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あなたのお隣さんはどのような方でしょうか?
フレンドリーな方でしょうか?それとも怖い方でしょうか?
狭い日本の住宅事情では、お隣さんとの付き合いはとても重要です。

しかしそれは、遠くアメリカでも変わらないようです。
今回は頑固で偏屈な老人と、そのお隣さんである気弱な青年とのお話になります。

グラン・トリノは2008年にアメリカで公開されたヒューマンドラマ。
アメリカのデトロイトが作品の舞台になります。
頑固な性格や戦争の記憶で、周囲や家族とうまくやっていけない老人が、とある出来事をきっかけに青年と心を通わせる物語です。

監督・主演・プロデューサーは全てクリント・イーストウッド。
公開当時は、クリント・イーストウッドの最後の主演作として注目されました。

ちなみに、この作品のタイトルであるグラン・トリノは自動車メーカー・フォードの車種を指します。
そしてクリント・イーストウッドが演じる老人、コワルスキーはフォードに長年勤めた設定になっています。

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『グラン・トリノ』あらすじ

映画グラン・トリノの冒頭
(C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

気難しい老人ウォルトと気弱な青年タオの出会い

物語は教会での葬式シーンから始まる。
喪主を務めるのは主人公のウォルト・コワルスキー(クリント・イーストウッド)。
彼は自慢の妻ドロシーに先立たれ、大きな家に1人で暮らす日々がスタートする。

彼の息子たちは、父親の気難しい性格に嫌気が指しており、積極的に交流を図ろうとはしない。

彼の家の隣に、東洋人の一家が住み始める。
東洋人に対して偏見を持つ彼はそれに嫌悪感を覚える。

そんな彼に、隣人の青年タオ(ビー・ヴァン)が訪ねてくる。
しかしウォルトは冷たく対応し、彼を帰らせる。

タオは生来から気弱な性格しており、そのことを家族を始め、親類にも陰でささやかれる。

ウォルトの車を盗もうと計画

タオにチンピラの従兄たちは隣の家、すなわちウォルトの車を盗もうと誘う。

その夜、タオはグラン・トリノを盗もうとするが、ウォルトに気づかれて失敗してしまう。

次の日、タオと姉が従兄たちといさかいを起こしているところにウォルトは現れ、従兄たちを退散させる。

『グラン・トリノ』ネタバレラスト

映画グラン・トリノのビー・ヴァン
(C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.

タオの成長

チンピラを退散させたウォルトは、タオの自宅に招待される。
異なる文化も持つ彼らに戸惑いはするが、彼らの持つ暖かさに、少し気を許すようになる。

翌日、タオは愛車を盗もうとしたお詫びにウォルトのために働くと申し出る。

当初はタオに何もさせなかったが、徐々に周辺の庭や家屋の修繕をやらせるようになる。

病がウォルトの体を蝕み始める。
このあたりからウォルトとタオは、互いの手伝いを行う
ようになる。
ある時はタオがウォルトに水道修理を頼み、ある時はウォルトがタオに家具移動の手伝いを頼む。

こうしたやり取りを通じ、タオはウォルトに軽口を叩いたり、はっきりと物を言うなど成長を見せる。

そんなある日、タオはチンピラたちから暴行を受ける。
ウォルトはチンピラの一人を襲うと、タオに二度と手を出すなと警告する。

スーへの理不尽な暴力を見て決意するウォルト

ある夜、タオの家はチンピラたちから銃撃を受け、スー(アーニー・ハー)はチンピラたちに凌辱され、ボロボロになって帰ってくる。

タオはやつらを叩き潰そうと血気盛んになるが、ウォルトが落ち着けと窘める。

ある決心をしたウォルトは身支度を始める。
髪を切り、仕立ての服を買い、教会で懺悔をする。

映画グラン・トリノの懺悔シーン
(C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
身支度を整えたウォルトはタオを自宅地下室に閉じ込め、単身でチンピラのところに向かう。

