2018年に公開された『アイ・フィール・プリティ 人生最高のハプニング』はコメディ要素たっぷりでありながら、自分が持つべき真の強さを私たちに教えてくれる映画である。
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『アイ・フィール・プリティ 人生最高のハプニング』あらすじ
有名コスメ会社であるリリー・ルクレア社に勤めているレネー・ベネット(エイミー・シューマー)はぽっちゃりした体型、自信の持てない容姿のせいで華やかな本社とは正反対のチ地下部屋にある部署に追いやられていた。
そんな中、卑屈な自分を変える為にベネットはジムに通い始める。
しかし、華やかな女性たちに囲まれてバイクトレーニングしている最中、ベネットはバイクから転落し頭を強く打ってしまう。
気を失っていたベネットが目覚めたとき、ベネットは自分の容姿に異変が起きていることに気付く。
ベネットは誰もが羨む美女に変身していたのだ。
ベネットにとってそれは悲願であった。
喜びに満ち溢れたベネットは友人たちに自分がベネットであると証明してみせるが、友人たちはベネットの言うことを不思議がっていた。
そう、容姿が変わっていたのは単なるベネットの思い込みであり、―実際には何一つ変わっていない普段のベネットだったのだ。―
『アイ・フィール・プリティ 人生最高のハプニング』あらすじ(ネタバレあり)
そうとは知らないベネットはなりたかった自分を手に入れ、毎日がバラ色だった。
そんなある日、クリーニング屋を訪れたベネットはCNNで働く男性、イーサン(ロリー・スコヴェル)に出会う。
イーサンに受付番号を聞かれたベネットは自身を美女だと思い込んでいる勘違いから電話番号を聞かれたと勘違いし、電話番号を交換することとなる。
勘違いによる勢いはとどまることを知らず、なんとベネットは絶対に無理だと諦めていたリリー・ルクレア者の受付嬢にも応募してしまう。
かねてより憧れていたCEOエイヴリー・ルクレア(ミシェル・ウィリアムズ)の前でも堂々と自身を売り込みエイヴリーに気に入られたベネットは受付嬢に大抜擢され、晴れて華やかな本社で働き始めるのであった。
まさに人生が劇的に変わったベネットは初めてのイーサンとのデートでもビキニ大会に出場し、惜しげもなくそのぽっちゃりした身体でパフォーマンスをこなす。
最初は一歩引いていたイーサンであったが、見事に会場を自分の空気に変えてしまったベネットに徐々に惹かれ、交際を始めるのであった。
『アイ・フィール・プリティ 人生最高のハプニング』ラスト
仕事に恋愛、全てが上手くいっているベネットはさらにエイヴリーの右腕としても活躍するように。
だが、エイヴリーに連れて行かれた出張先のバスルームでベネットは頭をぶつけてしまう。
目が覚めたベネットが鏡を見ると―そこにはかつての自分がいたのだった―
魔法が解けてしまったと感じたベネットは卑屈な性格など全てが元通りとなり、仕事への自信も恋愛への自信も全てを失ってしまった。
だが、美女に戻りたいと僅かな希望を頂いて再び訪れたジムでベネットはリリー・ルクレア社のモデルを受ける予定の美女と再会する。
振られて泣いている彼女を見てようやくベネットは大切なことに気付く―生きていく中で様々なことに触れ、現実を知り、自信を失ってしまっている自分に―。
ベネットはリリー・ルクレア社の新作発表イベントを乗っ取り、ありのままの自分がいかに良いのかを説き、一方的に別れを告げたイーサンの元へ向かうのであった。
勘違いから始まる成功
ベネットが頭を打ってから始まる勘違い。
それは面白いくらいに痛々しく描かれている。
止まることを知らないその勘違いから生まれる行動や発言は、初めは周囲の人を唖然とさせる。
しかし、勘違いしたベネットの発言はいつも全てにおいて前向きであり、自身の良さを売り込む能力に長けていて、その人柄がいつの間にか周囲の人を虜にしてしまう。
日本には言霊という言葉があるが、まさにそれを体現しているかのようで、現実は何一つ変わっていなくても自分の気持ちのもちよう、行動を起こす力によって、初めは何一つ変わっていなくても現実は後からついてくる、ということをベネットが示してくれているのではないだろうか。
勘違いから覚めた後に気付くこと
ベネットが勘違いから覚めた後、自信をなくし、仕事も恋愛も全て自分から断ち切ってしまう。
もちろん、元から容姿は変わっていないのだから周囲の人にとっては、現実は何も変わっていないのだ。
ありのままの自分が一番素敵だということにベネット自身が気づいたとき、ベネットは本当の意味での強さを手に入れたのではないだろうか。
自分であるということ、自分らしく生きるということだけで人は十分に魅力的で、卑屈になって誰かの陰に隠れて生きる必要はないということを伝える最後のスピーチの場面は観ている私たちを勇気づけてくれる。
『アイ・フィール・プリティ 人生最高のハプニング』評価
この映画は私たちへの応援映画である。
誰もが一度は感じたことがあるだろう劣等感、それに打ち勝つ為のメッセージが至る所に散りばめられている。
それは決して容姿によるものではなく、誰もが持っている悩みである。
モデルのオーディションを受ける女性が泣いている姿があえて描かれていたように、自己肯定感が低い人は近年では多いのではないだろうか。
大事なのは無いものねだりをすることではなく、ありのままの自分で生きる強さ、自分がいかに魅力的であるかに付くこと。
アイ・フィール・プリティは私たちを全力で後押ししてくれているのである。