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俳優としてはもちろん、声優やバラエティ、またドキュメンタリーのナレーターとしても活躍の幅を広げる松坂桃李さん。
華美な装飾も余計な振る舞いもせず、それでいて滲み出るような色気と存在感を感じる不思議な魅力を持った俳優さんです。

彼の出演作品の多様な役柄には驚かされ、こんな映画にも出演していたのか、こんな役も演じていたのかと、彼の引き出しの多さに興味が湧きます。
穏やかで甘いマスクに隠されたストイックな役作りなど、松坂桃李さんの出演作品とその役柄についても紹介します。

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プロフィール

生年月日 1998年10月17日
出身 神奈川県茅ヶ崎市
血液型 A型
身長 183cm

2008年の「チャレンジFBモデル2008オーデション」にてグランプリを受賞後、雑誌「FINEBOYS」の専属モデルとして活動を開始する。
トップコートの養成所「Artist★Artist」へ入学。
2009年「スーパー戦隊シリーズ、侍戦隊シンケンジャー」のシンケンレッド役で俳優デビューと同時に初主演を果たす。
また、劇場版においても映画初出演、初主演を担う。

受賞作品

  • 2011年「アントキノイノチ」キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞
  • 同年「僕たちは世界を変えることができない。」キネマ旬報ベスト・テン新人男優賞/ヨコハマ映画祭最優秀新人賞
  • 2012年「ツナグ」日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎新人賞/日本アカデミー賞新人俳優賞/日本映画批評家大賞主演男優賞
  • 同年「麒麟の翼~劇場版・新参者~」日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎新人賞/日本アカデミー賞新人俳優賞
  • 同年「今日、恋をはじめます」日本アカデミー賞新人俳優賞
  • 2015年「ピースオブケイク」おおさかシネマフェスティバル2016助演男優賞
  • 2017年「彼女がその名を知らない鳥たち」ヨコハマ映画祭助演男優賞/TAMA映画賞最優秀男優賞
  • 2018年「虎狼の血」TAMA映画賞最優秀男優賞/ヨコハマ映画祭助演男優賞/ブルーリボン賞助演男優賞/日本アカデミー賞最優秀助演男優賞/東京スポーツ映画大賞助演男優賞/おおさかシネマフェスティバル2018助演男優賞/キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞
  • 同年「娼年」「不能犯」TAMA映画賞最優秀男優賞。日刊スポーツ映画大賞石原裕次郎賞主演男優賞
  • 2019年「新聞記者」日本アカデミー賞最優秀主演男優賞

「僕たちは世界を変えることができない」2011年

作品概要

葉田甲太のノンフィクション書籍。
2008年自費出版にもかかわらず5000部を売り上げ、2011年深作健太監督によって、「僕たちは世界を変える事ができない。but we wanna build a school in cambodia.」が映画化された。
主人公、田中甲太を映画初主演、「ゲゲゲの女房」の向井理が演じる。
ドキュメンタリー番組のような演出にこだわり即興の芝居を設けた。

あらすじ

医大生2年のコータこと田中甲太(向井理)は何となく日々を過ごしていたが、ある日、立寄った郵便局で、150万円でカンボジアに学校を建設できるというパンフレットを目にする。
自分にもできるのではとプランも無く仲間を募り資金集めを始めるが、集まったのは芝山匡史(柄本佑)、矢野雅之(窪田正孝)の三人だけだった。
そして、合コンで知り合った軽いノリの本田充(松坂桃李)が参戦。
派手な見た目と調子の良さに快く思わない芝山と矢野だったが、本田は率先してチャリティーイベントを開始し、このプロジェクトが本格的に始動した。
しかし、カンボジアについて全く無知であることに気が付いたコータは、仲間と共にカンボジアへと視察の旅へ出かける。
旅行気分ではしゃぐコータ達だったが、そこで見た現実とツアーガイドの話に4人は愕然とし、突き当たる壁の大きさを知っていく。

偽善と助け合い

ドキュメンタリー番組を観ているような仕上がりで、物語と共に世界に目を向けられる映画です。
半ばノリで始めたようなプロジェクトに、楽しく盛り上がったかと思えば、突き当たる現実を知り、自分の抱えている現実と立場を思い知らされ、自問自答していく。
問題を乗り越えるたびに山あり谷ありの揺れ動く若者たちの成長が見られますが、同時に、何が偽善で何が助け合いなのか問題定義されているような気分にもなるのです。
カンボジアの歴史や現実を知り、自国のあり方についても考えるきっかけとなる作品です。

