バリーシールの最後はアメリカをはめたのか?【ネタバレ・感想】

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破天荒で天才的な、アメリカ史上最も(いろんな意味で)ぶっ飛んだ男!?「バリー・シール

史上最年少で大手航空会社に合格したバリー・シール。
彼はその凄腕を買われて、CIAやホワイトハウスの極秘任務に抜擢される一方では、なんと、運び屋だった…?

という、破天荒なバリー・シールという実在の人物をテーマにした本作「バリー・シール」は、主人公の規格外さがとにかく強烈なクライムムービーです。

“恐ろしくデキる”実在の男の一生を通じ、実生活では触れ合うことのない密輸システム、麻薬王にCIAとの渡り合いなど、ありとあらゆる規格外の出来事を追体験できます。

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『バリー・シール/アメリカをはめた男』あらすじ

時は1970年代後半。
大手航空会社TWAで働くバリー・シールは、若くして機長に抜擢される凄腕のパイロットです。
しかし、シールは麻薬の密輸人という裏の顔も合わせ持っていました。

ある日、シールはCIAからスカウトされ、極秘の偵察任務へのパイロットとしての参加を求められます。
野心家でもあったシールは、喜んでその依頼を引き受け、CIAが用意したペーパーカンパニーの小さな航空会社に転職します。

航空レーダーに感知されないよう、超低空飛行でメキシコ湾を飛び去る凄腕を武器に、中米や近隣諸国を秘密裏に往復するシールのスリリングな日々の幕開けです。

最後は"はめ"たのか?はめられたのか?

アメリカンドリームとはよく言ったもので、天才的な操縦技術により、自らの力で何不自由ない暮らしを手に入れていたバリー・シール。
史上最年少で大手民間航空会社のパイロットに採用され、頭の回転が早く、機転も利き、愛嬌も抜群!

そんなシールの元に、善人・悪人を問わず様々な人々が無茶苦茶な要求を持ち込むのですが、シールはその全てに確実に応え、見事に大金をせしめます。
しかし、お金にはまったく執着せず、家族想いで浮気もしないシールは、一体何を望んでいたというのでしょうか。

そうして映画が進むにつれて姿を現したのは、積み重なった責任の重みの姿をしてやってくる、破滅の影でした。

本当にやりたい放題だったシールですが、実はどこかで
アメリカという国に利用され、最後には勝手に責任を押し付けられる
という方向での波乱万丈な結末を望むようになっていたのかもしれません。

邦題のサブタイトルに「アメリカをはめた男」とありますが、実際にはアメリカにはめられた格好になっていたのです。

こうした物語のすべてが、非常に軽快なタッチで描かれ、ライトな雰囲気で気軽に楽しめる作品ではあります。
(シールの罪は、実際の罪状で言えばとてつもない件数と重さになると思われますが…)

しかし、軽やかに楽しげでいて、なおかつユーモラスに皮肉を含んだ表現の数々は、アメリカという国家への批判という、いわば”裏テーマ”が隠し味になっているのです。

バリー・シール本人に負けないトム・クルーズのポテンシャル!

主演=トム・クルーズ!
これだけで、面白さはほぼ保証されているといっても過言ではないでしょう。
彼のスター性と、一挙手一投足が緻密に投影された役作りには、リアルを超えたリアリティすら感じます。

主人公がパイロットであるという点も、実際に飛行機を操縦できるトム・クルーズは最適で、彼がいたから実写化を実現できたという噂もあります。

犯罪者といえでも簡単には法で裁くことが出来ないほどの影響力を誇るバリー・シールと、ハリウッドスター中のハリウッドスター、トム・クルーズは、ある意味近いカテゴリーにある人間なのかもしれません。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』の感想

とにかく破天荒なシーン(薬物を機体から落とすためのハウツー映像や、顧客相手との連絡で地元の公衆電話を同時に何台も取り継ぐシーンは見もの!)の数々はもちろん、

シールが凄腕すぎて、CIAやパナマの独裁者などの権力者が、シールを中心に仕事を考えるようになる

という前代未聞の実力には圧倒されます。
(シールの力欲しさに、CIAが彼の裏ビジネスに目をつぶるほどなのです)

CIAの黙認の下で、シールの会社は小さな空港を独占的に利用して、本人も含めてパイロット5人と5機のセスナ機を抱える密輸集団として成長して大金を得ます。

その一方で麻薬取締局(DEA)はシールを逮捕すべく行動し、その動きを察したCIAはシールに手を引けと警告しますが、シールはそんな意見には耳を貸そうとしない頑固ぶり。

結局、タガが外れてしまい暴走を続けるシールのことを、CIAは危険視するようになります。

CIAに見捨てられ、地元警察、DEA、FBI、ATF(爆発物取締局)に追われたシールはついに逮捕されてしまいます。

結局はCIAとホワイトハウスに振り回され、やがて見放されて殺されてしまうという過激な一生を送るバリー・シールでしたが、その家族を大切に思う姿などを見るにつけてもどこか儚さも孕んだ人生に感じました。

『バリー・シール/アメリカをはめた男』まとめ

実在の人物が元になっているとはいえ、その圧倒的スケールは冒頭からあまりにも規格外なため、”共感できる!”というシーンはほぼありません。

しかし、ハリウッド仕込みのエンタメ性で、ジェットコースターのように転がり続ける縦横無尽でハチャメチャな人生に打ちのめされるような体験は、日常に疲れた人にオススメ!

また、冷戦時のアメリカ情勢を多分に含んでおり、時代考証もしっかり行われておりますので、近現代のアメリカ情勢や歴史について知りたい・詳しいという方にもオススメです。

本作において、”倫理観”というものは無いもの同然に扱われています。
裏社会に生きる人々が多く登場することはもちろん、正義と悪が裏で手を組んでいるというケースが往々にしてあります。

  • 今は日常を見失いたくない!
  • 刺激的なものは見たくない!

という方にはオススメできません。
(もちろん、簡単に一般人が真似しろといってもほぼ不可能なことの連続であるため、”すぐそこに潜む闇”というようなものではありませんが…。)

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