド・エアー
原作者:なし
出演者:ウィル・スミス、ジャレッド・レト、マーゴット・ロビー、カーラ・デルヴィーニュ、ヨエル・キナマン、ヴィオラ・デイヴィス、ベン・アフレック
上映時間:123分
配給:ワーナー・ブラザーズ
ハーレイ・クインとジョーカーの魅力と、狂った関係
スーパーヴィランズがメインキャラクターなら、もっと残酷でダークなストーリーでも良かったのでは…
と正直感じてしまう『スーサイド・スクワット』。しかし、ジョーカーとハーレイ・クインの歪んだ恋愛関係、何よりマーゴット・ロビーが魅せるキュートでクレイジーなキャラクターは非常に魅力的。
好き勝手に暴れまわり、コロコロと表情を変えるハーレイ・クインは、愛しのジョーカーの元へ戻る事しか考えていません。優秀な精神科医だった彼女がジョーカーと出会い、人生を狂わされ、ハーレイ・クインとして生まれ変わる。
そこから分かるのは、二人の関係がいかに歪んでいて、不健康なのものであるかということ。ジョーカーに全てを捧げると誓い、薬品のタンクへ身を投げる姿も、狂気的で印象深いシーンになっています。
歪んだ恋愛関係が描かれている今作には、スタイリッシュなジャレッド・レト版ジョーカーがピッタリ。
彼が作り出したのは、狂気的なだけでなく、艶っぽく、愛の為に行動を見せるジョーカー。
このジョーカーだからこそ、ハーレイ・クインは恋に落ちたということ、そして二人の狂った関係が描かれているラブストーリーから、目が離せなくなってしまうのです。

ヒーローの常識を覆す、オレ様ヒーロー『デッドプール』

戦う理由は己の為、そして金の為。
今までのヒーローたちとは全く違う、自分主義のはちゃめちゃヒーローが暴れまわるヒーロー映画、『デッドプール』。
マーベルコミックから飛び出し、自分をフィクションと認識しているこの不思議なキャラクターは、映画と現実の垣根を無視しながら、やりたい放題暴れまわります。
主人公のウェイド/デッドプールを演じるのは、過去にマーベル原作の作品に出演しているライアン・レイノルズ。

『ウルヴァリン:X-MEN ZERO』でもデッドプールを、『ブレイド3』ではハンニバル・キングを演じています。
あちこちに散りばめられた小ネタや、止まることのないウェイドのマシンガントークなど、とにかくハイテンションに突き進んでいくストーリー。
アメコミやヒーロー映画が苦手な人でも、気楽に楽しむことができる娯楽作品になっています。

あらすじ
トラブルシューターをして稼ぎを手にする、傭兵のウェイド(ライアン・レイノルズ)。
バーで出会ったヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と恋に落ち、一年後プロポーズをします。
しかし、突如倒れたウェイドは、末期がんに侵されていることが発覚。

ヴァネッサの元を去ろうとしますが、がん治療の為にウェポンXプログラムの被験者に志願します。
しかしそれはエイジャックス(エド・スクライン)による人体実験。
ウェイドはその実験で驚異的な治癒能力を手にしますが、その代償で彼の全身はただれたような姿になってしまいます。
変わり果てた姿では再会できないと、彼女の前から姿を消したウェイド。

赤いコスチュームに身を包みデッドプールと名乗ると、色々な人を巻き込んでエイジャックスを追います。
一度は敵を追い詰めますが、X‐MENのコロッサス(ステファン・カピチッチ)と、ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)
が現れ、そちらに気を取られている隙に、エイジャックスは逃走。
そしてデッドプールの正体に気が付いた彼は、ヴァネッサを誘拐。
怒り狂うウェイドは、コロッサスたちの手を借り、ヴァネッサ救出に向かいます。

作品情報
監督:ティム・ミラー
原作者:ファビアン・ニシーザ、ロブ・ライフェルド
出演者:ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、T・J・ミラー、ブリアナ・ヒルデブランド、エド・スクライン、カラン・ソーニ、ステファン・カピチッチ、ジーナ・カラーノ、レスリー・アガムズ
上映時間:108分
配給:20世紀フォックス
ヒーロー映画の常識を覆す、無責任なアンチヒーロー!
ヒーローといえば、心優しく、自己犠牲を厭わず他者のために戦う者というイメージが強いのですが、デッドプールは従来のヒーロー像には全く当てはまらない、型破りすぎるヒーロー。
戦う理由は自分の為、そして報酬の為。戦闘シーンでは、目を背けたくなるほど、残虐に容赦なく敵の命を奪います。
しかし、どんな時でもふざけた態度をやめず、敵を苛立たせる程軽く口を叩き続けるなど、緊張感は全く感じられません。
この残虐さとコミカルさのギャップこそが、他のヒーローにはない、デッドプールの最大の魅力ではないでしょうか。
難しい設定や壮大なストーリーは一切不要!ヒーロー映画の常識を色々無視して暴れまわる、自分大好きヒーロー、デッドプール。
とにかく楽しめる映画が見たい、正統派ではないヒーロー映画を探している、そんな人に是非おすすめしたい、大人の為のヒーロー作品です。