見た目はチャラいが行動力のあるリーダー気質

本田は、コータに誘われ一緒にカンボジアに学校を建てる仲間のひとりです。
顔が広く遊び人風の見た目ですが、真面目で行動力があり、見た目とのギャップが大きく、3人の雰囲気とは違った存在感があります。
落ち着いた雰囲気の松坂桃李自身と共通点はあまり感じられませんが、強引で正直でキレ者の本田を思い切り演じています。
共演者の中で、いちばんの後輩の松坂桃李が、そうは感じさせない演技力を披露します。

「今日、恋をはじめます。」2012年

作品概要

2007年から2011年「Sho-Comi」にて掲載された「蜜×蜜ドロップス」の水波風南による5作目の恋愛少女漫画。
古澤健監督により映画化され、全国国民的美少女コンテスト、モデル部門、マルチメディア賞受賞の経歴を持つ武井咲と、松坂桃李が主役を飾り、自分の気持になかなか素直になれない2人の恋の行方を描きます。

あらすじ

晴れて高校生となった日比野つばき(武井咲)はメガネにおさげ髪で入学式に出向いたが、あまりに真面目なその風貌から入学早々浮いた存在になってしまう。
首席で入学した椿亮汰(松坂桃李)は中学時代から有名なモテ男。そんな彼と席が隣通しになり、何故か椿の彼女になるはめに。クラスメイトの前でファーストキスまで奪われ、最悪な高校生活のスタートを切った。
しかし、二人一緒に学園祭の実行委員になったことで、椿の意外な一面を知り、つばきは次第に彼に惹かれていくのだった。
寂しい過去を引きずり、適当にしか女の子と付き合えない椿もまた、つばきの直球さに惹かれていった。

つばきの真面目っぷりが面白い

メガネにおさげ髪。マネキンのような制服姿というだけでなく、中身まで超真面目な武井咲が可愛らしく、椿によって容姿を変えられていくところはまるで現代版のシンデレラ。
ふたりの気持がすれ違うもどかしさにも胸が熱くなり、恋愛に悩み、進路に悩みながらも、自分らしさを求めて突き進む前向きさは好感が持てます。
清々しくて恋愛少女漫画らしさ全開の作品です。

秀才、イケメン、文句なしの超モテ男

高校に首席で合格。
さらにクラスの中心人物で、整ったルックスも兼ね添えています。
母に捨てられた過去から、女性の愛を信じられず女遊びを繰り返す椿ですが、悲しみを覆い隠すかのように派手な外見で誤魔化しているところや、強がっていてもふとした瞬間見せる優しい視線が魅力的です。
同級生と比べても大人っぽく、そうかと思うと、大好きな宇宙の話で盛り上がる少年のような目の輝きが、自然体の松坂桃李を想わせてくれるようです。

「ツナグ」2012年

作品概要

直木賞作家辻村深月のファンタジー小説を「ROOKIES-卒業-」の平川雄一監督により映画化。
遠藤修一演じる島田、橋本愛演じる嵐、そして佐藤隆太演じる土屋の3組のエピソードを描き、切なくも温かいストーリーを届ける。
映画初主演の松坂桃李をはじめ、共演者には樹木希林、仲代達矢、八千草薫などベテラン俳優陣が名を連ねた。

あらすじ

死んだ人に一度だけ再会させる仲介人、ツナグの噂は、都市伝説のように広がっている。
何処にでもいそうな男子高校生の渋谷歩美(松坂桃李)は、祖母の渋谷アイ子(樹木希林)から「ツナグ」を受け継ぐための見習い期間中だ。

1人目の依頼者は母ツル(八千草薫)を亡くした畠田靖彦(遠藤修一)。
歩美は、とあるホテルへと足を運び、島田に、夜が明けるまでの時間が死者と再会できる最初で最後の時間だと説明する。
畠田は思春期の息子との関係に悩み、土地の権利書の在処を母に訪ねたいという理由をこじつけ、半信半疑で依頼したのだ。
2人目は親友の成功を妬み、死ねばいいと思ったまま別れた嵐美砂(橋本愛)だ。
親友が自分に残した「どうして?」の一言に罪の意識を重ね、自分の殺意に気が付いていたのかを探る為もう一度再会したいと歩美に頼む。
3人目は出かけたまま戻らなくなった恋人、日向キラリ(桐谷美玲)を追い求める土谷功一(佐藤隆太)。
死んだことを認めることも彼女の気持ちに向き合うことも出来ない土谷は、歩美の言葉でキラリの待つ部屋へ向かった。

