『バタフライ・エフェクト』映画の意味やネタバレ感想。過去を変えた主人公に幸せな明日は訪れるのか

B!

2004年公開のSFサスペンスドラマ。
過去に戻ることで関わる人を救おうともがく男の人生を、バタフライ効果に則って描かれました。

バタフライ効果とは、「カオス理論」の一節、”ある場所で蝶が羽ばたくと地球の裏側では竜巻が起こる”という意味。
つまり、わずかな変化を与えると、そのわずかな変化がなかった場合とはその後の状態が大きく異なってしまう事を示唆しています。

元々サウンドデザイナーとして働いていたエリック・ブレスと、J・マッキー・グラバーが脚本と監督を手掛け、「テキサス・レンジャーズ」のアシュトン・カッチャーが運命と闘う主人公を演じます。

2006年、続編の「バタフライ・エフェクト2」、2009年には「バタフライ・エフェクト3/最後の選択」が公開されました。

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キャストの一部

  • エヴァン/ アシュトン・カッチャー、John Patrick Amedori(13歳)、ローガン・ラーマン(7歳)
  • ケイリー/エイミー・スマート、Irene Gorovaia(13歳)、Sarah Widdows(7歳)
  • トミー/ウィリアム・リー・スコット、Jesse James(13歳)、Cameron Bright(7歳)
  • レニー/エルデン・ヘンソン、Kevin G. Schmidt(13歳)、Jake Kases(7歳)

『バタフライ・エフェクト』あらすじ

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時々記憶が欠落する7歳のエヴァンは医師の勧めで、記憶力の定着の為に日記を書き始めます。

学校では記憶の無い時間に殺人鬼の絵を描き、そしてある時は包丁を持って佇む自分に気が付くのです。

エヴァンが友達のトミーと妹のケイリーの家へ預けられた時も同じように記憶が飛び、気が付くと彼らの父、ジョージの前に裸で立ちすくむ自分とケイリーの姿が。
ケイリーに訪ねても何も答えずエヴァンには何が起こったのか知る術はありませんでした。

病院の診察では、ストレスが原因だと言われます。
父親に会うことで症状が軽減されるかもしれないと助言を受け、精神病棟に入っている父親と面会します。
しかし父と顔を合わせるとすぐに記憶が飛び、次の瞬間には父に首を絞められ苦しむ自分がいたのです。
看守に頭を殴られた父は意識を失い死んでしまいます。

13歳になったエヴァンはトミーとケイリー、そしてレニーとつるみ、いたずら心から爆発騒ぎを起こします。
しかし、またもや記憶が飛び、気が付いた時には倒れたレニーを抱きかかえ森の中にいたのです。
事件について口をつぐむ友人たち。
何もわからないままエヴァンは引っ越すことになり、ケイリーに迎えに来ると告げ去っていきました。

『バタフライ・エフェクト』ネタバレ結末

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7年後、あれ以来記憶が無くなることもなく、大学で記憶の解明に時間を費やすエヴァンでしたが、ふと日記を読み返すと日記を書いた当時に戻ることができたのです。
エヴァンは事実であることを確認する為ケイリーに会いに行きます。
懐かしんだのも束の間、当時の出来事について尋ねるとケイリーは怒り出し、その晩自殺してしまうのです。

友人達が今もなお過去に囚われていることを知ったエヴァンはやり直しを図るべく過去の分岐点を探ります。


エヴァンは地下室で記憶をなくした時に戻ります。
暴力で押さえつけるジョージにもう二度とケイリーを苦しめないと約束させ目を覚まします。
すると目の前には死んだはずのケイリーが。
多少のずれは感じるものの、ふたりは楽しい時をすごします。
そこに2人の交際を良く思わないトミーが現れました。
エヴァンは自分の犬を焼き殺された恨みとレニーの精神破壊に怒りが抑えきれず、トミーを殺してしまいます。

刑務所に入ったエヴァンは、トミーが犬を焼き殺す前に戻り阻止しようと考え日記を読み過去に戻ります。
しかし、今度はトミーを憎んでいたレニーがトミーを殺してしまうのです。

何度やり直しても事態は思わぬ不幸へと導かれます。
そんな時エヴァンは、ケイリーは両親の離婚の際エヴァンに会いたいがために嫌いな父親に着いていく事を選んだと知りました。

