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芥川賞受賞作「影裏」を綾野剛・松田龍平主演で実写映画化!
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『影裏』主なキャスト
綾野剛(今野秋一)
盛岡に赴任してきた青年。
秋一もオープンにしていないある秘密が。
松田龍平(日浅典博)
突然姿を消す。
住所も分からない謎と影のある人物。
國村隼(日浅征吾)
疾走した典博の父。
息子の捜索願いを出さないと誓うある理由が...
筒井真理子(西山)
同僚。典博にお金を貸していた。
中村倫也(福島和哉)
秋一の旧友。
久しぶりに再開するその姿は...
永島暎子(鈴村早苗)
今野の近隣住人。
孤独を抱える老人。
安田顕(日浅馨)
典博の兄。過去を知っている。
平埜生成(清人)
秋一と仲の良い人物。
『影裏』あらすじ
今野秋一(綾野剛)は、会社の転勤をきっかけに移り住んだ岩手・盛岡で、同じ年の同僚、日浅典博(松田龍平)と出会う。
慣れない地でただ一人、日浅に心を許していく今野。
二人で酒を酌み交わし、二人で釣りをし、たわいもないことで笑う…
まるで遅れてやってきたかのような成熟した青春の日々に、今野は言いようのない心地よさを感じていた。
夜釣りに出かけたある晩、些細なことで雰囲気が悪くなった二人。
流木の焚火に照らされた日浅は、「知った気になるなよ。人を見る時はな、その裏側、影の一番濃い所を見るんだよ」と今野を見つめたまま言う。
突然の態度の変化に戸惑う今野は、朝まで飲もうと言う日浅の誘いを断り帰宅。
しかしそれが、今野が日浅と会った最後の日となるのだった—。
数か月後、今野は会社帰りに同僚の西山(筒井真理子)に呼び止められる。
西山は日浅が行方不明、もしかしたら死んでしまったかもしれないと話し始める。
そして、日浅に金を貸してもいることを明かした。
日浅の足跡を辿りはじめた今野は、日浅の父親・征吾(國村隼)に会い「捜索願を出すべき」と進言するも、「息子とは縁を切った。捜索願は出さない」と素っ気なく返される。
さらに日浅の兄・馨(安田顕)からは「あんな奴、どこでも生きていける」と突き放されてしまう。
そして見えてきたのは、これまで自分が見てきた彼とは全く違う別の顔だった。
陽の光の下、ともに時を過ごしたあの男の“本当”はどこにあるのか?
『影裏』ネタバレラスト
※ここからはネタバレを含んでいます。少し時系列をさかのぼります。
突然仕事を辞めた典博は互助会の営業マンとしてある日秋一の部屋を訪れます。
空いていた時間もすぐに埋まり、酒を楽しく酌み交わす2人。
酔ったその晩、そのまま寝落ちする典博と秋一。
ふと目を覚ました秋一は典博への高まる気持ちとお酒の勢いも手伝って突然唇を奪い、強引に押し倒そうとします。
なんとか抵抗し、秋一も冷静になりその日はそのまま眠ることに。
翌朝、目を覚ました秋一は典博の寝ていたソファに目を向けますがその姿はありません。
出ていってしまったかと肩を落とす秋一がベランダに視線を移すと...