今という時間を大切に生きる

たった一度だけ死んだ人に再会できるとしたら、誰と再会したいのかと真剣に考えさせられます。
皆が想いを残したまま死んでいき、そして残された者は何を伝えたいと願うのでしょう。
今ある気持ちに正直に、できるだけ後悔の無いように生きていきたいと強く思わせてくれる物語です。
亡き人を想いながらこれからを前向きに生きようとする登場人物の晴れやかな表情が心に残ります。

人の想いによって成長していく死者との仲介人

代々受け継がれる「ツナグ」の後継人とし祖母の教えを受ける優しく素直な高校生ですが、両親のいない寂しさやわだかまりを寡黙に抱え続けています。
死者との再会を仲介する、言わばあの世と近い立ち位置に居ながら、自分の思いを押し込めそれが溢れ出る瞬間の演技は心に残るシーンです。
あどけなさも残る松坂桃李が、人と人との再会や別れに触れ成長する主人公の様子をしっかりと演じ、ベテラン俳優が揃う中でも引けを取りません。

「王様とボク」2012年

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ポニーキャニオン

作品概要

「週刊ヤングサンデー」にて連載された、やまだないとの青春漫画。
伊丹十三、滝田洋二郎、周防正行らの作品に携わった経験を持つ、監督前田哲が手掛け、12年ぶりに目覚めた幼い心の少年と、大人になりつつあるその友人たちの交流を描く。

あらすじ

誕生日を迎えたミキヒコ(松坂桃李)はバイク事故を起こし病院へ搬送される。幼少期ブランコから転倒し、そのまま昏睡状態に陥ったかつての親友、モリオ(菅田将暉)を思い出した。
ある日、12年間の昏睡状態から奇跡的に目覚めたというニュースが報じられた。モリオの事だと病院へ駆けつけたミキヒコとミキヒコの彼女、キエ(二階堂ふみ)は、面会が許されないと知り、病院を後にしようとする。すると、病室から抜け出し、おびえた様子のモリオに遭遇。モリオは体こそ成長したものの、精神は当時のまま。6歳の無邪気なモリオのままだったのだ。
純粋に今を楽しもうとするモリオを見て、将来に漠然とした不安抱えていたミキヒコは大人になることを拒もうとするのだった。そして、不安を覆い隠すかのように、ミキヒコはモリオと過ごす時間を欲していった。

ファンタジーを感じる夢うつつな描写

不幸な事故に見舞われ、長年の昏睡状態から目覚めた少年の心のままの青年と、その友人たちを描いた切ないストーリーです。しかし、暗いテーマだと感じさせない夢を見ているような描写が多く含まれます。
子供の頃の遊びや興味を変わらず楽しもうと一生懸命なモリオ役の菅田将暉と、大人にはなりたくないが、時間の経過と共に大人になっていく一面が垣間見られるミキヒコ役の松坂桃李。
儚く消えていく時間を夢心地に描いた物語です。2度目の鑑賞こそがストーリーをより理解できることでしょう。

大人になることを拒みながら大人になっていく葛藤

時間に取り残されたのは友人の方なのに、悲しそうな表情をするミキヒコ役の松坂桃李が印象に残ります。よく言えば底なしの明るさ、悪く言えば終始やかましい恋人、キエと一緒にいる受け身状態の物静かなミキヒコと、モリオとのかかわりによって子供らしくはしゃぐ笑顔のミキヒコとのギャップが感じられ、両方の表情を楽しむことができます。

「ガッチャマン」2013年

作品概要

タツノコプロ原作「科学忍者隊ガッチャマン」の実写版は、「新造人間キャシャーン」、「マッハGoGoGo」、「ヤッターマン」に続く4作目。
メガホンを握ったのは「ごくせん」の佐藤東弥監督。主人公松坂桃李に加え、「GANTZ」や「闇金ウシジマくん」シリーズの綾野剛、多方面で活躍のオスカープロモーション所属、剛力彩芽、「映画 怪物くん」など子役時代から注目の濱田龍臣、徹底した役作りでも知られる鈴木亮平が「ガッチャマン」に扮し悪に立ち向かっていく。

あらすじ

21世紀、世界に宣戦布告したギャラクターは、みるみるうちに地球侵略を果たしていく。誰もこの強力なシールドを破ることができず、ギャラクターは、ウィルスXという細菌兵器で容赦なく攻撃してくるのだった。
不思議な石との適合者がこの組織に太刀打ちできると研究がなされ、「ISOエージェント」の育成を行った。
13年後、鷲尾健(松坂桃李)、大月ジュン(剛力彩芽)、大月甚平(濱田龍臣)、中西竜(鈴木亮平)を「Gチーム」と呼び、実践の戦いに挑むことになる。ヨーロッパ支部から移籍した健の幼馴染、ジョージ浅倉(綾野剛)が加わり、それぞれの特殊能力を生かした戦いが幕を開ける。

