『ラストサムライ』のあらすじと見どころ モデルはジュール・ブリュネ

B!

日本の西南戦争をヒントにしたとされるハリウッドが描いた大ヒット映画「ラストサムライ」。

渡辺謙や真田広之など日本人でハリウッドで通用した実力派俳優が演じる日本のサムライと武士道精神を表現しています。
本当に心までサムライが乗り移ったかのようなトム・クルーズの演技も魅力です。

2時間34分という時間を一切感じさせない濃厚な映画に仕上がっています。

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ラストサムライあらすじ

時代は、明治初期の日本。
欧米各国へ追いつき追い越せと、日本が変わろうとしている時代になります。
新しい文化や技術を取り入れ、古いものを捨て去ろうとしている、そんな移り変わりの時。

心の傷を負ったネイサン・オールグレン

南北戦争後のアメリカ サンフランシスコで、銃器販売のショーが行われている。
北軍側で参加し、酒浸りになった1人の男がいた。
彼の名前はネイサン・オールグレン大尉。(演じるのはトム・クルーズ)
戦時中、インディアンの村を襲い、無力な女性や子供をその手にかけていた。
良心の呵責から心に傷を負った彼は、銃器販売のパフォーマーを演じながら生活を送っていた。

戦場での実績から、日本で軍隊の教官というオファーを受ける。
日本側の大臣 大村との窓口を務めるのは、かつての上官であるバグリー大佐。
インディアンの村々を襲った時の上官は彼であった。

大金に魅せられ日本に行くことに

日本側より、近代国家建設のために急速な軍備の増強が必須と説明を受け、大金のオファーを提示される。
大金に魅せられたオールグレンは、日本に行くことを決意する。

政府軍で教官を始めた彼は、敵勢力となる"サムライ"について調べを始める。
ある日の訓練中、サムライたちが鉄道を襲ったという知らせが入る。
サムライたちの首領の名前は勝元。(演じるのは渡辺 謙)
練度が不十分なため、この軍隊では戦えないとオールグレンは訴える。
しかし抗議もやむなく、出陣が決まる。

静かな森の中で両軍が相対するが、オールグレンの予想どおりに一方的な展開となる。
サムライたち圧に押された政府軍は、逃げるように撤退する。

サムライに捕まる

サムライたちに囲まれたオールグレンは、彼らの武器を奪い、必死に抵抗する。
徐々に傷を増やし、動けなくなった彼に赤い甲冑を着たサムライがトドメを刺そうとする。
しかし一瞬のスキをついて、オールグレンは赤い甲冑を着たサムライを刺殺する。

その様子を見ていた勝元は、彼を殺さずに捕えるように命令する。
捕まったオールグレンは、サムライたちの村に連れられていく。
その村は勝元の息子である信忠のものであった。
夜ごと、彼は南北戦争時代のトラウマにうなされる。

サムライの村で生活

彼はその村で勝元の妹である、たかから手当てを受ける。
回復後、村を巡る中でサムライの静かな生活を目の当たりにする。

日々の生活や鍛錬を誠心誠意、こなしていく彼らにオールグレンは敬意を抱く。
同時にサムライ達や勝元も、オールグレンとの交流や鍛錬を通じて、彼に対する信頼を抱くようになる。

村に馴染みつつある彼だが、世話をしてくれるたかだけは心を開くことはなかった。
彼女の夫は、オールグレンに殺された赤い甲冑のサムライだったのである。
だが村の生活に敬意を表すようになったオールグレンに対し、次第にたかは心を開き始め、オールグレンを許すようになる。

忍者が村に襲撃!協力して戦う

月日が経ち、村で祭りが行われる。
首領である勝元が道化を演じる舞台に、村の人々が注目している中で忍者の一団が村に侵入する。
舞台が盛り上がる中、襲撃を受けることになる。
忍者やサムライたちの双方に犠牲が出る中、オールグレンと勝元たちは協力して戦い、忍者の一団を退ける。

変わっていく時代に戸惑う者たち

季節が巡り、春を迎えた頃、政府に呼び出された勝元たちとオールグレンは東京へ向かう。
東京でオールグレンが見たものは装備が充実し、よく訓練された政府軍の姿であった。

生還したオールグレンに対し、大村は疑いの目を持ってみる。
共に過ごしたサムライたちの何かに魅せられたのではないかと。
一方の勝元は、廃刀令にしたがって刀を捨てるよう大村に迫られる。
勝元は明治天皇に判断を仰ぐが、天皇はどちらとも判断が下せない。
刀を捨てない勝元は、東京で謹慎処分となる。

アメリカに帰ることを決意

オールグレンは大村から、サムライを討伐する指揮官就任への打診を受ける。
彼はそれを断り、アメリカに帰ることを決める。
しかしオールグレンと勝元との間を疑う大村の刺客に襲われる
何とか退けたオールグレンは、信忠ら村の一軍と共に勝元を脱出させる。
勝元たちは村へ帰還できたものの、殿を務めた信忠は犠牲となる。
もはや、政府軍と勝元達反乱軍との対決は免れぬものとなった。
意を決したオールグレンは反乱軍の一員として、戦うことを決める。