何事も無かったかのように一服する典博。
その後も釣りに出かける2人。
ある日、典博は秋一に互助会のプランに入ってくれと頼みます。
聞けばノルマがあと1件足りないこと。ノルマ未達だと契約解除されてしまうことを知り、契約をすることに。
お礼にと誘った夜釣り。
典博は不機嫌で秋一の「ニット帽がみっともない」「駐車の位置が悪い」など普段では言わないような心無い発言から秋一は傷つき、ついにはこれがきっかけで友人関係は断絶してしまいます。
落ち込む秋一に元恋人福島から連絡が。
久しぶりの再会を楽しむ秋一と福島。
福島は性別適合手術を受けており、見た目も女性らしくなっていました。
ただ、そんな姿を見てももう昔のようには戻れない。
典博が心を大きく占めていることを感じながらハグしてお別れします。
そして日本中の誰もが忘れもしない3.11。
東日本大震災が発生。
震災の影響でお金が必要になった西山は典博にお金を貸していたことを思い出し、返してもらおうと連絡を入れますが繋がらず。
我慢できずに勤務先の会社へ連絡します。
すると「典博がその日、被災地に行っていて行方不明になっている」ことを知ります。
そしてその事を秋一に告げます。
秋一は典博に捜索願が出していないことを知り実家を訪ねますがそこで衝撃の事実を父から聞かされます。
父親と典博は絶縁しておりその理由が「4年間東京で大学に通い卒業していたはずの典博に卒業はおろか、通ってもいなかった」。
仕送りや学費を払い続ける父親すら騙していた事実を知るのです。
兄も訪ねますが今は何を考えているのか分からないと言われます。
誰も知らない典博の影が強調されるだけでした。
秋一と典博を繋いでいた事実の契約書。
それを見て確かにそこに典博がいた事を感じる秋一。
数年後、思い出の釣り場に足を運ぶ秋一。
横には新しいパートナーが寄り添っていました。
『影裏』見どころ2点
『影裏』の鑑賞ポイントを紹介します。
極力ネタバレは無しです。
1.松田龍平の演技
国外でも絶賛され、第2回海南島国際映画祭でベストアクター賞も受賞した松田龍平さんの演技に注目です。
比べることはできませんが、どうしても父親や兄弟と比較されてきた役者。
「松田家長男」と呼ばれるのはもう終わりです。
世界の松田龍平に時間が経つごとに大きくなっていく影に引き込まれてしまうかもしれません。
2.人間の影
松田龍平演じる典博の影ばかりが予告では強調されていますが、綾野剛演じる秋一も親しい人にしか打ち明けることのできない影の部分が存在します。
それは主演の2人以外も。
スクリーンに映し出される姿から見れる影をしっかり見れているでしょうか?
『影裏』感想
予告を観て良さそうと思って観に行きました。
かなり個人的な意見ですが、正直予告で期待した程の内容では無かったな...
というのが率直な感想です。
松田龍平演じる青年の影の部分がなぜこうなったのか?
が良く分かりませんでしたが、これは小説でも同じみたいですね。
良く言えば邦画らしい「日本の風景、タバコや日本酒」を丁寧に描いていました。
終始、淡々と進んでいくので大どんでん返しや、実は典博が...
という様な展開を期待している人にはガッカリかもしれません。
しかし私にはそれがLGBTや震災の事まで描いた本作のリアルであるのは良かったと感じた点です。
誰かにとってそれは劇的な日かもしれませんが、ある人にとっては淡々とすぎる日だと思うと見終わったあとはなんとも言えない喪失感がありました。
それにしても中村倫也さんの使い方。
「屍人荘の殺人」の時同様、衝撃を受けました...
『影裏』評価
賛否両論でそうな作品です。
芥川賞受賞作を実写化した映画ですが、人間の持つ影の部分を丁寧に表現している点は原作が大事にしている点だと感じたので良かったです。
そして綾野剛が演じる青年の抱えている悩みを冒頭から丁寧に描写されていて、あれ?このシーンいる?
というのがストーリーが進むに連れ分かってくるのはさすが大友監督だと観る価値ありです。
海外の映画祭で主演男優賞を受賞した松田龍平さんの演技も見事。
しかし出演者の中村倫也さんや安田顕さんがもっと出てくるかと期待している人にはガッカリすると思います。
ほぼ綾野剛&松田龍平でストーリーは完結します。
時系列も観ている流れと異なるため、整理するのが必要だったり映画は尺がある分ついていくのがやっとになる人もいるかもしれません。
何よりタイトルにもある「影裏」の部分をもっと描いてほしかったというのが私の率直な意見です。
物語も淡々と進んでいくので刺激を求める人には向いていません。
リアルを求める人には向いているでしょう。
小説を忠実に再現 |
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川釣りがしたくなる |
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成分 | ヒューマンドラマ60%、LGBT20%、ミステリー10% 、震災10% |
こんな人におすすめ