子供から大人まで家族で楽しめるヒーロー映画

少年たちが好む戦闘ヒーロー映画だと思いきや、ちょっとした恋愛要素や、過去を引きずりながらも仲間意識を高めていく様も描かれ大人でも楽しめる作品です。
気が付くとギャラクターと闘うスピーディーさから目が離せない自分に気が付かされます。5人の能力も互いを補うようにうまく組み合わさっていることも感じますが、バラバラとも言えるキャラクターが面白く、最後まで楽しく鑑賞できる映画です。

真剣で険しい表情の中に、数少ない笑顔が光る

とにかく真面目に冷静に、仲間と物事を客観的に捉えている主人公、松坂桃李演じる鷲尾健です。厳しく自分自身を取り仕切ろうと努めている様子が伝わります。
過去の出来事から、感情よりも任務を遂行しようとするため、周囲からは少々冷酷な人物像に移ってしまいがちですが、自分の考えを信じ、最後まで仲間を見捨てないリーダー素質は十分に感じます。
感情を抑え、仲間たちによって溶かされていく温かい心を秘めた演技を見る事ができます。

「マエストロ!」2015年

作品概要

文化庁メディア芸術祭マンガ部門にて優秀賞を受賞。
また、手塚治虫文化賞ノミネート、さそうあきらのコミック「マエストロ!」を、小林聖太郎監督が手掛け、負け組オーケストラ団が再起をかけて演奏会を開くまでを描く。
主演に松坂桃李。団員を再結集させた張本人、天道徹三郎役を西田敏行が演じる。
フルート奏者の橘あまね役として、シンガーソングライターのmiwaが女優デビューを果たした。

あらすじ

ヴァイオリニストの香坂真一(松坂桃李)が属する交響楽団は、不況の為解散せざるを得なくなった。
香坂のもとに再集結の知らせが入ったが、集まった場所は廃墟になった工場。そこでオーケストラの練習を行うと言うのだ。しかもメンバーは、再就職先も決まらない負け組だらけの音楽家達と、天真爛漫なアマチュアフルート奏者だった。
不安な面持ちで練習を始めたが、案の定、聞くに足らないハーモニーが工場内を響き渡り、先行きが不安になる。
するとそこに謎の指揮者、天道徹三郎(西田敏行)が現れる。
天道は作業着姿で指揮棒の変わりに大工道具を振りかざし、罵声を浴びせた。
めちゃくちゃな指導に団員たちは皆、不満をあらわにし、反発を繰り返すが、次第に彼の才能に気が付いていくのだった。
しかし、香坂はただ一人、天道の過去を知り、より強く反発を繰り返すのだった。

楽器の練習を重ねたキャストプロ根性

クラシック通でない人にも音楽の魅力に心奪われる作品です。
オーケストラのクオリティの高さに見ごたえは文句なしですが、それだけではありません。
天道に対する感情と、音楽への情熱との狭間で起こる主人公の葛藤が良く伝わり、音楽を通し、人と人との関わり合いによって生まれるひずみを乗り越え成長していく様が良く伝わります。

父を想い音楽を愛するヴァイオリニスト

元コンサートマスターのヴァイオリン奏者とピアノ奏者の母を持つ、音楽一家の息子役です。
ヴァイオリンを構え、品のある佇まいを披露しています。
ヴァイオリンまで弾けるんだ!と、感心しますが、なんと初心者。
1年間の猛特訓を経ての成果は、ヴァイオリニストの主人公と違和感なく重なり、まるで初心者とは思えない余裕が見られます。
西田敏行の演技にも飲み込まれず香坂真一を演じ切っているところからも彼の力量を感じます。

「ピースオブケイク」2015年

作品概要

「鉄男」、「見えない目撃者」など多くの映画に出演の俳優、田口トモロヲが監督を手掛けた作品。
20代女性の恋愛事情を描いた、ジョージ朝倉の恋愛コミック「ピースオブケイク」は同世代の女性に共感を得て、PG12指定付きで、多部未華子と綾野剛のコンビにより映画化された。
本作品にて、多部未華子は日本映画プロフェッショナル大賞と日本映画批評家大賞の主演女優賞を受賞。また、綾野剛は、TAMA映画賞最優秀男優賞を受賞した。

あらすじ

周囲に流されるまま生きてきた梅宮志乃(多部未華子)は、威圧的な彼氏に言われるがままなんとなく付き合っていたが、志乃の浮気がバレたことで彼氏に振られる。
バイトもやめ、引っ越しをした志乃は、流されるままの恋ではなく慎重に生きていこうと決意した・・・はずだったが、早速、新居である木造アパートのお隣さんに一目ぼれする。
友人の天ちゃん(松坂桃李)から紹介されたビデオ屋にアルバイトの面接に行くと、お隣さんの菅原京志郎(綾野剛)がバイト先の店長であることがわかり、志乃のテンションはさらに上がった。
京志郎には同棲中の彼女、あかりがいたが、ある日2人はけんか別れし、京志郎はひどく落ち込んだ様子。
彼女がいなくなった寂しさに京志郎は志乃の部屋へ行くようになったが・・・。

頭と心は別物!?