とうとうエヴァンはケイリーの両親が離婚する前のケイリーに会いに過去に戻り、そしてわざと恐ろしい言葉を投げかけケイリーを遠ざけたのです。
エヴァンはケイリーとの未来に自ら終止符を打ち、もう過去には戻らないと日記を燃やします。

8年後、町でケイリーの姿を見かけます。
颯爽と歩く美しいケイリーはエヴァンに気が付く筈もありません。
エヴァンはケイリーの背中を眺めることで彼女の幸せを願いました。

『バタフライ・エフェクト』見どころ3点

不安と衝撃をあおる激しい効果音

冒頭から、一瞬で変わる場面とそのショッキングな映像に見入ってしまいます。
同時に効果音が胸に響き、衝撃と恐怖をあおります。
何が起こったのか理解できない不安とその訳を探ろうと集中力が高まり、エヴァンが記憶を失い、次の瞬間に感じる衝撃を一緒に体感しているような気になります。
過去と現実を行き来するファンタジーな世界観の中にサスペンス要素を強く感じ、最初からクライマックス並みの展開に目が離せません。
時間も忘れ作品に引き付けられていくことでしょう。

主人公の考えるハッピーエンドとあなたの思うハッピーエンド

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散々運命と格闘した挙句、結局はケイリーと関わらない道を選んだエヴァンは、切なく悲し気です。
エヴァンはこれがハッピーエンドだと感じることができたのでしょうか。
そして、あなたの思うハッピーエンドとは何でしょうか。
どこに戻り、何を正したらケイリーとの幸せは手に入ったのでしょうか。

過去に変化を与えてきたエヴァンですが、過去に戻るという決まった未来があったからこそ、その時の記憶は抜けていたのではないかとも考えられます。
そうだとすると、エヴァンの奮闘した日々に胸が締め付けられるようです。

育つ環境が人生に大きな影響を及ぼすことは否めない

生まれ育った家庭環境がその後の人生や人格に大きな影響を及ぼすのだとわかります。
不幸を背負い嘆いているばかりではなく、自ら道を切り開いていこうと、それが一番の幸せへの近道のようにも思いますが、それだけでは済まされない現状を目の当たりにした感覚が残ります。

そして、良かれと思い過去をやり直したことによって、同一人物が全く違った人格や表情になっていることからも、小さな変化が大きな変化を呼び起こすバタフライ効果が恐ろしくも思えます。

『バタフライ・エフェクト』感想

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パズルを埋め込むように欠けていた記憶が完成されていく過程を味わえます。
欠けている部分には、あたかも最初からタイムスリップして新しく作られる記憶だとわかっていたかのようにさえ感じられ、内容とは裏腹にすっきりとした感覚も同時に味わうことができます。

主人公、エヴァンの長く壮絶なタイムスリップから、過去を修正し幸せな未来へと導きたいという想いがひしひしと伝わりますが、やはり、どうしてもエヴァンの想像力が乏しく思えてなりません。
一度しかない時間だからこそ、人は失敗や後悔を次の選択に生かして成長していくのです。
むしろ、そうやって強くなっていくしかないのです。いつまでも過去に嘆くばかりが全てではない。
何があってもケイリーと幸せになると言う覚悟が見たかったようにも思います。

そうは言っても、人間の弱さにも強く共感できます。あの時のあの瞬間に、違った選択をしていたらと過去をたどり、自分の分岐点が何処なのかと想像させられ、改めて今を大切に過ごしたいという念にかられました。

『バタフライ・エフェクト』評価

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バタフライ効果を主人公と共に体感できる作品です。
過去、現在、未来を駆け巡る作品は多く、「ドラえもん」から「バック・トゥ・ザ・フューチャー」など、夢やファンタジーを思い描く作品が頭をよぎりますが、『バタフライ・エフェクト』はそんなハッピーな結末ではないのです。

現在の為に過去をやり直していく前向きな姿勢に光が射す反面、過去に囚われどうにもできない後ろ向きの姿勢も感じ、バタフライ効果と、パラレルワールドの脅威を感じます。

しかも、虐待や少年犯罪と目をつむりたくなる残酷な描写も多く、誰かひとりに手を差しのべれば、別の誰かがそのしわ寄せを請け負ってしまうという負の無限を思い知らされるのです。

しかし、主人公が過去に立ち向かう行動は観る人を勇気づけてくれることでしょう。
そして、生まれた環境や境遇を拭い去ることができなくとも精一杯生きていく強さを感じてほしい作品です。

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