オレ様ヒーローが仲間と紡ぐ、家族の物語『デッドプール2』

無責任な自分大好きヒーロー、デッドプールの続編のメガホンを取るのは、『ジョン・ウィック』シリーズのデヴィッド・リーチ監督。
ライアン・レイノルズを始めとするメインキャラクターに加えて、『アベンジャーズ 』シリーズのサノスを演じたジョシュ・ブローリンや、『ジョーカー』のザジー・ビーツ、『It/それが見えたら終わり』のビル・スカルスガルドなど、新たなキャストを迎えて、
ファミリーをテーマにした物語が描かれています。

小ネタ満載のマシンガントークは今作も健在。
未来からきた半サイボーグの戦士や、様々な能力を持つミュータント集団Xフォース結成など、スケールアップしたストーリー、大迫力のアクションシーンなと、魅力と面白さが格段にアップしています。
さりげなくカメオ出演している大物スターにも注目です。

あらすじ
世界中を駆け回り、悪党退治にいそしむデッドプールことウェイド(ライアン・レイノルズ)。
しかし麻薬カルテルに自宅を襲撃され、巻き込まれたヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)が、命を落としてしまいます。
最愛の人を失い、自暴自棄になったウェイドを救ったのは、X-MENのコロッサス(ステファン・カピチッチ)。
心を入れ替えたウェイドは、X-MEN見習いとしてミュータントが暴走した孤児院へ駆けつけ、いつもの戦闘スタイルなしで、炎を操る少年ラッセル(ジュリアン・デニソン)を確保。
しかし彼が職員から虐待されていることに気が付き、いつものスタイルで職員の命を奪います。
ウェイドは少年と共に確保され、ミュータントの収容所”アイスボックス”へと収監されてしまいます。
更に、ミュータントの力を抑制する特殊な首輪のせいで、スーパーパワーを失い、ウェイドの体は再びがんに蝕まれてしまうのでした。
そんな中、未来から半サイボーグの戦士ケーブル(ジョシュ・ブローリン)が現れます。
未来で起こる悲劇の根源を断ち切る為にタイムリープしてきたケーブル。
悪の芽を摘む為、あるミュータントの息の根を止めようと、アイスボックスを目指します。

作品情報
監督:デヴィッド・リーチ
原作者:ファビアン・ニシーザ、ロブ・ライフェルド
出演者:ライアン・レイノルズ、モリーナ・バッカリン、ジョシュ・ブローリン、ザジー・ビーツ、T・J・ミラー、ブリアナ・ヒルデブランド、カラン・ソーニ、ステファン・カピチッチ、レスリー・アガムズ、ジュリアン・デニソン、エディ・マーサン、忽那汐里、ビル・スカルスガルド
上映時間:120分
配給:20世紀フォックス
シリアスとコミカルの融合が素晴らしい、パワーアップしたシリーズ第二弾!
最愛の女性を目の前で失う、衝撃的な始まりを見せる『デッドプール2』。
映画前半で描かれるのは、自分のせいで彼女を巻き込んでしまったことを許せず、自暴自棄になるウェイドの姿です。
スーパーパワーで蘇ってしまう為、何をやっても命を絶つことができません。
彼女の為に生きようと必死だった彼が、彼女の元へ行こうと必死に死のうとする。
前作と真逆の彼の行動が、非常に痛々しいのです。
孤独と怒りを抱えるラッセルを救うことこそが、自分が生かされている意味だと気付いたウェイドは、少年を救おうと必死に戦います。
ここで泣ける映画にならないのが、デッドプールらしいところ。
緊張感ゼロのXフォースメンバーの面接や、イマイチ迫力に欠け、かつ衝撃の展開を見せるラッセル奪還計画。
前半のシリアスな雰囲気が吹き飛ぶほどユーモアを詰め込んだシーンが連続し、驚きと笑いが止まりません。
癖のありすぎるメインキャラクターに加え、自分勝手に動き回る新キャラクターたちも破壊力抜群。
仲間の為に戦うという、前作では見られなかった要素にはちゃめちゃヒーロー、デッドプールらしさを存分に詰め込んだ、期待を裏切らない作品になっています。

【大人がハマる】ダークヒーロー映画おすすめ16選!まとめ

正統派ヒーローとは違った魅力を持つ、ダークヒーローたち。
その行動は全ての人の理解されないものの、ダークヒーローだからこそ選ぶ道や信念は、同じ思いに潰されそうな人の心を揺さぶるのです。

紹介した作品の中で特に心に響いたのは、

  • ダークナイト三部作
  • ウォッチメン
  • Vフォー・ヴェンデッタ

です。
ダークヒーローならではの葛藤や過激さが描き込まれ、見るほどに作品への理解が深まるストーリー。

主人公だけでなく、仲間や敵対するキャラクターにもしっかりと物語があり、彼らの過去や思想を踏まえて作品を見ると、より深く作品の世界に潜り込むことができるのも魅力の一つ。

ヒーローの定義は人それぞれ。

正義というテーマを多方面から見ることができるのも、ダークヒーロー映画だからこそ。

スーパーヒーロー映画にハマった人は勿論、一味違ったヒーロー映画が見たい、過激なアクションを楽しみたいという人にもお勧めです。

大人にこそ見て欲しい、見るほどに魅力が増すダークヒーロー映画、是非一度鑑賞してみて下さい。

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