20代女性の揺れ動く心を正直にうつし出した作品です。
意志をもって行動する事が大切なのだと頭ではわかっていても、気持ちとのバランスがうまく取れずに揺れ動いてしまう。そんな不安定さが多くの女性の共感を呼んだことでしょう。
自立できずに揺れ動き、何度も泣いて失敗を重ねる不器用な志乃役の多部未華子がとても可愛く、若い女性にエールを送る作品です。

自称ノンケ(異性愛)のオカマははまり役!

松坂桃李、初のオカマ役が見られるとあり、それだけで興味をそそられますが、自然な振る舞いに驚かされます。
ファッションも個性的で新鮮。限られた出演時間の中であるにも関わらず、オカマ天ちゃんのキャラクターが際立っています。
また、美意識を高めるために美肌パックやエステをはじめたという彼には重ね重ね驚かされ、役に向き合う真剣さが伝わります。
多部未華子、木村文乃との雑談シーンも忘れられないひとコマになるかもしれません。

「エイプリルフールズ」2015年

作品概要

「リーガル・ハイ」の古沢良太のオリジナル作品。
同じく「リーガル・ハイ」で演出を務めた石川淳一が初のメガホンをとり、登場人物27人の嘘が予想をはるかに超えた大騒動になっていく様を演出する。
主演の戸田恵梨香と松坂桃李をはじめ、菜々緒、寺島進、窪田正孝など豪華な面々が揃い大きな話題を呼んだ。

あらすじ

4月1日、エイプリルフール。年にたった一度だけ嘘が許されるこの日に、対人恐怖症の新田あゆみ(戸田恵梨香)は行動を起こす。
たった一夜だけ共にした牧野亘(松坂桃李)に妊娠していることを告げるが、軽くあしらわれ電話を切られてしまう。怒ったあゆみはデート中の、亘のいるレストランへ乗り込み、店の従業員や客を巻き込んで認知を迫った。
あゆみが持参した自分のバッグをあさると何故かそこには拳銃が。
亘がついた嘘がきっかけだったが、エイプリルフールに便乗した様々な嘘が絡み合い、予想もしない騒動が繰り広げられる。

小さな嘘から始まる笑いのエンターテイメント

多くの豪華キャスト陣達の、それぞれがつく嘘が絡み合いひとつに繋がっていくストーリー構成が素晴らしく、また、嘘が引き起こす幸せな結末に清々しさを感じます。
それぞれのキャラクターが個性的で皆が真面目で面白く、誘拐犯を演じる寺島進のエピソードにはジンと心に響く感動のシーンも見られます。
鑑賞中、いくつの嘘が発見できるか宝探しのように鑑賞する楽しみもあたえられ、最初から最後まで楽しめる映画です。
千葉真一のチョイ役や、浜辺美波のランドセル姿も貴重です。

二枚目気取りの小心者

自分は優秀な外科医だと偽り、女を口説く事しか考えていない最低な嘘つき男を演じています。派手で、軽薄な見た目そのままですが、怒り狂ったあゆみから必死で逃げ惑う姿が面白く、頼りなさ全開の振り切った演技が見ものです。
リアクションが大きく、表情もわかりやすい程コロコロと変わる演技は、今作品ならではのものかもしれません。

「湯を沸かすほどの熱い愛」2016年

作品概要

長編デビューの中野量太が脚本・監督を務め、家族の在り方と生き方を追求する。
「紙の月」「ぼくらの七日間戦争」の宮沢りえが出演を即決したという本作は、アカデミー賞6部門受賞、日本映画批評家大賞4冠、ヨコハマ映画祭3冠受賞など多くの賞を受賞。
家族で営む銭湯屋を舞台に、ぶつかり合いながらも強く結ばれていく登場人物の人生を描く。説得力のあるラストにしたいと丁寧に描いたというラストシーンは必見。