両軍との戦い

両軍相対する中、政府軍の攻撃から戦いは始まる。
武力で上回る政府軍に対して、勝元たちは工夫を凝らして戦う。
しかし徐々に劣勢となり、突撃での正面突破を選択する。

突撃により、因縁のあったバグリー大佐を討ち取るも、激しい銃撃を受ける。
徐々にサムライたちの数を減っていく中、オールグレンは被弾し、勝元は致命傷を受ける

オールグレンの最後

傷ついた勝元はオールグレンに名誉ある死、すなわち彼の手でとどめを刺すように頼む。
オールグレンは勝元のそばにより、彼を抱く。
そして彼の自害を手伝う形で、とどめを刺す。

勝元はオールグレンの背後に咲く桜を見ながら、「すべてパーフェクトだ」という言葉をつぶやき、
息を引き取る。

反乱軍はオールグレン一人を残し全滅。
政府軍の兵士たちは、彼らの戦いぶりに敬意を表し、跪いて頭を垂れる。
ひとり、またひとりと勇ましく散っていった彼らに対して、敬意を表するのであった。

生き残ったオールグレンは明治天皇に謁見し、彼の刀を渡す。
それを受け取った明治天皇は、勝元の生き様を感じ、日本人として忘れていたことを思い出す。
そしてこの国をより良くしていこうと決意する。

そしてオールグレンはアメリカには帰らず、一冬を過ごし、心の平穏を取り戻すきっかけとなった村に帰還する。

ラストサムライ見どころ3点

渡辺 謙さんの演技

豪華な俳優人や主演トム・クルーズのハンサムさが見どころの作品ではありますが、渡辺謙さんの演技が抜群に光っています。
時代が変わりゆく中でも、武士としての誇りを捨てず、主君に忠誠を尽くす役柄を演じています。
物語終盤に致命傷を負い、それでも戦おうと姿勢や武士としての名誉ある死を重んじる姿は、この映画が描きたかった武士道精神というものを体現しています。

そんな素晴らしい演技をした渡辺謙さんは、この映画でゴールデングローブ賞とアカデミー助演男優賞にノミネートされています。
準主人公である渡辺謙さんの演技にも、注目してみるとよいでしょう。

風景の美しさ

風景の美しさもこの映画の見どころにあげられるでしょう。
シーンの切り替わりなど所々、日本の風景をきれいに映し出しています。

遠くの山々は緑で美しく、夕焼けや朝焼けはまぶしい限りです。
サムライたちの村々はかやぶき屋根のきれいな造りをしています。

現代に住む私たちには見慣れない風景になりますが、それでも日本人としては美しい風景と感じます。
オールグレンが静けさを感じ、心の平穏を取り戻した風景に注目してみるのもこの映画の楽しみ方のひとつになります。

殺陣の華麗さ

アクションシーンもこの映画の見どころです。
刀や槍を使ったアクションシーンがふんだんにあり、観ていて飽きません
一番の見どころは敵の奇襲により、オールグレンの過ごしている村が襲われるシーンです。

忍者の一団に村が襲われますが、サムライたちは華麗な刀裁きを魅せます。
攻撃を受けては返し、切り結んでは躱すといったアクションは見事です。

しかしこの殺陣のシーンには裏話があります。
真田さん演じる氏家の殺陣のアクションがあまりに良すぎて、主演のトム・クルーズが大幅なカットを要求したそうです。
カットされていないバージョンがどれだけ素晴らしかったのか、観れないのが残念でなりません。

殺陣のシーンは主演以外の方も素晴らしいアクションをしています。
ぜひ注目してください。

ラストサムライのモデルはジュール・ブリュネ

引用元:Wikipediaより
この映画の主人公であるネイサン・オールグレン大尉には、モデルとなる人物は存在していました

モデルはフランス人のジュール・ブリュネです。
彼の簡単な略歴を紹介します。
1867年始めに軍事顧問団の副隊長として、来日します。
当時の階級は大尉です。

軍事顧問団は幕府側を1年以上訓練したが、1868年の戊辰戦争で江戸幕府は明治新政府軍に敗北します。
顧問団は新政府より日本からの退去を命令されたが、ブリュネは残留を選択します。
旧幕府艦隊に合流、箱館戦争に従軍しました。

この軍事顧問で来日、戊辰戦争に参加という部分をモデルにして、
この映画の主人公ネイサン・オールグレン大尉は作り上げられました。

国籍などオールグレンとブリュネでは異なりますが、この人物がモデルとみて、間違いないでしょう。

ラストサムライ感想は少しズレている感じ

ざっくりとした感想としては、
ハリウッドが古き日本やサムライを表現しようとした作品と感じました。
つまり少しズレている感じです。

なぜそのように思ったのかと言うと、
個人的に少し違うのでは?と思ったシーンがいくつかあったからです。

1つ目:作品の序盤で、勝元が長谷川大将を介錯するシーン

切腹時の介錯では、首の皮を一枚残すのが作法とされています。
首を完全に落としてしまうのは、面目を失する行為となります。
しかし映画では、完全に首をはねていたので、武士の行為らしくないと感じました。

2つ目:作品の終盤でたかがネイサンにキスをするシーン。

当時の価値観として、女性からキスをすることはほぼないと思っています。
女性は奥ゆかしさ、特に武士の家系の女性はそれを強く求められるでしょうから、
女性からキスはしないのでは?と思いました。

そんな感じで、色々とツッコミどころはある映画ではありますが、見て損はない映画と思っています。

日本の自然風景を切り出し、美しく描写しているところや殺陣のアクションシーンは素晴らしい一言に尽きます。

トム・クルーズや渡辺 謙といった俳優陣が好きな方ならぜひ見ていただきたい作品になります。

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