ウォルトが遺したもの

チンピラと対峙したウォルトは最期の言葉を呟きながら、銃を抜く動作をします。
しかしそれよりも早くチンピラたちから一斉に銃撃を受け、ウォルトは倒れます。

タオが駆け付けた時にはチンピラたちは逮捕され、ウォルトは黒いビニールケースに包まれていました。
彼は丸腰で、そんな彼を撃ったチンピラたちは重い刑を受けることになることが判明した。

ウォルトの葬式後、彼の遺言から愛車グラン・トリノはタオに譲られることが判明する。
譲られたグラン・トリノでタオは海辺の道を走り、物語は幕を閉じる。

『グラン・トリノ』見どころ2点

1点目:主人公ウォルト・コワルスキーの心境の変化

映画グラン・トリノのクリント・イーストウッド
(C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
クリント・イーストウッドが演じるウォルトはとにかく頑固で偏屈です。
息子夫婦が日本車に乗っていれば、皮肉を口走り嫌な顔をします。
隣に東洋人が住むと分かると、もっと嫌な顔をします
自身がフォードで働いていた経歴や朝鮮戦争の苦い経験から、東洋人に対してかなり偏見があるようです。

また気にかけてくれている神父に対しても、若さや経験不足という理由だけで邪険に扱います。

そんな偏見ばかりの主人公ですが、隣人であるタオと接している内に徐々に心を開いていきます。
同時に偏見に対しても、見方を改めていきます。

自分と異なる文化や性格は、本能的に排除しがちになります。
しかし日々接することで、人と人は理解しあえるというのを感じさせてくれます。

2点目:隣人タオの成長

映画グラン・トリノのタオバン
(C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
主人公の隣人であるタオはとにかく気弱です。
チンピラに絡まれても何もしない、同じ東洋人の男たちにからかわれても何も言わない、気になる女の子がいても喋りかけないなどキリがないです。

ウォルトの愛車を盗もうとしたのがきっかけで、彼の手伝いを始めます。
家の修理などに悪戦苦闘しますが、彼は少しずつ積極的に関わるようになります。

積極的になった彼はウォルトに対しても、はっきりと物を言うまでに成長します。
大きく成長した彼はウォルトに友人と呼ばれ、そして最後は愛車グラン・トリノを譲ってもらえるまでの存在になりました。

『グラン・トリノ』感想

映画グラン・トリノの決心するシーン
(C)2009 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved.
ジーンときました!
ウォルトの性格上、最後はチンピラたちにやり返すだろうなと思いましたが、予想を覆す選択をしました。
最期は自らを犠牲にして、チンピラたちからタオを引き離すことにしました。

老い先が見え、病が体を蝕んではいましたが、新しい友人ができて充実していたはずです。
それでもタオやスーのために、決断できる男の友情に感動しました。

クリント・イーストウッドの監督作品は数多く見てきました。
アメリカン・スナイパー」「ハドソン川の奇跡」「父親たちの星条旗」など上げたらキリがありません。

クリント・イーストウッドの作品はどれも少し重たげな映画です。
しかしどの作品も人々の喜びや葛藤に触れることができます。
今回の「グラン・トリノ」もその部分は変わりません。

偏屈な老人と気弱な青年というありふれた組み合わせではありますが、美しく人の心を描写してくれる作品でした。

『グラン・トリノ』レビュー

頑固で偏屈な老人は、偏見に満ちた人生観を少し改めることができ、気弱な青年は自分を大きく変えてくれた友人を得ることができました。

年齢も性格も真反対な二人ですが、交流をきっかけに変わることができました。
人が変わるきっかけは、やっぱり人なんだなと感じさせてくれました。

今作品はヒューマンドラマですので、多くの人におすすめできる作品と言えるでしょう。
日々の生活で人間関係のストレスを感じてる方が見ると、心が洗われるかもしれません。

反対にまったり気分ではなく、激しいアクションが見たいなという方には不向きな作品です。
コワルスキーとタオにフォーカスが当たっている作品ですので、アクションシーン等はありません。

価値観や文化が異なる相手でも、誠実に接すればその見方は変わることを教えてくれる作品でした。

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