あらすじ

夫の一浩(オダギリジョー)が蒸発した幸野家は、家業の銭湯を休業し、残された妻の双葉(宮沢りえ)と、ひとり娘の安澄(杉咲花)の2人で、どうにかこの苦境を乗り切ろうとしていた。
ある日、職場で倒れた双葉は、自分が末期のがんを患い、余命2ヶ月だと知る。
ショックを受けた双葉だったが、すぐに立ち直り、残された時間で自分のやるべきことに目を向けた。
一浩と、同棲していた女の娘、片瀬鮎子(伊藤蒼)を連れ戻し、休業していた銭湯屋を再開。
安澄のいじめ問題が発覚したが、真正面から向かい合い、自らの勇気で解決するよう導いた。
また親に捨てられた鮎子の悲しみにも寄り添い、次第に家族の絆が強まっていくのだった。
ある日、一浩に銭湯を任せ、双葉は2人の子供を連れ旅に出る。お出かけにはしゃぐ2人だが、双葉にはどうしてもやらなければいけないことがあるのだ。
旅の途中、ヒッチハイクしてきた青年、向井拓海(松坂桃李)の人生にも関わり、双葉は人と人とを繋いでいくのだった。

綺麗ごとだけではない現実を想う

夫の蒸発、子供のいじめ問題、ネグレクト、余命宣告。これだけの不幸を作品中に練り込ませている中、双葉が残したのは明るい未来であることが素晴らしい。双葉によって、本当の愛の大きさや厳しさを見た気がします。
安澄がいじめられ、不登校になりつつある場面、そして出生が明らかになる場面では、安澄役の杉咲花の演技は真に迫るものがあり、思い出してもじんと来るシーンです。
向き合うことは言葉でいう程簡単な事ではなく、覚悟が必要なのです。未来が明るくなるための覚悟を作品から感じる事ができ、逆向に立ち向かう勇気をもらえる映画です。

子供のような純粋な青年

ヒッチハイクで旅をする拓海は明るい今どきの青年に見えますが、実は家庭環境に恵まれず、目標も行く当てもなく彷徨っているのです。どこかで自分を見てほしいと全身で訴えている様にも感じ、闇から抜け出せず物思いにふける喫煙シーンが心に引っかかります。
双葉に抱きしめられ驚いた表情や、双葉に目標を定められ、目標の旅を終え報告に現れた子供のような表情。双葉の病状を知り、一緒になって銭湯屋を盛り上げていく姿がとても晴れやかで、とても好感の持てる印象を残します。

「ユリゴコロ」2017年

作品概要

2011年沼田まほかるのミステリ-小説を熊澤尚人監督により2017年映画化。
脳裏に蘇る残虐な描写もあり、PG12指定となった。
「蛇とピアス」の吉高由里子が、人間の死を喜びとしてしか生きられない殺人鬼に初挑戦。過去の出来事を引きずり、苦悩しながら生きる洋介役に松山ケンイチ。
一冊のノートを魅せられ、運命に弄ばれるかのようにその渦に飲み込まれていく亮介役を松坂桃李が演じます。

あらすじ

カフェを経営する亮介(松坂桃李)。
ある日、結婚を約束した彼女が突然失踪を遂げた。仕事も順調とは言えず、さらに父の余命が判明し、亮介はます次から次へと怒る出来事に気持ちの整理がつかない。
そんな時、父の書斎で一冊のノートを見つけた。「ユリゴコロ」と書かれたそのノートには、人の死を喜びとして生きる美紗子(吉高由里子)の半生が記されていた。
幼い頃、「ユリゴコロ」が無いと言われた美紗子。
友達が溺れ死ぬ様を目の当たりにし、これこそが自分の喜びであり、唯一の拠り所だと知ったのだという。
涼介は美紗子の殺人の記録とも言えるそのノートに引き付けられ、湧き上がる衝動を抑えきれない自分の姿に気が付いていくのだった。

拠り所を探して生きていく

涼介がノートを手に取った現在と、ノートに記された場面とが交互に組み込まれ、最終的には引き寄せられるように繋がっていく流れは見ごたえのある仕上がりです。
そして、何と言っても殺人でしか満たされない美紗子の心の葛藤と、その生き方が一番の見どころ。側で命を削っていく友人を、興奮を抑えきれない表情で見つめる吉高由里子の演技は印象的です。
拠り所を求めていただけなのに、悲しい運命を辿るしかなかった美紗子や洋介。その終着点が、想像とは違い爽やかな気持ちで締めくくられるとは思いませんでした。
そんな意外性もまた面白く感じられます。

優しさと狂気の二面性

穏やかで明るく人望のあるカフェのオーナーの顔と、怒りが狂気と化していく豹変した亮介の二面性が見られます。
誰かと絡む演技というよりは、ノートを通して心情が変化していく描写を細かく表現する演技が多く感じられ、抱えるものが多い重い役どころを丁寧に演じています。
涼介が全てを理解し受け入れたエンディングのシーンは清々しく、冒頭からは感じられないほど爽やかです。

