あなたにとって、日々の仕事とはどのようなものでしょうか?
楽しいと感じる人もいれば、生活のために仕方なくという人もいるのではないでしょうか。
まさに千差万別といったところでしょう。
今回紹介する映画は、歴史上で最悪の兵器である原子爆弾を輸送した部隊の物語です。
彼らの中にも原爆に対して、千差万別の意見がありました。
戦争の早期終結のために賛成や人道に反するために反対など様々な意見がありました。
しかし命令に従い、彼らは輸送を行いました。
忠実に任務をこなした彼らに待ち受ける運命は、とても悲惨なものでした。
今回はそんな物語です。
2016年にアメリカで公開された戦争映画です。
舞台は第二次世界大戦の末期である1945年になります。
重巡洋艦インディアナポリスに起きた実際の出来事をモデルにしています。
主人公であるチャールズ・B・マクベイを演じるのは、ニコラス・ケイジです。
脇を固めるのは多くの戦争映画に出演するトム・サイズモアです。
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パシフィック・ウォーあらすじ
物語は1945年の3月沖縄戦から始まる。日本の飛行連隊とアメリカの戦艦が交戦し、双方に犠牲が出る。
原子爆弾で戦争の早期終結を図りたいアメリカ軍上層部は、テニアン島まで原爆の輸送を決める。
その輸送には軍艦インディアナポリスが選ばれる。
1945年4月ナパ郡にあるバズモア判事の家に、ブライアンとマイクという2人の軍人が訪れる。
マイクはバズモア判事の娘クララとダンスを興じ、彼女を夢中にさせる。
それをブライアンは気に入らない様子で、眺めてその場を立ち去る。
彼は以前からクララに思いを寄せているのであった。
1945年7月、サンフランシスコにインディアナポリスが停泊する。
停泊中のインディアナポリスに原爆が運ばれる。
艦長であるマクベイ大佐には、この輸送計画が極秘計画である旨が上層部から告げられる。
そのため、護衛なしで航行することが決まる。
停泊中のため、インディアナポリスの乗組員たちは思い思いに夜を過ごす。
その中でマイクはクララにプロポーズをするが、両親の反対を受けて、失敗に終わる。
さらに乗組員同士のケンカに巻き込まれ、結婚指輪を落としてしまう。
そして1945年7月16日にインディアナポリスは、サンフランシスコを出航する。
護衛がないため、潜水艦に対処できないという大きな弱点を抱えたまま任務に赴く。
この弱点に対して、ジグザグ走行を部下が進言する。
しかしマクベイ艦長は効果は薄いとして意見を退ける。
大きな不安を抱えたままマクベイ艦長率いるインディアナポリスは、テニアン島に向けて、船を進める。
パシフィック・ウォー結末
1945年7月19日、フィリピン海で日本軍の潜水艦に見つかってしまう。しかし日本軍の攻撃は空振りに終わり、事なきを得る。
1945年7月26日、大きな不安を抱えていたが、原爆をテニアン島まで無事に届ける。
レイテ島へ移動が決まったインディアナポリスだが、行きと同様に、護衛がつかないことが判明する。
1945年7月27日、レイテ島へ向けて出発する。
この時、乗組員の数は1197名。
19457月30日未明、日本軍から魚雷の攻撃を受ける。
インディアナポリスは大きなダメージを受け、浸水が始まる。
マクベイ艦長は、総員退避を命じる。
乗組員たちは次々に、海に身を投げ出す。
マクベイ艦長は爆発に巻き込まれる形で、海に投げ出される。
艦長はいかだに乗り移り、一人で漂流する。
1945年7月30日、漂流が始まる。
攻撃による死者が出て、この時点の生存者902名。
その後、サメに襲われて亡くなる者や水不足によって衰弱死する者が後を絶たない。
8月2日までに約600名が死亡する。
マイクもサメによる攻撃から負傷する。
衰弱が進む中、ブライアンと言葉を交わす。
そしてクララを幸せにしてくれとブライアンに頼み、息を引き取る。