「彼女がその名を知らない鳥たち」2017年

作品概要

沼田まほるかのミステリー小説をR15+で映画化。
フラガール」、「ニライカナイからの手紙」で知られる蒼井優と、舞台でも活躍の阿部サダヲによるダブル主演で、松坂桃李、竹野内豊など実力派俳優がキャスティングされる。
凶悪」、「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌が究極の愛に迫り、スリリングな空気感を演出。
また、本作は国内においても数多くの賞を受賞し話題を呼んだ。

あらすじ

昔の恋人、黒崎俊一(竹野内豊)を忘れられず自堕落な生活を過ごす北原十和子は、不潔でこれといった取柄もない佐野陣治(阿部サダヲ)と暮らしている。陣治を根っから毛嫌いしている十和子だが、働きもせず、悪態ばかりをついて暮らせるのも陣治の収入によるものだった。
ある日、十和子のクレームに対応した時計屋の水島真(松坂桃李)がお詫びの品を持ち家にやってきた。それをきっかけに、水島には妻子があることをわかっていながら2人は不倫関係になる。
甘い言葉で十和子の心をくすぐる水島に舞い上がる十和子だったが、突然訪問してきた刑事によって黒崎が行方不明だと言うことを聞かされた。十和子は居ても立ってもいられず、何かを隠そうとする陣治を疑うようになる。
執拗に追ってくる陣治に恐怖を感じながら、逃げるように水島を頼ろうとする十和子だったが・・・。

登場人物に不快感全開

出演者の素晴らしい演技力に、あっという間にストーリーに引き込まれます。
冒頭から、蒼井優演じる十和子の、だらしなくケチばかりをつける嫌な女ぶりに面白みを感じますが、同居人陣治を演じる阿部サダヲに、輪をかけて不快感を与えられます。さらに、元恋人の黒崎も、浮気男の水島も、救いようのないクズ男っぷりなのです。
じわじわ迫るスリリングさが、明るみになる真実によって変化していくのを感じ、今まで目にしていた異様さがひとつの線で繋がった感覚に陥ります。
予想だにしなかったラストシーンでは、陣治の愛を究極の愛だと感じるのか、これもまた身勝手な愛だと受け取るのか、観る人の心に委ねられた作品であると感じます。

器だけが立派な中身のない最低男

十和子をだまし付き合いをする松坂桃李扮する水島は、洗練された時計屋の社員。物腰も柔らかく、丁寧で一見誠実。しかし、それは表面だけで、話し出すと感情のない薄っぺらなセリフが次々に出てきます。
獲物を弄ぶような目つきは本来ならおぞましく、こんな男には引っかかりたくないと思うものでしょうが、そう感じさせないところが彼の魅力なのでしょうか。
女遊び常連の最低男、水島役が良くも悪くも自然すぎる、松坂桃李に出会えます。

「不能犯」2018年

作品概要

「グランドジャンプ」にて連載された漫画家宮崎新の人気コミック「不能犯」。「ノロイ」や「貞子vs加椰子」などの白石晃士監督がメガホンをとり、この世の闇を描く。
殺人依頼を速やかに実行する謎の電話ボックスの男、宇相吹正役に松坂桃李。正義感たっぷりの強気な女刑事、多田友子役を沢尻エリカが演じる。
また新田真剣佑、間宮祥太朗など若手俳優が参戦し、豪華な顔ぶれが並ぶ。

あらすじ

ある電話ボックスに殺人依頼のメッセージを残すと、電話ボックスの男が代わりに殺してくれるのだと言うまことしやかな情報が飛び交う。
喫茶店で起きた変死事件に駆け付けたのは、男顔負けの勢いのある美人女刑事、多田友子(沢尻エリカ)と新米刑事の百々瀬麻雄(新田真剣佑)。
防犯カメラに映った画像からは、突然苦しみだす男の傍らで立ちすくむ黒スーツの男が確認された。
ニヤリと不気味に笑う男の名は宇相吹正(松坂桃李)。相手の目を見つめるだけで簡単に行動を操る能力を持つ宇相吹は犯罪が立証できないことをいいことに次々にターゲットを死に追いやっていく不能犯だ。
唯一宇相吹の能力が効かない多田刑事が彼の犯罪を食い止めようと立ち上がり、両者の心理戦が幕を開けた。