8月2日、アメリカ軍の偵察機が偶然にも漂流者を発見する。
そこから救助がスタートする。
アメリカ軍上層部はこの件を、しばらく伏せることを決め、さらには誰かに責任を負わせることを決める。
1ヶ月後、日本が降伏する。
戦争終結を祝う中、この事件は小さく報道される。
ブライアンはクララと結婚し、お腹にいるマイクの子を育てることを決める。
マクベイ艦長は事件の責任を問われ、軍法裁判にかけられる。
裁判は不利な流れで進むが、日本軍の潜水艦艦長が証言台に立つことで流れが変わる。
しかし結論は変わらず、マクベイ艦長の有罪は決定する。
艦長はその後、死んだ乗組員の遺族に責め立てられ続け、1968年に自らの命を絶つ。
パシフィック・ウォー見どころ2点
1点目:手に汗握る脱出劇
物語の途中で、インディアナポリスは沈没しますが、その脱出劇は手に汗握ります。
浸水で空かない扉や火災が広がり進めない通路などは、脱出できないのでは?と感じさせてくれます。
特に見どころなのが、檻に閉じ込められている問題児たちのシーンです。
檻に閉じ込められているため、当然脱出はできません。
首元まで水が迫り、もうこれまでか?と思うシーンにはハラハラします。
映画「タイタニック」にも同じようなシーンがありますが、こういうシーンは食い入るように見てしまいます。
2点目:パニック映画さながらのサメ
サメの襲撃シーンは、まさに映画「ジョーズ」です。
漂流者の周りをうろつきながら、突如襲ってくるシーンはドキドキします。
劇中にサメの背びれが近づいてくるシーンがありますが、あのテーマソングがピッタリです。
特に見どころなのが、いかだから海中を覗き込んだ際にサメが襲ってくるシーンです。
ベタすぎて、次の展開が分かってしまいますが、それでもビックリします。
下手なサメ映画より迫力のある映画かもしれません。
パシフィック・ウォー感想
正直な感想としては、軸がぶれているなという感じです。「原爆という強力な兵器を運搬した彼らも、また犠牲者である」というのがこの作品の伝えたいテーマだと思っています。
だから戦争はよくないと鑑賞した人を、誘導したい意図があるはずです。
しかし中盤以降はサメの襲撃シーンが多すぎて、パニック映画を観てる気になりました。
事実としてサメに襲撃されたのが、印象的だったのでしょう。
しかしサメへのフォーカスが強すぎて、戦争映画から離れている気がします。
もう少し人にフォーカスした方が、作品のテーマが伝わるのでは?と思いました。
とは言え、作品のテーマ以外にも見どころは多くある映画です。
極限状況の中でも、人と人は助け合っていけるというのを学ぶことができますし、
マクベイ艦長を演じるニコラス・ケイジの演技力は見どころ十分です。
テーマとして軸がぶれている作品とは思いますが、それぞれのシーンを抜き出すと、見応えがある映画という印象です。
パシフィック・ウォー総括
戦争に勝利したアメリカにも、その裏で悲惨な事件が起きていました。物語の終盤で、かつての敵味方が語り合うシーンがありますが、この映画を象徴するシーンと言っても良いでしょう。
命令だから任務を行ったけど、人としては誇れない。
敵と言っても、同じ人間同士を傷つけることは良いことではない。
普遍的なテーマではありますが、強いメッセージ性を感じました。
今回の映画をおすすめできる人ですが、戦争映画ですが、ヒューマンドラマの色合いが強いので、人間模様を描いた作品が好きな人にはおすすめです。
またパニック映画が好きな人にも、ハラハラするシーンが多いので、おすすめできます。
おすすめできない人ですが、安っぽい作りのCGを許せない人です。
潜水艦や航空機、サメはCGで表現されていますが、正直、安っぽいCGです。
良い演技や場面にあった音楽を感じることのできる作品ですが、それに見合っていないCGが登場します。
そういう部分に冷めてしまう方には、合わない作品です。