スッキリしないからこそ後を引く物語

ストーリーは単純明快で、PG12という指定付の作品でも漫画を読む感覚で気軽に見ることができます。
自分の手を汚さずに邪魔な誰かを排除したいという思考を題材としているところに興味を惹かれる一方で、どこからともなく現れる宇相吹正の生活感の無さなど、現実離れしている演出が気軽に鑑賞できる要素なのかもしれません。
それにしても、一時の感情に支配された人間の思考や行動が恐ろしく感じられます。

他人の人生を弄ぶ不気味な松坂桃李

松坂桃李、初のダークヒーロー役にコミックファンは期待を寄せたことでしょう。
不気味な笑い方を日々研究していたというだけあり、赤い目で見つめ、人をマインドコントロールする宇相吹からは、松坂桃李の爽やかさなど全く伝わってきません。
背中を猫背に丸めニヤッと歪ませた顔は、背筋をぞくぞくさせるような不気味さが漂いますが、ドキッとさせられるセクシーなシーンが混ざり合い、彼の魅力が最大限に生かされた作品だと感じます。
人を死に追いやることが悪ではなく、むしろ人助けだと心底信じる殺人犯役は、彼のイメージを塗り替え、改めて演技力の幅の広さに感心させられます。

「娼年」2018年

作品概要

直木賞候補作となった石田衣良の恋愛小説「娼年」。
2016年に監督、三浦大輔と主演松坂桃李で舞台化された。
多大な衝撃と話題を呼び、2018年同じく三浦監督と松坂桃李とのコンビで映画化が叶う。
女性たちの中に潜む羞恥心や欲望に向き合い成長する青年を描くR18+指定作品である。

あらすじ

東京の大学に通いながら夜はバーでアルバイトに明け暮れる主人公、森中領(松坂桃李)。女なんてつまらないとつぶやく領に、客として店に現れた御堂静香(真飛聖)は興味を持った。領を部屋に連れ込むと、自分の目の前で静香の妹、咲良(冨手麻妙)とベッドで抱き合うことを強要した。
ことが終わると静香は領に5000円の値を付け、ぎりぎりの合格だと告げる。
領はそれを機に、静香が営む会員制高級クラブで娼夫という仕事をすることになる。
初仕事は一見何もかも満たされているヒロミ(大谷麻衣)。
常連客でもある彼女の振る舞いに戸惑う領だったが、無我夢中で仕事をこなした。
依頼が来るたびに目の前で身も心も解放されていく女性たち。領は、女の心の奥に潜む感情や欲望を叶え、また、癒すうちに自らの心情も大きく変化していくことに気が付いていく。
いつしか領は娼夫にやりがいを見出していくのだった。

衝撃の濡れ場

とにかく次から次へと目に飛び込んでくる性描写の多くには衝撃を受けます。
登場人物たちが、言葉の通り、身も心もさらけ出した体当たりの演技は衝撃的で、その空気に飲み込まれますが、かといって、不思議と濡れ場ありがちのねっとり感もいやらしさもさほど感じないのです。
美しい描写であること。そして、どの濡れ場にも意味を持たせ、一切の妥協を許さなかったという三浦監督と、それに答えるように激しく、繊細な演技を披露する登場人物の心の内がうまく表現されている作品なのです。
秘めた心や欲望を肯定し、フッと優しく包まれたような気持になることでしょう。

これ以上ない役者魂!体当たりの演技に衝撃

女に興味を示さないクールというよりは冷めた感情の大学生。
セックスを面倒な行為だと言っていた無関心な青年が、娼夫という仕事を重ねながら、成長していく様が描かれ、味気のない無関心な表情と大人っぽく色気のある場面とのギャップが感じられます。
着飾った女の殻を時に優しく、時に激しく剥いでいくと同時に、見方や考え方が変わっていく様子は、体当たりの激しい演技とは裏腹に、心に沸き起こる微妙な変化を見事に表現しています。
ここまで精神的に追い詰められたのは初めてという程、撮影の期間中は過酷な現場だったと明かし、緊張感が途切れない様役作りを徹底していたと言います。
松坂桃李の演技に衝撃を受ける作品であることに間違いないでしょう。

松坂桃李出演映画作品まとめ

主演作品はもちろん、そうでない作品でもしっかりと足跡を残していく松坂桃李さん。
改めて注目すると、多様な役柄のどれもが違和感なく作品に溶け込んでいることがわかります。
しかしそこには徹底的に役を追求した彼の努力があり、演じることを楽しむ松坂桃李さん自身がフィルムを通して感じ取れるからなのかもしれません。

努力ありきの演技だからこそ見る人にも伝わる演技に繋がるのでしょう。
これだけの評価と経歴を以って、さらに今後、どんな役にチャレンジしてくれるのか楽しみでなりません。

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